管理組合の運営はこうすれば上手くいく!理事会が必ずすべき3つのこと
管理組合運営において、すべて管理会社に任せ、理事会での決め事もマンション内のルールもすべて管理会社の提案に任せます・・・といった組合も少なくはありません。
管理会社のフロントマン目線で言うと、運営がしやすく、仕事のしやすい組合であると言えます。
反対に管理組合目線で言うと、そのような組合は理事会だけでなく、理事長も自身のマンションがどういった状況にあるのかを把握していない場合が多いです。
それは結果的に「管理組合運営」ではなく、「管理会社の組合運営」に近づくこととなります。
そうならないために、管理組合として、理事会として必ずすべき事を3つご紹介します。
管理組合の運営に継続性を持たせること
最近では、理事を管理組合員の中で順番に回す輪番制をとっている管理組合も多いかと思います。
その場合、長い管理組合運営の経過や現在の問題点の詳細が細かく引き継がれることも少ないため、管理組合運営がぶつ切りとなり、年数を重ねれば重ねるほど管理会社任せの運営になっていきます。
小さな工事から大規模修繕、引いては設備管理や居住者間のトラブル対応もすべて管理会社次第、管理会社の担当者次第となります。
組合として主体性を持って取り組むため、業務の継続性を維持するために、理事を2年任期として半分づつ入れ替えるなどの方式にして、運営に継続性を持たせることが重要です。
極論ですが、管理会社の担当者に金銭の取り扱いを含め、すべてを任せていたあまり、金銭を担当者に横領されていたという事件も過去にはありました。
管理会社との距離感を取ること
管理会社におんぶに抱っこの運営でうまくいく事例も多くありますが、管理会社任せではなく、ある程度の距離感を持っている組合がうまくいきます。
距離感に関して管理組合の事例をご紹介します。
ある管理組合では、理事会だけでは審議が詳細まで及ばないため、協力者を募集し、工事見積もりやメンテナンスの見積もり等を精査する経費関連の専門委員会を設立しました。
理事会以外の第三者を中心に組織され、その会議には管理会社は出席せず、専門委員会が理事会へ意見を提出し、その意見を踏まえ、対応を審議しました。
このように理事会役員以外の目を入れることで管理会社からの提案に対して1クッション入れることができ、結果的に金額の妥当性だけでなく、管理会社担当者へも適度な危機感を持たせることができました。
それは直接的に管理組合の財産を保全することにもつながります。
管理組合における「重鎮」に任せきりにしないこと
ある程度、築年数を経過すると、管理組合内に自身のマンション運営に大きく影響を及ぼす「重鎮」が出てくることが多いです。
それは、過去の理事長であったり、管理組合運営や工事等に精通する有識者であったりしますが、この「重鎮」がいる場合、その方に任せきりになる場合があります。
例えば、「重鎮」はマンション内の諸問題に精通しているため、対処法を心得ており、管理組合として問題解決を図ってくれるでしょう。
しかし、その「重鎮」に間違いや誤りがあった場合、誰も反論できる人がいなければ、不利益を被ることがあるかも知れません。
管理組合運営においては物事を決めるうえでの「重鎮」、いわゆるリーダーが必要な場合もあります。が、任せきりにすることもよくありません。
マンションは個人のものではなく、複数の区分所有者のものです。任せきりにしないことが大事です。
まとめ:マンションの運営は管理組合のもの
マンションの運営の主体は、あくまでも管理組合にあるため、自主性や主体性は重要です。
私の経験上は自主性や主体性を適度に持ち、管理会社との距離感を適度に保ち、管理会社に動かされているのではなく、管理会社を動かしている管理組合運営は最もうまくいっていると感じます。
また、それが最も顕著に表れるのは大規模修繕工事やその他工事関係で管理組合の資産が大きく動く際にどれだけ主体性を持って組合運営をするかが重要になります。
しかし、理事会役員とは言え、管理組合の業務以外に自身の仕事や諸用を持っている場合がほとんどです。そのため、物理的、時間的な問題でマンションの運営に携わりきれないこともあります。
そういった場合、マンション標準管理規約にも記載されていますが、専門委員会を設立し、理事会という枠組みに捉われず、少しでも多くの組合員に組合運営に関心を持ってもらい、巻き込んでいくことが重要です。
私が経験したマンション運営が最もうまくいっていない組合は、理事会も定数不足で不成立が多く、総会も出席者(委任状提出者、議決権行使書提出者含む)が少なく、ほとんどの議案が質疑もなく通過してしまう組合だと思います。
そのような組合にならないように、理事会からの広報活動を行う、積極的な組合活動を行うことがマンションの運営がうまくいくことにつながります。