マンションの高齢化対策と管理組合の取組み
日本の少子化と共に高齢化問題が進む中で、同様の問題がマンションでも発生しています。
築浅のマンションでは居住者の高齢化はそこまで進んでいませんが、築30年を超えるような団地などでは、60歳を超える居住者が6割以上を占めるようなマンションもあります。
高齢者問題としては、体が動かず一人で物事ができなかったり、引きこもりになってしまったり、さらにひどい場合には、孤独死をしてしまうなどがあります。
そのような高齢化問題が進む中で、マンションの管理組合ではどのような対策がとれるでしょうか?
高齢化への対策事例
相互補助の会
マンション住民間で互いが互いを助け合うというものです。名称は異なれど、このような取組みをすでに行っている管理組合もすでにあるのではないでしょうか?
『日本マンション学会広島大会、マンション住民の高齢化問題、高経年マンションにおけるコミュニティの持続可能性関する研究」で取り上げらていた事例では、この補助の会がボランティア活動ではなく、チケット制で運営されていました。
サービス利用者は事前にサービスチケットを購入し、必要な時にそのチケットを使う。チケットの売り上げの何割かサービス提供者の謝礼にし、残りを補助の会の運営費にするというものです。
提供しているサービスとしては『居住部の清掃』『病院への付き添い』『粗大ゴミなどのゴミ出し』『買物の付き添い』などです。チケットも決して割高ではありません。
この相互補助の会のおかげマンションの居住者同士のコミュニケーションが活性化しており、誰がどこに住んでいるのか?最近見かけないあの人は元気なのか?など、マンションの状況が把握できるようになっています。
これはマンションのコミュニティがうまく機能している事例といえます。
管理名簿の提出義務化
昨今では高齢者の孤独死などがニュースで取り上げられています。高齢者の一人世帯も少なくはなく、今後さらに増えていくでしょう。
隣に誰が住んでいるのかわからない、顔も見た事ないというコミュケーションが希薄化する中で、誰がどこに住んでいるのかを把握する、というのは非常に重要なことです。
名簿を義務化し、年一回のタイミングで更新を掛け、高齢者世帯や一人暮らし世帯を把握するということを管理組合の対策の一環として取り組まれている管理組合もあります。
防災での人員把握やコミュニティ行事の参加の有無の確認など、この名簿は様々な場面で有効活用できるはずです。
コミュケーション活性のための活動
生活相談などを相談できる窓口をマンション内に設立や、総会や防災訓練の後に、懇親会などを開き、コミュケーションが取れる場を用意するという取組みがあります。
挨拶などももちろんそうなのですが、管理組合が主体的にコミュケーションを取れる場を用意し、お互いを知る機会を設けることは、コミュケーションの活性化とコミュニティの醸成につながるのではないでしょうか?
せっかく集まった場を利用するというのも一つの立派な対策ではないです。
ハード面としては設備面でバリアフリーに取り組むというものがありました。集会場の段差をなくす、手すりを取り付ける、などの取組もありました。これは高齢化問題を修繕という観点から捉えていると言えます。
管理組合としての取組み
ここで紹介した施策はある程度大規模なマンションでないとできないないかも知れません。しかし、高齢化が進めば、今まではサービスを提供する側であった方が高齢者となり、「老老介護」になってしまうのではないかという懸念もあると思います。
高齢化はマンションに限ったことではなく、国としても問題でもあります。
しかし大規模なマンションでなくとも、管理組合というコミュニティだからこそ出来る、一戸建ての世帯ではできない対策がとれるはずです。
マンションの高齢化は社会問題です。今後管理組合が必ず取り組まなければならない課題になっていくでしょう。