マンション管理費の見積りの取り方!依頼する上でのポイントや比較表の作り方
マンション管理費の見積りを取るために、まず最初にすることは管理会社への声かけでしょう。
では管理会社に声をかけた後はどうすればいいでしょうか?何をすればいいでしょうか?
ここではマンション管理費の見積りの取り方についてご紹介します。
※管理会社への支払いは正確には管理費ではなく「管理委託費」であり、正確には管理委託費の見積りを取ることになりますが、ここでは管理費で統一します。
管理会社からマンション管理費の見積りを取る際に必要なもの
管理費の見積りを取る際に必須の資料は「管理委託契約書」と「各設備の設備点検報告書」です。
管理委託契約書
管理委託契約書とは管理組合がマンション管理を委託する際に管理会社と結ぶ契約書の事です。この委託契約書の中に、管理会社への委託内容が記載されています。例えば、
- 管理人は週に何回出勤して何時間働くのか、
- マンションの清掃はどの範囲をどれくらいの頻度で行うのか、
- どのような業務の委託を受けているのか、
など、管理委託契約を確認することで、管理会社は何の項目に対して見積りが必要なのかがわかります。管理委託契約書は理事長が保管していますが、管理会社からコピーを取り寄せても問題ありません。
各設備の点検報告書
マンションには様々な設備がありますが、それらは必ず定期的にメンテナンスがされており、そのメンテナンスの点検報告書が設備毎に提出されています。
この報告書に点検を行っている会社や点検回数、頻度が記載されています。ここから必要な項目を拾って、見積りを積算してきます。
なお、点検報告書は資料のページ数が多く一般的には管理人室に保管されていますので、管理人室の鍵の準備も合わせて準備しておきましょう。
その他に求められる資料
その他にもあった方が良い資料や求められる資料として、
- 直近の決算報告書
- 管理規約
- マンションの各階の平面図
といったものがあります。
これらの資料は必須ではありませんが、準備できるのであればしておいて損はないでしょう。
管理費の見積り作成に必要な現地調査
見積りを作成のために管理会社の現地調査に立ち会う必要があります。次はこの現地調査についてご紹介します。
管理会社が現地調査で行うこと
現地調査で行うことは主に以下の3つです。
1、資料の確認
前述した管理委託契約書や点検報告書を確認します。
管理委託契約書は20ページ程度なのでpdf等で事前に渡すことも可能ですが、点検報告書はページ数が多くまた管理会社も全ページが必要なわけではありません。
そのため、現地で必要なページだけコピー、または写真をとっていきます。
2、マンションの目視確認
マンションの清掃状況や躯体の状況を目視確認していきます。管理会社は見積りと合わせて提案書を提出します。その提案書に目視確認で気づいた改善点などが盛り込まれます。
3、ヒアリング
見積依頼の背景や要望のヒアリングを行います。ここで要望等があればしっかり伝えましょう。また管理会社の雰囲気や人となりを確認するタイミングでもあります。
現地調査の対応ポイント
現地調査は1日でまとめて行なって問題はありませんが、できればヒアリングの時間は各社バラバラになるように調整しましょう。他の管理会社の前ではなかなかヒアリングしにくいものです。
また可能であれば現地調査は複数の理事で立ち会われることをおすすめします。
見積りを依頼する上でのポイント
続いては見積依頼のポイントについてです。
見積りは2種類以上依頼する
管理会社に見積りを依頼する際は必ず現行の管理仕様と同じ内容の見積りと、管理会社が考える提案仕様の見積りをもらうようにしましょう。
比較をしようと思った際には統一された基準がないと比較できません。そのために現行仕様の見積りを依頼します。
また今の管理仕様が最善とは限りませんし、修繕積立金が少ない等の問題あるのであれば、コスト削減のために管理仕様をスリム化すべきです。
そのためにヒアリングで要望を伝え、提案仕様をもらうようにしましょう。
なお、中には現行仕様の見積りを出してこない管理会社もいます。おそらく現行仕様だと見積価格が今よりも上がってしまうからでしょう。ただ、個人的には最初の段階から臭いものに蓋をするスタンスの管理会社は選定から外してもよいと思います。
3社以上の会社に依頼する
管理会社に依頼をする際は少なくとも3社には依頼をしましょう。なぜなら、2社だと高い、安いかの判断しかできませんが、3社であれば比較をしていくことができるからです。また提案も少なくとも3社から受けることができます。
見積りを依頼する会社が多すぎるのも注意が必要です。現地調査をすることを考えると多くても5社程度が適切でしょう。
3.見積りの提出期限は余裕を持つ
見積りができるまで3週間程度かかります。
管理費の見積りは管理会社だけで作っているわけではなく、設備系の費用については設備会社に積算を依頼しています。またその見積りを提出するにも承認が必要です。
稀に「今週末の総会までに見積が欲しい」といった相談を受けることがありますが、その期限では対応できないのが現実です。
作成を急げば2週間でも問題はありませんが、余裕を持って依頼するのがベストです。
マンション管理費の見積比較表の作り方
見積比較表を作る上で困るのは管理会社によって項目の呼称が違うことです。そのために比較表を作ることの難易度が上がっているのですが、実は比較表を簡単に作る方法があります。
管理委託契約書の中にどの項目をいくらで委託しているのかを明記している箇所が必ずあります。まずはそのページを探し出します。
そして下記のようなエクセルを作りましょう。
見積比較表のサンプル
項目 | 現行管理会社 | 貴社 |
---|---|---|
事務管理業務費 | *****円 | 円 |
管理人業務費 | *****円 | 円 |
清掃業務費 | *****円 | 円 |
建物・設備管理業務費 | *****円 | 円 |
・○○○業務費 | *****円 | 円 |
・○○○業務費 | *****円 | 円 |
・○○○業務費 | *****円 | 円 |
消費税 | *****円 | 円 |
これは国交省の標準管理契約をサンプルに作っていますが、どの管理会社も標準管理契約に準じていれば似たような書き方になっているはずです。
各社の定型書式の見積りとは別に、このエクセルに現行と同仕様の見積価格を管理会社に記入してもらいましょう。そして各社からエクセルを集め切り貼りすれば比較表の完成です。後は必要に応じて削減額などのセルを追加すればよいでしょう。
見積り依頼でしてはいけないこと
現地調査もせずに委託契約書だけで見積りを出す会社は要注意です。これは価格だけが基準ということです。現地調査をさせてくれなければ見積承認が下りないという会社もあります。
今はもう見積りだけを出す管理会社はないかもしれませんが、そのような対応の会社があれば注意したほうがよいでしょう。
マンション管理費の見積りの取り方について
見積りの取り方の流れをご説明させて頂きました。
見積りをとる事はひょっとしたら敷居が高いかも知れませんが、見積りを取ること=管理会社の変更ではありません。ただ複数の会社から見積りをとることで競争の原理が働きマンションの管理費は必ず下がります。
ぜひ上手に見積りをとってマンション管理の改善に役立てて下さい。