購入前に考える、マンションの維持費のこと

マンションの維持費

一生にそう何度もない家という大きな買い物。その中で住居としてマンションを選択される方も多いと思います。

マンションを購入する場合、一戸建てとは違い、住宅ローン以外にも毎月必ず発生する費用があります。

そこで今回はマンションの維持費として毎月必要な費用について考えてみましょう。

目次
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マンションに必要な維持費

マンションには自分の部屋にあたる専有部と、エレベータやエントランスホール、外階段などマンションの所有者全員(区分所有者)の管理する共有部があります。

マンションは一戸建てと違い1つの建物を複数で所有します。そしてこの共有部に対して毎月、管理費と修繕積立金を払う必要があります。また毎月の支払いではありませんが、固定資産税も必ず発生する支出です。

マンションの管理費とは

マンションの管理費とは、快適な暮らしを維持していくための運営費用であり、マンションの支出にあたります。例えば、管理人や清掃員によるゴミの収集やエントランスの清掃、定期的なフロアーの清掃などはこの管理費から支払われています。

上記の業務は一般的には管理組合が管理会社に委託しており、管理費から委託費として支払われます。管理費は管理会社の支払以外にも、エレベーターや共有部の電気代、マンションの共有部にかけるマンション総合保険、他にも町内会費などの支払があります。またボイラーなどの設備があればそれも管理費からの支出で賄われます。

全国の管理費相場は145円/㎡であり、70平米の住居であれば10,150円程度が管理費の目安なります。この平均管理費はマンションの設備やエリアによって変わるため、あくまで目安です。

そして、管理費は「高ければ高いほど良い管理」とは限りませんので、費用に見合う管理なのかをしっかりと見極める必要があります。

マンションの修繕積立金とは

マンションに限らずどのような建物であれ、時間の経過とともに劣化してしまいます。この劣化に対して、マンション新築時点の性能を取り戻すために修繕工事を行います。その修繕工事を行うために毎月修繕積立金を積立てます。

修繕積立金はその名の通り、マンションの貯金にあたります。

この修繕積立金は国交省が推奨する適正価格より低く設定されているケースが多く、初期の価格は高いが築年数の経過とともに値上がりする計画になっているマンションが多いです。

そのため、購入時点では月5,000円だった修繕積立金が、数年後には20,000円を超える、という事もざらにありますので、維持費を考える上では修繕積立金の資金計画について把握しておく必要があります。

修繕積立金の適正額は200円/㎡といわれ、70平米の住居であれば14,000円が適正額ですが、ほとんどの新築分譲マンションでは適正額に達していないのが現実です。そのため、修繕積立金の高い中古マンションが多いのです。

参考リンク:マンションの管理費と修繕積立金!それぞれの役割と対応すべき問題と課題

年1回必要な固定資産税

毎月発生するものではありませんが、マンションを購入すれば固定資産税の支払が必要になります。これは土地や家を所有している人にかかる税金です。

下記のリンクで具体的な計算式と金額が紹介されています。

知っておきたいマンションの税金

70平米で3,500万円のマンションを購入した場合、88,200円が固定資産税とされています。

マンションの維持費は高い

では実際にマンションの維持費を計算してみましょう。

3,000万円を35年の住宅ローン(元金均等、年利1%)で借り入れ、70平米のマンションを購入する場合、毎月必要な支払のシミュレーションは以下です。

住宅ローン:96,428円
管理費  :10,250円
修繕積立金:14,000円
固定資産税:7,350円

合計:128,028円

あくまでシミュレーションですが、128,000円がマンションの毎月の維持費という事になります。

住宅ローンを除いても31,600円毎月掛かります。年間にして38万円近く必要です。マンションの維持費は思ったよりも高い!これが正直なところではないでしょうか?

そしてもう1つ伝えなければいけないことがあります。

マンションの維持費の支払いに終わりはない

マンションの維持費としては住宅ローン、管理費、修繕積立金、固定資産税の合計で12万ほどのかかる事がわかりました、一点注意すべき点があり管理費、修繕積立金、固定資産税には終わりがありません。

住宅ローンは返済すれば終わりですが、マンションで暮らす(所有する)以上、毎月の管理費と修繕積立金の支払いは必要です。これは1戸建てには発生しない費用です。

そして払いたくないから、払えないから、とって管理費や修繕積立金を滞納してしまうと、最悪のケースとして所有している住戸を指し押さえられ、競売にかけられ、家が無くなるという可能性も0ではありません。

マンションの維持費で覚えておきたいこと

この『維持費』という点だけを見るとマンションは高く感じます。しかし、同時に『何か問題が起きた時のために積み立てている』とも考える事ができます。例えば

「外壁が壊れて漏水が発生した。いますぐ修繕工事が必要」

そうなった場合に、マンションは修繕金から改修できるでしょう。しかし、一戸建ての場合、積み立てていなければ、突発的な費用として修繕費用を負担しなければなりません。

『維持費が掛かる』という観点だけでなく、何のための維持費なのか?それを理解した上で、マンションに費用について検討するとよいのではないでしょうか。

しかし、そうは言っても高いマンションの維持費。実は下げる余地はあります。

どうすればいいのでしょうか?

マンションを購入しても、残念ながらマンションの管理には無関心な方が多いのが実情です。そのためマンション管理に関心を持ち、改善に取り組んで頂ければ、管理費の削減や運営コストを抑える事は必ずできます。

記事監修

マンション管理士:古市 守(ふるいち まもる)

管理会社変更をはじめとするマンション管理組合のコンサルティング、管理計画認定制度支援や事前審査担当、自治体のマンション調査、マンション管理コラムの執筆・監修などで活動。

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