管理費にお悩みの管理組合必見!マンション管理費5つの値上げ対策
管理費は日常の管理のために、管理組合が組合員より徴収しているのもですが、その支出はメンテナンスや工事、備品購入、保険料など電気料や水道料の支出等多岐にわたります。
通常の管理組合では管理費収入に対して支出が上回ることはあり得ませんが、今後消費税率の改定や各種工事費の上昇、建物が古くなってくることを受けて火災保険料やメンテナンス費用が新築時に比べて上昇することは言うまでもありません。
今後支出が増えてくると、管理費を値上げすれば補てんできますが、各家庭の支出を増額することは最も避けたいのが管理組合の本音ではないでしょうか。
また、修繕積立金は将来的な大規模修繕や計画的な修繕費用に充てるため、日常の管理は管理費で行うことが前提で、積立金を充てることもできません。
管理組合がまず行うべきは、管理費で支払う日常の管理費用を削減することが最も大きな対策だと言えます。削減するにあたり、5つの対策をご紹介していきます。
1.各種メンテナンス費用の削減
マンションを管理していく上で、設備関係のメンテナンスは必ず必要なものです。
代表的なものですと、エレベーターのメンテナンス、貯水槽清掃、設備点検、消防設備点検や排水管清掃、マンションによっては駐車場設備のメンテナンス費もこれにあたります。
その中で、貯水槽清掃や消防設備点検は義務付けられており、その他の点検は、それぞれ必要に応じて実施となっています。
これらメンテナンス費はその金額が法律で定められているわけではなく、管理会社を通じて提出された業者の見積りや各業者の見積もりを信頼して実施するものです。管理組合として、支出を削減することを考える場合、最も検討しやすいのがこれら各種メンテナンス費だと言えます。
とりわけ、建物竣工時から減額や仕様の見直しを行っていない場合、確実に減額できるものとして取り組むべきです。
具体的な例として、あるマンションでは、エレベーターのメンテナンスをメーカーで毎月実施しており、契約形態はフルメンテナンス契約となっており、不具合関係もすべてメーカー対応していました。
しかし、マンションの組合員が設備関連に詳しいこともあり、契約形態を新築時から変わらないフルメンテナンス契約からPOG契約(パーツ・オイル・グリス契約)へ変更しました。
これは消耗品関係を管理組合で負担する契約ですが、これだけで3割程契約金額が減額となりました。さらにその契約形態についてメーカーではなく、独立系のエレベーター業者へ見積もり依頼をし、管理組合で確認したところ、その3割程度減額することができました。
その管理組合は、築5年のマンションで、これらの取り組みを行いましたが、築15年を迎えた現在もエレベーター関連の不具合はなく、メンテナンス金額は300万程の減額効果を得ています。
2.火災保険契約の複数年契約
個々人の生命保険や医療保険は都度見直すことも多いかと思いますが、マンションの火災保険も同様に、見直すことができます。
管理組合にもよりますが、保険期間1年の契約で毎年更新しているような管理組合は保険契約内容は変わりませんが、支払っている保険料について大きく損をしていると考えるべきです。
管理組合の火災保険は、必ず加入しておくべきものですが、その契約形態は単年契約から複数年契約(多くは5年契約)できる商品です。
また、東北の震災の影響等から現在のマンションの火災保険は、事故歴ではなく、築年数によって保険料が算定されることとなっています。
築年数が25年以上経過している管理組合は除いて、10年にも満たない管理組合は火災保険料が低く設定されているため、複数年契約を行い、築年数が経過していく分の保険料を削減することができます。
結果的に削減効果は大きくないかもしれませんが、マンションの状態に関わらず、条件の良い保険契約が締結できると想定されます。
そのほかにも、保険の削減については管理組合がマンションに掛ける保険と8つの値上げ対策で詳しく紹介しています。
3.その他使用料関係の削減
最近では最もタイムリーな話となりますが、平成28年4月より電力契約の自由化が行われ、全国でも100社を超える事業者が電力契約の自由化に取り組もうとしています。
マンションも同様で、個別での契約はもちろんですが、管理組合の共用部分における電気契約も同様に変更することができます。
これまでと異なり、マンションの電力を管理組合が選択することができるので、比較検討することで使用料の大幅な削減にもつなげられます。
また、電力会社を変更せずに、契約形態を変更することで減額できることもあります。
その理由として、通常、新築時のマンションはエレベーターや給水ポンプ、機械式駐車場のパレットがすべて同時に稼働しても電力供給に問題ないように契約するため、大口の契約を締結している場合がほとんどです。
しかし、そのようなことが同時発生することは99%あり得ないため、電力契約を小口に変更することができます。これを実施することでマンション生活はまったく変わらずに減額効果を得たマンションもあります。
4.管理委託費の減額交渉
自主管理物件を除けば、大半のマンション管理組合は管理会社へ管理の全部または一部を委託しているのが現状です。
マンションの戸数にもよりますが、管理費会計の7割以上を管理委託費が占めいている管理組合も少なくありません。
管理組合運営において金銭管理等最も重要な業務を委託している一方で、多くの管理会社の利益の多くはこの委託費で賄われています。毎月定額が支払われるため、修繕工事や単発メンテナンスに比べて目に留まりにくいこともあります。
検討すべきは管理委託費の減額交渉が対策となります。管理会社の利益は、委託契約に基づく費用に加え、メンテナンス費用やあっせん工事手数料、場合によっては自社で工事を行うこともあります。
新築マンションの場合、管理組合もその管理会社を当たり前の業者として取り組んでいると、管理会社へ必要以上の経費を支払っていることがあります。
それらを回避するためにも、管理会社への委託業務費用の削減相談はダメ元でもしておくことが管理組合にとって益となるかと思います。
また、最も削減効果があるのは管理会社を変更し管理委託費用を大幅に抑えることも想定できますが、安かろう悪かろうの話でもあるように、管理会社の変更を金額の折り合いがつかず、独立系管理会社へ変更するも3年で元へ戻した管理組合もあります。
その管理組合は、結果的にその間の組合活動が理事会の想定から外れてしまい、管理会社の選定を誤ってしまったという典型となりました。管理会社の変更は大きな転換期を迎えることのできる切り札とも言えますが、改悪とならないように失敗しない管理会社選びをすることが非常に重要です。
5.インターネット契約の減額
これは特定のマンションにはなりますがインターネット費用がマンションの管理費に含まれていることがあります。
個人の家庭からは月額2000円程度が管理費に上乗せされ、一緒に支払い、室内のどの部屋でもネット環境を得ることができるというものですが、マンション一括契約を専業している業者も複数あります。
あるマンションでは、インターネット業者を変更することで、速度等の環境を低下することなく、インターネット提供業者を変更することで戸数もありましたが、年額100万円程度の減額に至ったマンションもあります。生活に密接しているサービスだからこそ、減額できると考えるべきです。
管理費値上げ対策のまとめ
ここまでに挙げた対策は、すべてのマンションで適用できるわけではありませんが、将来的に管理費を値上げしないヒントにはなるはずです。
将来、管理費の値上げで苦しまないためにも、現在の管理組合決算書を見て、各項目が提供されているサービスに対して全うな対価であるかを判断し、必要な値上げ対策を実施してみてはいかがでしょうか。