マンションの管理会社変更を検討すべき5つのサインとは?見極め方と対策を解説!

マンション管理組合にとっての管理会社は、日常の維持管理や修繕計画の実施、住民対応などを担い、快適な居住環境を維持するうえで非常に重要な存在です。しかし、すべての管理会社が常に最適なサービスを提供してくれるわけではなく、時には管理組合として「このままでいいのか?」と疑問を持つこともあるでしょう。
管理会社の変更は手間や時間がかかるため、慎重に判断する必要がありますが、以下のような兆候が見られた場合、今の管理会社を見直し、新しい会社への変更を検討するタイミングかもしれません。本記事では、管理会社変更を考えるべき5つのサインについて解説します。
管理会社変更を検討するべき5つのサインとは?
実際に管理組合としてどのような変化を感じ取った場合に管理会社変更を検討すればいいのでしょうか。
具体的には、以下のような事象が継続的に発生している場合は、管理会社変更を検討すべきタイミングに来ている可能性があります。
- 管理会社からの管理の質を伴わない値上げ
- 管理会社によるマンション管理の質の低下
- フロント交代による業務の質の低下
- 近隣または知り合いの管理組合が管理会社変更で成功した
- 不透明な取引を確認した
管理組合においては、それぞれの事象について思い当たる節があるかもしれません。
一方で、一時的に見られる場合はまだ変更を検討するタイミングでは無いかもしれません。
しかしながら、これまでのマンション管理運営の中で、管理組合として問題と感じていることが継続的に繰り返されているケースもあります。そのようなケースがあれば、まさに管理会社変更を検討すべきであると言えるでしょう。
次章より、5つのサインについて具体的に解説します。

管理会社から管理の質を伴わない値上げを要請された時
まず最初に紹介するのが、管理会社からの値上げに関する問題です。
特にここ数年ですが、管理員やフロント担当者の人件費、修繕に必要な資材や塗料の高騰、提携業務委託先の値上げなどにより、管理会社から値上げの要請を受けるケースが急増しています。
値上げ自体は避けられない側面もありますが、
- 値上げの理由が不透明
・具体的な説明がなく、明確な根拠が示されない - 提供されるサービスの質が変わらない
・値上げ後も業務の改善が見られず、実質コストアップだけが進む - 他の管理会社と比較して大幅に高額
・相場よりも明らかに高い価格設定になっている
このような場合、管理会社変更を検討するタイミングかもしれません。適正な価格で質の高いサービスを提供する会社を探すことが重要です。
いずれかの兆候が見られた時に管理会社変更を考えてみるというのは、一つの切り口となります。

管理会社によるマンション管理の質の低下が見られる時
次に、マンション管理に関する質の低下の問題です。
管理会社の業務品質が低下すると、マンション全体の資産価値や住み心地に悪影響を及ぼします。
- 清掃や設備点検が適切に行われていない
・清掃が行き届いておらず汚れが残っている
・本来実施すべき設備点検箇所が漏れていたり具体的な指摘がなされていない - 居住者からの問い合わせへの対応が遅い
・数日かかっても居住者に具体的な改善策の提示が出来ていない - 管理委託契約で定められた業務が実施されていない
・理事会業務において不備が多い
・月次の収支報告が遅れがちである
・管理規約に沿った内容で管理会社が業務を行ってくれない
・管理員対応が適切になされていない箇所がある
こうした問題が繰り返される場合、契約違反の可能性もあるため、早めに改善を求めるべきです。
一方で、本来管理会社の業務ではないが、以前は行ってくれていたサポートを止める場合もあります。
例えば、
- 管理組合と業者が直接契約している業務を管理会社がフォローしていたが、それを取りやめた
- 新たな対応が必要になった際に柔軟性がなくなった
といったケースです。
これらが積み重なると、マンションの管理の質が低下し、住民の満足度が下がる可能性もあります。
そのため、管理会社変更を視野に入れるのも一つの選択肢です。
特に契約違反が改善されない場合は、管理会社変更以前の問題として、法的な問題になり得ることも考えられます。
弁護士や法律事務所等、専門家への相談を行う事が必要となるでしょう。

フロント担当の交代により前任からの業務の質が低下した時
さらに、管理会社のフロント担当者が交代した際に、以下のような問題が発生することがあります。
- 新担当者の知識・経験不足
・適切な対応ができず、問題がスムーズに解決されない - 居住者や管理組合役員、理事会とのコミュニケーションが悪化
・問い合わせへの対応が遅れたり、情報共有が不足する - 前担当者との業務の引き継ぎが不十分
・過去の経緯を知らないため、同じ問題を繰り返す
特に、以前の担当者と比べて対応が悪化し、問題解決が遅れたり居住者の不満が増加した場合、管理会社の体制そのものに問題がある可能性があります。
フロント担当者の交代は避けられないものですが、管理会社として適切な引き継ぎや教育がなされていない場合、根本的な管理体制の問題が疑われます。その場合は、管理会社変更を検討する理由となります。

近隣または知り合いの管理組合が管理会社変更に成功したことを確認した時
そして、自らの周りに目を向けてみることも重要な視点です。
他の管理組合が管理会社を変更し、
- 管理費の削減に成功した
- サービスの質が向上した
- 居住者の満足度が上がった
という事例を目にした場合、管理会社変更を検討する良い機会かもしれません。
近隣のマンションや知り合いの管理組合にヒアリングを行い、
- どのような経緯で変更したのか
- 変更の際にどんな課題があったのか
- 変更後にどのような改善が見られたのか
を確認すると、管理会社変更の判断材料になります。
とりわけ近隣のマンションであれば、管理会社としても同一地区を回ることができます。そのため、フロント担当者が効率的に業務をこなすことが出来ることから、歓迎される場合もあります。
これはマンションの戸数や管理組合のタイプ、さらにはこれまでのマンションの歴史等を考えると合う、合わないはありますが、一つの考え方の切り口になるのは間違いありません。
当社提携の管理会社からも上記のような話が出ることが非常に多いです。そのため、管理組合、管理会社双方においてメリットを見出せる可能性も考えられます。
管理会社の不透明な取引を確認した時
最後の5つ目のサインとしては、管理会社が不透明な取引をしている場合です。
管理会社との取引において、以下のような不透明な点があれば要注意です。管理会社の方針として問題がある可能性があります。
- 相見積もりを取得しない
・競争原理が働かず、コストが不適正になりやすい
・一定の取引先に依存している - 相見積もりを取得した際に極端に安い業者がある
・管理会社と業者が不透明な関係にある可能性がある
・施工やサービスの質が低下するリスクがある - 管理会社と特定の業者が癒着している
・いつも同じ業者に依頼し、他の選択肢を提示しない
・企業グループで業務を請け負い、合理的な取引とは言えない可能性がある
管理組合としては、管理会社が提案する安い業者を必ずしも選択する必要はありませんが、コストを下げられるのであれば、進んで選んでしまう可能性も否定できません。
しかしながら、質の低下というしっぺ返しが来る可能性もあり、居住者からの不満の声が上がる可能性も考えられます。
そして、このような取引が続くと、管理組合として適正な管理を行うことが難しくなります。管理会社に透明性のある契約を求めても改善されない場合、変更を検討するべきでしょう。

まとめ
管理会社の変更は大きな決断ですが、マンションの管理状態をより良くするためには必要な判断となる場合もあります。
- 値上げが不透明で適正価格とは言えない
- 管理の質が低下している
- フロント担当の交代で業務の質が悪化
- 他の管理組合が変更に成功している
- 取引の透明性が低い
これらのサインが見られた場合、管理会社変更を視野に入れ、慎重に検討することが重要です。まずは、現在の契約内容を確認し、他の管理会社との比較を行うことから始めましょう。