管理会社のプレゼンでは何を聞く?理事会が候補会社に確認したい10の質問

マンションの管理会社を変更する際、複数の候補会社から見積もりを取得した後に、プレゼンテーションやヒアリングを実施する管理組合も多いでしょう。

見積金額や会社案内を比較するだけでも、管理会社ごとの違いはある程度分かります。しかし、実際に管理業務を任せるとなれば、会社の規模や管理戸数だけでは判断できません。

特に重要なのが、実際に管理組合を担当するフロント担当者の経験や対応力、会社としてのバックアップ体制、トラブル時の対応、さらには「なぜこのマンションを受託したいのか」といった姿勢です。

プレゼンテーションは、管理会社から説明を受けるだけの場ではなく、管理組合から質問して候補会社を見極める重要な機会です。

今回は、管理会社のプレゼンで理事会や専門委員会が確認しておきたい10の質問を紹介します。

目次
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管理会社のプレゼンは「会社説明を聞く場」だけではない

管理会社のプレゼンでは、会社概要、管理実績、管理体制、管理システム、見積内容などが説明されるのが一般的です。

もちろん、これらも重要な情報です。しかし、会社案内や提案書に書かれている内容だけでは、実際にその管理会社へ変更した後の姿はなかなか見えてきません。

特にマンション管理では、同じ会社であっても担当するフロントや上司、支店の体制によって、日々の対応に違いが生じることがあります。

そのため、管理会社のブランドだけではなく、「実際に誰が、どのような体制で自分たちのマンションを担当するのか」まで確認することが重要です。

また、候補会社を比較する際には、各社にできるだけ同じ質問をすることをおすすめします。質問内容が会社ごとに異なってしまうと、後から回答を横並びで比較しにくくなるためです。

管理会社のプレゼンで確認したい10の質問

ここからは、管理会社のプレゼンで理事会や専門委員会が確認しておきたい質問を10項目に分けて紹介します。各社に同じ質問をすることで、回答内容や対応姿勢を比較しやすくなります。

1.実際に担当するフロント担当者は誰ですか?

最初に確認したいのが、実際にマンションを担当する予定のフロント担当者です。営業担当者の説明が非常に良くても、契約後に日常的に管理組合とやり取りするのは別の担当者ということがあります。

可能であれば、プレゼンの段階から予定されているフロント担当者にも同席してもらいましょう。

その際には、管理業務の経験年数やこれまで担当したマンションの規模、得意とする業務などを聞いておくと参考になります。

管理会社を選ぶと同時に、「この担当者と理事会が継続的にやり取りできそうか」という視点も大切です。

2.フロント担当者は何組合程度を担当していますか?

フロント担当者の経験とともに確認したいのが、担当する管理組合数です。担当物件が多すぎれば、理事会資料の作成や問い合わせ対応、現地確認などに十分な時間を割けない可能性があります。

単純に「何件なら多い、少ない」と判断するものではありません。マンションの規模や管理方式、社内の事務支援体制によっても負担は異なります。

担当組合数とあわせて、「フロントを支援する社内体制がどのようになっているか」を確認すると実態が見えやすくなります。

3.担当者が退職・異動・休職した場合のバックアップ体制は?

どれほど優秀な担当者でも、同じマンションを長期間担当し続けるとは限りません。

人事異動や退職、休職などによって担当者が変わる可能性はあります。その際、上司や他の担当者がマンションの状況を把握しているのか、業務内容や過去の経緯が社内で共有されているのかを確認しましょう。

担当者個人の能力だけに依存する会社よりも、組織としてバックアップできる会社の方が、長期間の管理を考えるうえでは安心感があります。

4.管理員を採用できなかった場合はどのように対応しますか?

近年は人手不足もあり、管理員の確保が管理会社にとって大きな課題となっています。管理会社変更が決まったものの、新しい管理員を予定どおり採用できない可能性も考えておかなければなりません。

採用できなかった場合に代行員を配置できるのか、支店や近隣物件から応援できるのか、勤務時間や勤務日数の見直しを提案するのかなど、会社によって対応方法は異なります。

特に管理員業務の比重が大きいマンションでは、事前に確認しておきたいポイントです。

5.同規模・同築年数のマンションを管理した実績はありますか?

管理戸数が多い会社であっても、自分たちのマンションと同じような物件を得意としているとは限りません。

例えば、100戸を超える大規模マンションと30戸程度の小規模マンションでは、管理組合運営や管理員体制も異なります。

また、高経年マンションでは設備更新や大規模修繕、給排水設備などへの対応経験も重要になります。

同じエリア、同程度の戸数、同じような築年数のマンションについて、どの程度の管理実績があるか確認してみましょう。

6.緊急時やトラブル時にはどのような体制で対応しますか?

漏水、設備故障、停電など、マンションでは突発的なトラブルが発生することがあります。

その際、営業時間外はどこへ連絡するのか、24時間対応の窓口があるのか、実際に現地へ駆けつけるのは誰なのかなどを確認します。

「24時間対応」という説明だけでは、電話受付のみなのか、必要に応じて現地対応まで行うのか分かりません。

具体的なトラブル事例を挙げて、「このような場合はどう対応しますか」と質問すると、各社の違いが分かりやすくなります。

7.将来、管理委託費を見直す場合はどのように説明しますか?

現在提示されている見積金額が、今後ずっと続くとは限りません。人件費や各種業務費用が上昇すれば、将来的に管理委託費の改定が必要になることもあります。

大切なのは、「値上げするか、しないか」を約束してもらうことではありません。

値上げが必要になった際に、その理由や内訳を管理組合へどのように説明するのか、管理仕様の見直しなど代替案も提示するのかを確認しておくことが重要です。

長く付き合う管理会社だからこそ、将来の条件変更についても誠実に協議できる会社かどうかを見ておきましょう。

8.修繕工事を自社や系列会社へ発注する場合、どのような仕組みですか?

管理会社は日常管理だけでなく、マンションの修繕工事を提案することもあります。

管理会社や系列会社が工事を受注すること自体に問題があるわけではありませんが、管理組合としては発注方法や見積もりの仕組みを確認しておく必要があります。

他社から相見積もりを取得できるのか、管理組合が独自に施工会社を選定できるのか、管理会社が工事へどのように関与するのかなどを聞いておきましょう。

日常管理だけではなく、将来の修繕も含めた会社の考え方を知ることができます。

9.現在の管理仕様で「変えた方がよい」と思う点はありますか?

理事会として、ぜひ聞いておきたい質問です。

管理会社変更時には、管理組合側が作った仕様書に基づいて各社へ見積もりを依頼することが多いでしょう。

しかし、現在の管理仕様をそのまま引き継ぐことが、本当にそのマンションにとって最適とは限りません。

管理員の勤務時間、清掃回数、設備点検、理事会支援などについて、プロの立場から改善できる点を聞いてみましょう。

単に依頼された仕様どおり見積もるだけではなく、マンションの状況を見たうえで改善提案ができる会社かどうかを確認できます。

10.なぜ当マンションを受託したいのですか?

最後に聞いてみたいのが、「なぜ当マンションを受託したいのか」です。

少し意外な質問に感じるかもしれませんが、管理会社側の受託姿勢を見るうえで有効です。

「営業エリア内だから」「戸数規模が自社の得意分野だから」「近隣に管理物件が多く効率的な管理ができる」など、具体的な理由があれば、その会社にとって受託する意味があることが分かります。

反対に、管理組合としても、管理会社から長く付き合いたいと思ってもらえる関係を築くことが重要です。

現在は、管理組合が管理会社を選ぶだけではなく、管理会社側も受託するマンションを選ぶ傾向があります。だからこそ、双方にとってメリットのある組み合わせかどうかをプレゼンの段階で確認しておくことが大切です。

プレゼンでは回答内容だけでなく「答え方」も確認する

10の質問に対する回答内容はもちろん重要ですが、プレゼンでは回答の仕方も見ておきましょう。

質問に対して具体的に答えているか、分からないことを曖昧なまま答えていないか、管理組合側の意見を聞こうとする姿勢があるかなども、今後のコミュニケーションを考えるうえで参考になります。

また、候補会社がすべての質問にその場で即答できるとは限りません。

むしろ確認が必要な事項について「社内で確認して後日回答します」と明確に伝え、後からきちんと回答してくれる会社の方が信頼できる場合もあります。

プレゼンの印象だけで決めず、後日の回答や追加資料も含めて評価しましょう。

候補会社は同じ条件・同じ質問で比較する

複数の管理会社からプレゼンを受ける場合には、できるだけ同じ管理仕様、同じ条件、同じ質問で比較することが重要です。

A社にはフロント体制を詳しく聞き、B社には費用だけを聞くという形では、公平な比較ができません。

事前に理事会や管理会社変更の専門委員会で質問事項を整理し、回答を一覧表にしておくと比較しやすくなります。

また、プレゼンには理事や委員だけでなく、可能であれば一般の組合員にも参加してもらい、アンケートなどで意見を集める方法もあります。

最終的には管理委託費、業務内容、担当体制、会社としての安定性などを総合的に判断することが必要です。

まとめ|プレゼンは「この会社と長く付き合えるか」を確認する場

管理会社のプレゼンでは、管理戸数や会社規模、見積金額だけでは分からない部分を確認することが重要です。

特に、実際のフロント担当者、バックアップ体制、管理員の確保、緊急対応、将来の価格改定や修繕工事への考え方などは、管理開始後の満足度にも大きく関わります。

そして最後に、「なぜ当マンションを受託したいのか」も聞いてみてください。

管理会社変更は、管理組合が一方的に管理会社を選ぶだけではありません。管理会社にとっても、そのマンションを長期間管理していけるかを判断する機会です。

プレゼンを単なる会社説明会で終わらせず、お互いに長く付き合える相手かどうかを確認する場として活用することをおすすめします。

記事監修

マンション管理士:古市 守(ふるいち まもる)

管理会社変更をはじめとするマンション管理組合のコンサルティング、管理計画認定制度支援や事前審査担当、自治体のマンション調査、マンション管理コラムの執筆・監修などで活動。

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