年間相談件数は9000件!マンション管理2つの問題事例の共有

一般財団法人川崎市まちづくり公社主催、公益財団法人マンション管理センター、NPO法人かわさきマンション管理組合ネットワーク共催の「平成27年第一回マンション管理基礎セミナー」に参加してきました。

このセミナーの目的は、「マンションの会計」を切り口に、マンション管理センターに寄せらせる相談事例の共有という場でした。

セミナーで紹介された統計情報とマンション相談事例について共有させていただきます。

目次
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マンション管理の統計情報

マンション管理に関する相談件数の推移

このグラフは平成20年から27年までにマンション管理センターに寄せられた相談件数の推移です。単純計算すると年間平均相談件数は8,958件で、平成26年は1日あたり22件の相談がマンション管理センターに寄せられていることになります。ここに寄せられていない相談も多々あると思いますので、全国的にみた場合、日々多くの問題やクレームが発生していることが分かります。

相談の多いテーマ上位5位

相談テーマ件数平成25年度(順位)
 区分所有法・(標準)管理規約の解釈901801(1)
 役員の資格、選任・解任、任期338337(3)
 理事長・理事会への不満220191(5)
 管理規約の作成・改正206380(2)
 管理会社の選定・変更(管理会社の紹介依頼等)183148(11)

当社では特に5の『管理会社の選定・変更(管理会社の紹介依頼)』にあたる部分のサポートをさせていただいておりますが、これに関しては2日に1件のペースで相談があるようです。

平成25年と比べると管理会社の変更に関する相談は件数も順位も大きく伸びているので、管理会社に関して、多くの管理組合様が助けを必要としていると痛感します。

マンション管理に関する相談事例の共有

今回のセミナーで共有されたものの中から管理費の滞納と理事会運営の2つをピックアップしてご紹介します。


 

共有事例1:管理費の支払いに応じない組合員がいます。「理事会運営に不満がある」との理由ですでに6ヶ月間滞納しています。今後はどのような方法で対応すればよいでしょうか?

そもそも、区分所有者には管理等負担義務があり、本例のような理由で支払いを拒否することはできません。なお、管理費の滞納が発生に対しては督促ルールを決めておく必要があります。まず滞納理由や滞納期間に応じて督促のルールを決め、そのルールに従って速やかに処理することが重要です。

なお、管理費の対応についてはマンションコラム・豆知識の「マンション管理費の滞納の発生状況と対策について」でもまとめています。

なお、上記ページでも紹介しているのですが、管理費の滞納問題を抱えている組合は3割を超えています。

管理費の滞納がある組合管理の滞納がない組合
平成10年48.3%48.4%
平成15年26.7%56.4%
平成20年38.5%51.9%
平成25年37.0%56.1%

多くの管理組合で滞納の問題を抱えています。管理会社によって滞納者への滞納のスタンスは違います。管理費の未納率が1%を切る管理会社もありますので、滞納でお悩みがあれば、ご相談いただけたら力になれることがあるかも知れません。


 

共有事例2:ある組合員が長年理事長職に就いていますが、決算報告を定期的に行わず内容もいい加減です。他の組合員は無関心で総会では何も発言しません。

理事長は法律上も規約上も収支決算を総会で報告し、承認を得る必要があります。一般的な管理組合であれば、この総会は定期総会と呼ばれ、会計年度が終了した2ヶ月以内に開催されているはずです。

これが実施されていないといことは、管理組合の運営として非常に問題がある、ということです。

このケースでは組合員の方が意識を持って対応し、理事会を変えていかねばなりません。

なお、セミナーの参加者から「理事長が監事を兼ねている。理事長が監事を兼ねるように管理会社から提案があったが問題ないのか」という質問がありましたが、これは大問題です。

理事長の組合運営を監督するのが監事の仕事なので、これを兼任することはできません。

以前「管理費の横領?!マンションの元理事長を逮捕!」の記事を書いたのですが、この横領も元を正せば、理事長が監事を兼ねていたことが原因です。

質問者の方が属する管理組合の運営背景までは存じ上げないのですが、このような提案をする管理会社は体質として問題を抱えています。疑い出せばきりはありませんが、理事長と癒着などがあるのかも知れません。

マンション管理セミナー参加して

セミナーの中の相談事例から2つピックアップして共有させていただきました。セミナー会場はほぼ満員で150名以上の方が参加されているようでした。

多くの方がマンション管理に意識を持たれている中、一方で組合員の無関心という問題もあります。特に事例2の質問者のケースは組合から勇気を持って改善に向けて取り組む必要があると思います。

当社では管理会社の変更を通じて管理費や修繕積立金不足などの資金問題を解決し、より良いマンションライフを提案することを提案させていただいています。

多くの方にマンション管理に意識を持って取り組んでいただけたら、より良い方向に進むのではないでしょうか。

記事監修

マンション管理士:古市 守(ふるいち まもる)

管理会社変更をはじめとするマンション管理組合のコンサルティング、管理計画認定制度支援や事前審査担当、自治体のマンション調査、マンション管理コラムの執筆・監修などで活動。

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