マンション管理から考えるマンションの資産価値

マンションを購入するなら、「管理を買え」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。マンションの資産価値は「立地」と「管理」で決まると言われます。立地をハード的な側面とするのであれば、管理はソフト的な側面であるといえます。

つまり、立地はどうすることもできませんが、マンション管理は管理の運用に大きく影響を受けます。マンション管理という側面からマンションの資産価値を考えてみていきましょう。

立地は変更できない

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マンションの資産価値を高めることは難しい?

私は、マンションの資産価値を高めることは難しいと考えます。資産価値を高めるためには、色々と施設等の付加価値を新築時より追加していくことが必要だと思いますが、それには費用が掛かります。また管理組合で合意も必要なるため、資金面だけでなく、居住者の総意も必要になります。

資金もあり、合意形成できたとしても、そもそもマンションは建蔽率・容積率を目いっぱい使って建築していることが多いため、設備・施設を追加したいと思っても、そういった制限に触れてしまい、新たな施設は作れないことも多いのではないでしょうか。

資産価値を維持していくことは可能!

しかし、資産価値を維持していくことは可能であると考えます。その時の重要な要素が、いかにきちんとマンションの管理ができているか、されているかということであり、それを表現すると「管理を買え」という言葉になります。管理業務を委託している管理会社が重要な役割を担っていると言えるでしょう。

良いマンション管理とは

1.清掃が行き届いているか

良い管理の基本中の基本です。特に日々の日常清掃がきちんとなされているかが重要です。といっても、自分が住んでいるマンションの清掃のレベルがどの程度なのかは、他のマンションとなかなか比較もできないため、判断基準が難しいと思います。

私の経験ですが、マンションにお住まいの方の親御さんや、お子さん家族が尋ねてきたときに、自分の住んでいるマンションより、このマンションは、清掃が行き届いていると言われたと、お褒めの言葉をいただいたことがあります。

マンション住まいの知り合いが訪ねてきたときに、感想を聞いてみるとよいかと思います。もし、他のマンションより、目に見えて質が悪いようであれば、管理組合に相談してみることも必要ではないでしょうか。

2.修繕等の履歴が保管されているか

マンションも、3年を経過すると共用部分が故障したり、誰かに壊されたりということが起こり、修繕を実施することが増えてきます。

修繕が終了すると、フロントマンは、報告書を理事会に提出し、理事会役員が確認することになります。マンションの価値を維持していくという観点から、必ず写真付きの報告書を求め、大規模修繕工事の実施までは、定期的に確認し、また資料を保管しておくことをお勧めします。

それにより、同じところを何度も修繕していて、故障の原因が当初の想定と違っていることに気がついたり、問題点が判明することもあります。

繰り返し修繕をしている個所があると、その個所を表面的に修繕しているだけであり、見えない個所に対する本質的な修繕が出来ていないことも考えられます。

原因を突き止めることは場合によっては建築士等の専門家に見て貰っても難しいかもしれませんが、継続的に確認を行い、最終的には原因を突き止められるように努力していくことが、マンションの資産価値維持に繋がっていくと考えられます。

3.管理費の不足や滞納、修繕積立金不足はないか

中古マンションで管理費や修繕積立金が著しく高いマンションを見かけます。特に修繕積立金の額には目を見張るものがあります。過去の修繕作業において、銀行への借り入れなどを行い、その返済などが含まれているのではないでしょうか?

中古マンションを購入することを検討されている方にとって、修繕一時金で何十万という回収があったり、毎月の管理費・修繕費が月何万とかかるようなマンションは購入されやすいでしょうか?

マンションの購入を検討されている方は、修繕積立金の積み立て状況や、毎月の管理費・修繕費についても確認をしてから購入の判断をされます。

銀行に対して借り入れを行うのは、どうしても修繕積立金が足らない場合の最終的な手段です。

そこに至る前に、管理費が正しく回収され、修繕積立金がしっかりと積み立てられていることが資産価値の大きな部分と言えます。

マンションの資産価値を維持するために必要なもの

そしてもうひとつ、マンションの資産価値を維持するために必要なものは、大規模修繕や日々の修繕におけるマンションのメンテナンスもありますが、とりわけソフト面で大事なことは居住者の意識の高さの維持です。

修繕による改修や管理会社が管理の部分で資産価値の維持に貢献していても、居住者の意識が低いと資産価値を維持するのは難しいでしょう。

それはなぜでしょうか?そして居住者の意識とは何かでしょうか?

1.共用部分でのルール違反・マナー違反

最近のマンションは、敷地内も含めて共用部分は禁煙にしていることが一般的です。

しかし、エントランスや、ひどいときにはエレベーター内にタバコの吸殻が落ちていたり、はたまたタンが吐き捨てられているなんてこともあります。その他、共用廊下に自転車を置いている。ペットは抱えるルールなのに、歩かせている、などということが、現実にはちょくちょく見受けられます。

こういったことが改善されないと、日常清掃ではとても追いつきません。

これらは、そのまま見た目に反映されてしまいます。内見に来たマンション購入希望者がエレベーター内でタバコの吸殻を見つけたら、そのマンションを購入する意欲を、果たして維持することはできるでしょうか。

管理員さんが適切に共用部分の確認を行い、清掃も行き届いていることがもちろん大事ですが、マンションの居住者がゴミを自ら拾う、また共用廊下にものを置いている人がいたら管理員さんに知らせたり注意を促すなど、意識が高い居住者が多いと自然に共用部分におけるルール違反・マナー違反の減少に繋がっていきます。

そしてそれを理解した、新たにマナーを順守する住民が入居するという、よい循環にも繋がっていきます。

2.専用使用部分でのルール違反・マナー違反

ポーチやアルコーブにベビーカーや、シーズンタイヤなどの私物を置いている。バルコニーの手すりに布団を掛ける、バルコニーの手すりにパラボナアンテナを設置するなどということも起こります。

マンションの人気は、近隣の評判も大きく関係しているものと思います。バルコニーは、マンション内に立ち入らなくても、通りがかりに外から見えてしまいます。見た目が雑然としたマンションが近所からよい評判を得ることは、できるのでしょうか。

さらに、ルール違反・マナー違反が発生すると、掲示板や発生箇所に注意喚起のお知らせを掲示することになります。注意喚起のお知らせが、あっちもこっちもベタベタ貼ってあるマンションがあったら、みなさん、どう思われるでしょうか。

バルコニーや専用庭等の専用使用部分は所有者のみが使用することが出来る特別な部分ですが、一方で共用部分であるため、定められたルールをしっかりと守りながら使用する必要があります。

その意識を持つ住民が増えることがルール違反・マナー違反を減らしていくことに繋がってきます。

ルールの厳しいマンションは、戸建住宅と比べれば、住みづらいのかも知れません。

しかし、マンションは共同住宅でありコミュニティです。管理と住民の意識の高さが相まって、初めて、経年マンションでありながらも資産価値や性能が新築水準に維持される良い

記事監修

マンション管理士:古市 守(ふるいち まもる)

管理会社変更をはじめとするマンション管理組合のコンサルティング、管理計画認定制度支援や事前審査担当、自治体のマンション調査、マンション管理コラムの執筆・監修などで活動。

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