保険契約の更新でマンションの管理費が上がる!?
ある管理組合で現行の保険会社との保険契約が更新できず、他のマンション保険へ切り替えたところ、保険料で高騰するという内容の記事が、東洋経済第6632号にて紹介されていました。保険会社によっては現在の4倍以上の見積もりが出たそうです。
非常に興味深い記事なのですが、なぜ、この管理組合は保険契約を更新できなかったのでしょうか?
保険契約を更新できなかった理由
この管理組合のマンション保険は、5年契約で250万でした。しかし、この5年間で保険会社が管理組合に支払った保険の保証金額は500万円以上でした。
保険料に対する保険金の比率である「損害率」が200%を超えてしまっていたため、現行の保険会社から契約更新できないこと告げられてしまいます。
そこで、いくつかの損保会社から保険の見積もりを取得したそうですが、どの保険会社の保険も現在のものよりも2倍以上高く、会社によっては1000万を超える保険料が提示されたそうです。
最終的に最も条件がよかった保険会社と契約を締結したのですが、それでも保険料は今の2倍以上になったそうです。
なぜ保険料がここまで跳ね上がったのか?
保険料が上がった要因は明確です。それはマンションの築年数です。
マンションの保険の価格は築年数によって決まります。そのため、古いマンションほど保険料は高くなります。各損保会社によって保険金額や築年数による値上がり率は異なりますが、概ね20年以上経っているマンションは保険料が跳ね上がります。
保険料が上がるということは対岸の火事ではありません。
東洋経済の事例で紹介されていたマンションは戸数は紹介されていませんでしたが、築35年のマンションです。
古いマンションであったために値上がりし、そこに追い打ちをかけるように損害率が200%という問題があったのでしょう。
なお、年数が古いマンションとは契約をしないという損保会社もあります。もしくは保証できる内容が制限されたりします。
なぜならこの事例の通り、マンションの経年劣化による保険の保証金が保険料を超えてしまう、このような状況が頻繁に発生しているからです。
保険料の値上げを抑えるためにすべきこと
最も多い保険の請求は「漏水関連」と紹介されていました。そのため、修繕や定期点検で給排水管をしっかりとメンテナンスしておく必要があります。
また最近では日新火災海上保険がマンションのメンテナンス状況によって保険料を割り引くといった取り組みを開始しています。
具体的な評価項目が明記されていないため推測の域をでませんが、診断に必要な資料には「工事報告書」「特殊建築物等定期調査報告書」とあるので、漏水の原因になりそうな設備はいつメンテナンスをされたのかを調べるのでしょう。
マンション総合保険の値上げについての記事で詳細を紹介しておりますので、一度確認をしてみてください。
参考リンク:マンション総合保険の値上げについて
やはり、保険料の値上げを抑制するポイントは、普段からメンテナンスをしっかりとしていくことではないでしょうか?
マンションは経年劣化するため、契約更新によって保険料が上がることは避けれられません。しかし、メンテナンスが行き届いており、損害率が200%を越えなければ、現行の保険会社との契約は継続でき、保険料もそこまで上がることはなかったのではないかと考えられます。
マンションの保険を見直してみる
保険の内容に関しても、管理会社のフロント、もしくはマンション保険専門の代理店に相談し、一度見直してみるのも手ではないでしょうか。
任せきりにしていては、何も変わらず、保険契約の更新のために、管理費の値上げに踏み切らねばならない状況になりかねません。
築年数の経過しているマンションほど高齢者の方が多く、マンションの会計状況は決して良い状況ではないのが現実です。管理費の値上げなどは暮らしを逼迫してしまいます。
そうであれば、マンションの会計を改善するには「資金を増やす」か「支出を減らす」しかありません。
資金を増やすためには、管理費の値上げや駐車場のサブリースで収入を増やすなどがあるでしょう。支出を減らすには、管理委託費の見直しやマンションの保険内容の見直しなどがあります。
打ち手はあるはずなので、保険料の値上げ抑制に限らず、取り組みを始めてみることをお勧めします。