管理費と修繕積立金

管理費と修繕積立金

マンションを購入すると管理組合に収めなければならない費用が2つあります。それは管理費と修繕積立金です。これらはマンションを維持・管理していく上で非常に重要なものです。

ここでは、管理費と修繕積立金の違い、それぞれの適正価格、そして不足によって起こる問題、最後にこれからのマンション管理について考えていきます。

目次
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管理費とは

マンションの管理費は、快適な暮らしやマンション維持管理のため使われる費用です。光熱費や管理組合運営費、管理会社への管理業務委託費などを総称して管理費と言います。

そのため、管理費は管理組合にとって快適な暮らしを維持するための『支払い』と考えることができます。

なお『管理費』と一言でいっても全てを管理会社に支払っているわけでありません。

繕積立金とは

修繕積立金は将来行われる修繕や災害などの場合の建物の修復を目的として積み立てるお金のことです。

そのため、管理費が支出であるのに対して、修繕積立金は資産価値を守るための『貯金』です。

管理費と修繕積立金の支払額は専有部分の床面積(つまり住居の面積)によって決まります。

なお、支払額を決める際に使用頻度は考慮されません。つまり、上層階に住んでおり、エレベータを多く使用するから管理費の負担が多い、車を持っておらず機械式駐車場は利用しないのでその分の修繕積立金は負担しない、といったことはできません。

管理費と修繕積立金の相場

では、管理費と修繕積立金の適正額、つまり相場価格はいくらなのでしょうか?

それぞれの相場については、マンション管理費の相場修繕積立金の相場と適正額の目安でまとめています。

この調査によれば平方メートル(㎡)あたりの月額管理費の相場は145円/㎡です。
そして修繕積立金の月額相場は平方メートル(㎡)あたり200円/㎡です。

これだと少しイメージがしにくいので、1LDKを30㎡、2LDKを50㎡、3LDKを70㎡と仮定して適正価格の目安を計算します。

管理費と修繕積立金の適正価格の目安

管理費の適正額修繕積立金の適正額
1LDK(30㎡)4,350円6,000円
2LDK(50㎡)7,250円10,000円
3LDK(70㎡)10,150円14,000円

こちらが国交省の調査を基にした適正額の目安です。しかし実際は多くのマンションでは管理費が高く、修繕積立金が足りていません。あなたのマンションも

・管理費の方が修繕積立金より高くないでしょうか?
・修繕積立金は適正額を大幅に下回っていませんか?

適正額はマンションの規模や地域、設備状況によって変わります。しかし、この2つの質問のどちらかに思い当たる節があれば、見直しをしてみることをおすすめします。

なぜなら、修繕積立金不足によってマンションは管理不全に陥る可能性があります。

積立修繕金の不足

修繕積立金が足りないとどうなるのか?

まず、修繕積立金が不足すると大規模修繕を行うことが難しくなります。資金が足りなければ工事を行えないため、修繕積立金を値上げする、一時金を集める、銀行から借り入れる、という対応が必要になります。

しかし、この議案が総会を通らなければ資金は集まらず、大規模修繕は先送りされます。

大規模修繕は建物の修復を目的として行われるものです。実施されなけば、マンションのひび割れ(クラック)などが進み、漏水などの原因になります。外壁などのタイルも落ちてくるかもしれません。

建物が劣化していく一方で、居住者は離れてしまいます。賃貸に出されると管理への意識は一気に低下してしまいます。結果、マンションの管理ついて議論や検討する機会が減り、マンション資産価値もなくなっていくでしょう。

こうなってくると売りに出す事も難しくなっていきます。

これは極端な例かもしれませんが、修繕積立金不足はこのような事態を招く可能性があります。

管理費と修繕積立金について

日常で使う「管理費」という言葉には「管理費、修繕積立金」を包括しているケースが多いと思いますが、それぞれの役割や目的は違います。

管理費はマンションの支払いです。しかし、安ければ安いほどいい、というものではありません。管理が雑なマンションでは快適な暮らしは維持できません。

カラスがきて、いつもゴミが散らかっているマンションがあります。そのようなマンションを購入したい、暮らしたいと思う方は少ないでしょう。

一方で修繕積立金は貯金です。こちらは管理費と違い、沢山あったほうがいいでしょう。しかし、そのために毎月の修繕積立金が高額になりすぎると、ランニングコストが上がってしまい、暮らしを圧迫してしまうのではないでしょうか?

早いうちから管理費を適正化し、修繕積立金をしっかりと積み立てていく、ということがこれからのマンション管理には必要です。

マンションを購入する際、広くて綺麗なマンションの間取りであったり、駅から徒歩圏内、近くにコンビニやスーパー、学校があるなどの立地や周辺環境は非常に重要な要素です。

そしてこれからは、暮らしていく上で重要なマンションの管理についても、検討いただけるといいのではないでしょうか?

そして問題があれば、無関心にならず管理組合として解決していくことが重要であると考えられます。

記事監修

マンション管理士:古市 守(ふるいち まもる)

管理会社変更をはじめとするマンション管理組合のコンサルティング、管理計画認定制度支援や事前審査担当、自治体のマンション調査、マンション管理コラムの執筆・監修などで活動。

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