管理会社変更を検討している管理組合が必ず確認したい9つの事項とは

最近、弊社にも寄せられるご相談の中には、

・管理会社変更のための情報収集を行っている
・管理組合として管理会社変更を検討している
・管理会社から管理委託契約の解除を通知された

などの問い合わせが増えています。

これらの事情があるのは、管理組合、管理会社双方の要因があると考えられます。

今回は、このようなご相談を通じて、管理組合が管理会社変更を検討する際に対応すべき事項として、必ず確認したい事項を9つピックアップして紹介します。

目次
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変更するかどうか分からないが情報収集している場合

まずはじめに、現時点では管理組合として管理会社を変更するかどうか分からないものの、情報を収集している段階として確認しておきたい事項を3つ紹介します。

管理組合として何を優先事項とするのかを決める

管理会社を変更するかまだ分からない状況にある時には、どのような管理会社がよいのか、幅広く情報を収集することが多いでしょう。

一方で、管理組合として管理会社変更を考えるにあたり、何を優先事項として検討するのか、管理組合内、とりわけ役員内でも考えておくことが重要です。

具体的には、

・管理費の金額を下げて修繕積立金を充実させたい
・マンション管理の品質を今以上に上げたい
・マンションの管理だけではなく修繕についても詳しい管理会社にしたい

など、管理組合としての考え方があるでしょう。

管理費の金額を下げて修繕積立金を充実させたいなら、管理委託費を安くする管理会社が優先されます。

一方で、マンション管理の品質を今以上に上げたいなら、管理委託費がむしろ高くなっても、しっかりマンションのことを考えてくれる管理会社が視野に入ります。

さらに、マンション管理と修繕をトータル的に任せられる管理会社なら、大規模修繕の受託実績も多い管理会社という視点もあるでしょう。

どのような管理会社を次期候補としたいか方向性を明確化する

次に、管理会社の次期候補としてどのような会社にしたいのかという視点もあります。

例えば、

・小さなことでも対応してくれる小回りやフォローが効く管理会社
・すべてを一括で任せることができる安定感がある管理会社
・大手企業系の管理会社

などの考え方もあります。

それぞれコストやサービスに対して一長一短あるかもしれませんが、管理組合としての方向性として考えておくことも一つです。

管理会社の強みや組織体制、財務状態等の特徴を確認する

管理会社のホームページを見ると、どのような強みやフォロー体制を持っているかも確認できます。

また、管理業協会会員の管理会社は、管理棟数や管理戸数、従業員数や業績の推移なども確認をすることも可能です。

そのため、管理組合に対する支援体制を重視したいのか、企業の安定性を重視したいのかなど、どのような視点を大切にするのか考える必要もあるでしょう。

管理会社の対応になんらかの不満を感じ管理会社変更を検討している場合

次に、具体的に管理会社変更を役員内々で決めている場合には、どのような視点を持っておけばよいのか、具体的に3つの確認事項を紹介します。

役員間や理事会での合意事項となっている

前章の情報収集の段階であれば一人の役員の一存で対応することもあるでしょう。

しかしながら、具体的に変更に動くとなれば、理事会や役員間での内々の合意事項となっていることも重要です。

理事長や担当理事、または諮問委員が合意なく動くことが無いよう、注意が必要といえます。

何のために管理会社変更をするのかを明確にする

実際に変更を決める場合は、今の管理会社から新たな管理会社へなぜ変更するのかを明確化しておく必要があるでしょう。

理由としては、新たに管理会社を変更したとしても、同じような状況になる可能性が考えられるからです。

管理組合としてはそれは必ず避けたいと考えているでしょう。

前章の情報収集の中でも記載しましたが、管理会社を変更する理由としては、

・管理費の金額を抑えたい
・サービス内容を改善したい
・フロント担当が変わって対応が雑になり管理組合として疲弊した

などが挙げられるかと思います。

とりわけ、「フロント担当が変わり雑になった…」場合は、管理会社を変えたとしても同様の問題が発生するかもしれません。

また、今の管理会社であっても、別の担当であれば対応が丁寧になる可能性もあります。

さらに、管理会社変更は管理組合役員にとって非常に労力の掛かる業務となります。

そのため、今の管理会社とはもうこれ以上できないのかどうか、管理組合として重要な見極めになると考えられます。

変更するとしても後任の管理会社が決定するまで契約解除は明言しない

管理組合としては、管理会社不在、すなわち自主管理となってしまうの空白期間を避けなければなりません。

したがって次の管理会社候補が内定するまでは契約解除通知はしないことが賢明です。

また、見積もりを受領した段階や、どこにするか決めていない段階で解除通知することも、万が一候補会社が辞退した場合には、管理組合にとってリスクになります。

新たな管理会社と管理委託契約を締結することに合意した段階でその書面を受領し、裏付けをもって契約解除を行うことが望まれます。

もし管理組合として可能であれば、検討の結果、管理会社変更を検討していることを伝えたうえで、現管理会社にも契約更新のチャンスを与えることも検討すべきでしょう。

引継ぎの段階では現管理会社に協力して貰う必要があり、円満に契約解除することがお互いにとって望ましいためです。

すでに管理会社から管理委託契約解除を申し入れられた場合

この段階であれば、管理組合としては新たな管理会社を探さざるを得ない状況にあります。

具体的にはどのような対応が必要なのか、こちらも3つ挙げて紹介します。

速やかに新たな管理会社候補を探す

マンション管理の空白期間を作らないためにも、新たな管理会社候補を速やかに探す必要があります。

具体的には、当社の管理会社マッチの活用をはじめ、管理組合として個別で管理会社に当たるなど、考える必要があるでしょう。

そして、必ず引き受けて貰える会社を探す必要があります。

そのため、管理組合としては、管理委託費の見積もりに参加して貰える会社を、3〜5社ほど集めることができる状態であればより望ましいでしょう。

管理組合として妥協できる点や出来ない点を明確化する

後がないこの段階では、引き受けてくれる管理会社を見つけることが最優先となります。

一方で、管理組合として、最低限新たな管理会社に求めることは何かを、管理組合内や理事会で合意しておく必要があります。

具体的には、管理委託費は現管理会社と同様を求めるのか、または1,2割の費用増加は許容範囲とするのかなどです。

さらには、現管理会社のサービス内容を見直すことができるのか、それともそのまま維持して欲しいのかなども考えておく必要があるでしょう。

変更を申し出てきた管理会社に対して引継ぎまで最善を尽くしてもらう

管理会社から契約解除を申し入れられたということは、管理会社側になんらかの事情があるということです。

それは、管理会社として人材不足で管理が出来ない状況にあり、優先順位をつけた結果、自分たちの管理組合がふるい掛けられたということもあるでしょう。

または、人件費上昇に伴う管理委託費の上昇により、自分たちの管理組合の金額では見合わないため、解除の申し入れがあったということも考えられます。

その他、管理会社側の事情があるにせよ、管理組合の立場としては次が決まるまで継続してマンションを管理して貰う必要があります。

したがって、次の管理会社が決まり、引き継ぎが完了するまでは、仮に現管理委託契約が期間満了したとしても、その後の暫定契約として管理委託契約の更新を行うことが望まれます。

まとめ

今回は管理会社変更を検討している段階ごとに、管理組合として確認しておきたい点を紹介しました。

弊社に問い合わせがあった場合でも、おもに上記の9つの確認事項についてはお伝えするようにしています。

管理会社変更をする場合には、管理組合としても様々なフェーズがあるかと思いますが、今回の記事を参考に円滑に進めて頂ければ幸いです。

記事監修

マンション管理士:古市 守(ふるいち まもる)

管理会社変更をはじめとするマンション管理組合のコンサルティング、管理計画認定制度支援や事前審査担当、自治体のマンション調査、マンション管理コラムの執筆・監修などで活動。

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