自主管理から管理会社委託に変更したい場合の手順を分かりやすく解説

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自主管理から管理会社委託に変更する背景

そもそも、自主管理の管理組合が管理費増も覚悟しなければならない管理会社委託に変える背景にはどのようなものがあるのでしょうか?

まず挙げられるのが、自主管理が多い団地を中心とした住民の高齢化です。

竣工から年月が経っている高経年マンションは、比例して住民が高齢化している傾向があり、自主管理においては管理組合員にも負担がかかってきます。

管理会社委託の管理組合であっても理事長をはじめとする役員においては相応の負担がある中で、自主管理となるとその負担は比べ物にならないぐらい大きいものとなるでしょう。

また、修繕工事もますます複雑化してきており、自主管理で自ら発注するよりも、専門的なノウハウを持つ管理会社や、管理会社とつながりが深い施工会社へ発注することへの負担減も考えられます。

管理会社に依頼する前に管理組合で考えておきたいこと

実際に管理会社に依頼する前に、管理組合で考えておきたいことについて、確認しておきましょう。

このまま自主管理の継続が可能か理事会や総会で十分話し合う

管理組合としてすでに自主管理に限界がきているという答えが出ていれば必要はないかもしれないですが、自主管理を継続するか否かを管理組合内で十分に話しあっておく必要があります。

現時点や1、2年先まではまだ役員においても問題ないということであっても、管理組合はそれ以上継続して存続することを前提に考えなければなりません。

10年、20年先を見据えた場合、このまま自主管理で大丈夫なのか、今後引き受けてくれる管理組合員はいるのかなどを考えながら、結論を出していく必要があるでしょう。

方向性を管理組合全体として考えておくために、まずは総会で今後管理会社に委託する方針を決議しておくことも一つです。

管理費の値上げが可能かを確認する

管理会社に委託した場合、必要となる管理費は上がる事を想定しておく必要があります。

自主管理における管理組合の負担が軽減される代償といえるのではないでしょうか。

やや古いですが、平成30年度のマンション総合調査結果の管理事務の実施状況(その1)の回答結果によると、管理組合が全ての管理事務を行っている割合は全体の6.8%という数値がでています。

9割以上のマンションが管理会社に全部または一部を委託している現状、委託することに対するメリットが享受できるともいえます。

自主管理から新たに管理会社候補を検討するには?

自主管理から新たに管理会社候補を検討するに当たっての手順は、どのように進めればいいのでしょうか。

考え方の一例として具体的に紹介します。

管理組合内で専門委員会を設置する

自主管理から管理会社委託の方向性を出したら、管理会社選定委員会等の専門委員会を設置して具体的に詰めていくことが望まれます。

理事会内で管理会社の選定を実施することも考えられますが、通常のマンションの管理組合業務があることから、理事長をはじめ、各理事もそれなりの負担を強いられることとなります。

そのため、理事会の諮問機関である委員会などの組織を編成して、一部理事が兼務することにより、理事会と連携しながら進めるのがよいでしょう。

自主管理から管理会社に委託する方針を決める段階で委員会を編成して、討議しても良いと考えられます。

どのような管理会社にお願いしたいか委員会で検討する

具体的にどのようなタイプの管理会社にお願いしたいのかも重要になってきます。

自主管理で負担となっている一部を外部委託したり、全部を外部委託に切り替える等で受け持ってくれる管理会社も変わってくると考えられます。

また、管理組合の方針や理事会の個性に合わせて対応してくれる管理会社にすることも考え方としてあるでしょう。

管理組合と管理会社との間でのコストの折り合いがつくかどうかも考えられるので、管理会社におけるサービス品質のバランスも検討する必要があります。

事前のリサーチでどのような管理会社の特色があるのか、管理会社が担当しているマンションを確認したり、近隣のマンションはどのような管理会社に委託しているのか、確認することも必要です。

また、別のマンションにお知り合いがいたり、自治体の相談会等で管理組合同士のつながりがある場合は、委託している管理会社の評判や委託内容も、確認可能な範囲で確認してみるのも良いでしょう。

管理会社候補からの相見積もりを取得する

具体的に管理会社候補が挙がったら、各社から見積を取得します。

この場合、同じような管理業務を実施することとして、項目を合わせて依頼することによって、同一業務でどれぐらいの値段差があるのかなど、比較検討がしやすいこととなります。

また、事情によって見積に参加してくれない管理会社もあるため、管理会社は比較的多めに抽出しておくことも必要です。

委員会や説明会を通じて総会に上程して決議する

管理会社の相見積もりが出たら、委員会での検討や説明会を通じて、具体的に総会に上程することとなります。

管理組合員が参加する説明会の際に、具体的に候補管理会社各社からのプレゼンテーションを聞いて、組合員からアンケートや意見を貰って選定するのも一つです。

これにより、管理会社の支援体制や、担当者と責任者の仕事の姿勢なども把握することができます。

説明会を通じて、管理組合全体で合意形成が図ることができ、その後の総会もスムーズに進めることができます。

管理会社検討の際に注意したいこと

最後に、管理会社を検討する際に注意しておきたいことを紹介します。

自主管理よりも管理費が上がる可能性がある

前半でも説明しましたが、自主管理から管理会社委託になることによって、管理費が上がることを理解しておく必要があります。

管理会社も独自ノウハウを持っているうえ、管理事務等を担ってくれることとなるため、それなりにコストが掛かることをまずは理解しておく必要があるでしょう。

コストを軽減したい場合は、一部外部委託等により引き続き自主管理を行う部分を残しておくことも考えられます。

管理組合と管理会社との間でより良い関係を築いていく

これまで自主管理をしてきたマンションにとっては、管理組合の思い通りに行かないとなると、管理会社との利害が相反することも発生します。

管理組合としては、折角苦労して選定した管理会社なので、お互いにより良い関係を築いていくことを意識する必要があるでしょう。

管理組合側としても、委託内容に含まれない無理難題を依頼しないように注意する必要があります。

窓口は理事会に集約化する

自主管理の場合は、管理組合員が管理担当者に直接依頼や指示を出すことも多かったかもしれません。

一方で管理会社への管理に変わる場合には、管理会社の窓口である理事会や理事長を通じて、依頼する必要がでてくるでしょう。

様々な組合員から直接管理会社担当に指示を出した場合、管理会社としても理事会の意向との整合を取る手間が掛かり、クレーム対象となってしまう可能性もあります。

まとめ

自主管理から管理会社委託へ変更したい場合に、確認しておきたい手順について簡単に解説しました。

自主管理から管理会社を採用するにはそれなりに手続きが必要になってきますが、自主管理で管理していた場合に比べてかなり負担が軽減されます。

今後の管理会社委託を検討している自主管理マンションに対する参考になれば幸いです。

記事監修

マンション管理士:古市 守(ふるいち まもる)

管理会社変更をはじめとするマンション管理組合のコンサルティング、自治体のマンション調査、マンション管理コラムの執筆・監修などで活動。

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