マンションでよくある5つのトラブルと対応方法
マンションというコミュニティーで暮らす以上、同じマンションに暮らす方との近所付き合いは多かれ少なかれ必要です。その付き合いの中で、良い関係を築ける場合もあれば、そうでないこともあります。
今回は、マンションでよくある5つのトラブルとその対応方法について紹介します。
1.騒音に関するトラブル
上階の足音が響くとか夜間のテレビや子供の声がうるさいといったものや、近隣のピアノの音が我慢ならないというのが典型例です。よくあるトラブルの1つです。
当該事案がマンションのルール(管理規約・使用細則)に明らかに違反しているか否かを判断し、それに応じた対応をとることが大事です。その判断は、自己の考えだけによるのではなく、第三者である管理組合や管理会社にも相談すべきでしょう。
・明らかなルール違反がある場合
例えば、規則で決められた時間外にピアノを弾くことなどです。
この場合は、迷惑を被っている入居者からではなく、管理組合・管理会社からルール違反を指摘し、是正を図るべきでしょう。ルールを作成した主体である管理組合、またそこから委託を受けた管理会社が、その違反をチェックしなければ、実効的なものにならないおそれがあるからです。
騒音の問題が解決しない場合には、訴訟に発展する可能性もあります。
・明らかなルール違反があるとはいえない場合
音の問題は、各戸の生活スタイル・時間帯・家族構成などとも関連して考え方・感じ方に個人差があるのも事実。白黒つけがたく、管理組合・管理会社が間に入って解決するのに馴染まない問題ともいえます。
対応方法については色々な考え方があると思いますが、相手方の生活について十分な配慮を示しながら、ご自身の悩みや希望を丁寧・控えめに綴った書簡を出すのがよいのではないかと思います。
騒音が気になるのは、その音を出す方の「人となり」を知らないから、つまりコミュニケーション不足が原因であることも少なくなく、書簡をきっかけに交流が生まれ、これまで気になっていた音が気にならなくなった、むしろ自分の方が迷惑をかけていたのではないか心配になったといったこともあります。
その後のご近所付き合いがしにくくならないように、感情的でなく控えめな対応からスタートするのがよいでしょう。
2.違法駐車・違法駐輪に関するトラブル
間違って人の区画に駐めている場合はまだしも、親族が遊びに来ているので、本来は駐めてはいけない場所に駐めているといった内容が多いのではないでしょうか?
一番問題にすべきは、駐めてはいけない場所に車・バイク・自転車を駐めて、入居者の通行路、特に避難経路の妨げになっているような場合です。
共用部管理の問題そのものですから、管理組合・管理会社が率先して対応すべきです。一部の入居者が違法を犯している入居者にクレームをつけて済まされる問題ではないといえます。
理事会を通して注意喚起をおこない、すぐに是正していきましょう。
しかし、まれに違法に駐めたにはそれなりの理由があってというケースもあります。
例えば、マンションが竣工から年を経て、入居者が親から子の代に変わり子供が生まれて、自転車の台数が飛躍的に増加、駐輪場に入りきらず共用通路に溢れかえっている。このような事態は、共用通路への物品放置の違法を叫ぶだけでは解決しません。
現在の駐車場・駐輪場のニーズはどのような状況なのか、竣工時と同じ条件で使用することで足りるのか、足りないとすればどのようにルールを設けて、あるいはルールを改定して入居者間の公平と入居者の安全を図るべきなのか。
これは、まさに、共用部管理の責任を負う管理組合が検討すべき課題であり、また、管理組合から委託された管理会社が適切な提案をすべき義務を負っていると言えます。
3.ペット飼育に関するトラブル
観賞用小動物(小鳥・金魚など)の他、犬猫も飼育可とするマンションにおいては、犬猫の鳴き声や臭い等衛生の問題があり、犬猫飼育不可とするマンションにおいては、違法に犬猫を飼育するルール違反のトラブルがあります。
犬猫も飼育可とするマンションにおける犬猫の鳴き声の問題は、いわば騒音問題ですが、飼い主にコントロールできない場合もあって難しい面があります。臭い等、衛生面の問題も含めて、入居者間のコンセンサスやルールを形成していく必要があるのではないかと思います。
これに対して、犬猫飼育不可とするマンションにおける、犬猫の違法な飼育については、違法駐車・違法駐輪の問題と似て、違法を是正するという観点だけでは解決がつかないかも知れません。
「竣工当初から犬猫禁止の規則があったのだから、飼うのは止めてもらいたい」「あなたは、私の家族に死ねと言うのかっ!」
こんな怒号が飛び交うマンションの通常総会に立ち会ったことがあります。
高齢者の、それも単身・独居の世帯の唯一の家族が愛犬・愛猫だったら…。
入居者の高齢化問題とも相俟って、規則だからと簡単に割り切ってよいの か。これも、管理組合総会が、時代の変化・マンションの現状の変化を勘案して、改めて何らかの決断をすべき問題なのではないかという感じがします。
4.タバコに関するトラブル
公共の場は勿論のこと、家庭内でもタバコは吸えないことが多くなっています。非喫煙者を副流煙の害から守るためです。タバコの煙がバルコニーから隣家に流れ、洗濯物に臭いをつける、タバコの灰が上層階から落ちてくる等のトラブルが少なくないようです。
室内の換気扇の下で吸っても、換気システム等によっては他の住戸に煙が流れる心配があり、必ずしもお勧めできる方法ではありません。室内にタバコを吸える部屋を設け、空気清浄機を設置するなども考えられます。しかし、騒音問題と同様に入居者間のコミュニケーションを図ることが有用なのではないかと思います。喫煙者に配慮を示しながら、ご自身の悩みや希望を丁寧・控えめに綴った書簡を出し、それをきっかけに、率直に話し合ったらいかがでしょう。
バルコニーは、各戸の専用使用が認められるものの法定共用部分ですから、管理組合が、全入居者に対して、マナーについての注意喚起のお知らせをするのも一つの手です。
5.建物の不具合をめぐるトラブル
上階から下階への漏水(水漏れ)が、その典型例です。給水管・給湯管・排水管・ユニットバス設備の一部破損等、設備の故障を原因とする水漏れが多いですが、建物の不具合はなくとも何らかの原因で床に大量の水をこぼせば、水は容易に下階に漏水します。いずれも上階の区分所有者(又は入居者)の責任により、下階へ損害を与えてしまう例です。
自室への漏水を発見したら、まずは管理会社へ連絡して対応をお願いしましょう。区分所有者間の問題は管理業務の範囲外ですが、漏水原因が共用管であれば話は別。漏水原因を特定せずして、管理会社が何の対応もしないということはありえません。
直上階に原因があるとは限らず、ずっと上の階が原因だったということもありますので、自ら上階の方に連絡して対応するのはお勧め出来ないです。
漏水は、大きく分けて、専有部分専用の給水管の故障、排水管の故障、その他に分けられますが、給水管の故障なら、給水バルブを閉鎖すれば止まるはずですし、排水管の故障なら、上階の人がトイレや流し、お風呂などの水を流さなければ止まります。
原因究明が漏水対応の第1歩ですが、それは、管理会社とその協力業者である設備会社に任せましょう。
漏水の被害には、天井ボード・壁下地やクロスの汚損破損、衣類等物品の汚損 破損等が考えられますが、通常は、マンションで加入している賠償責任保険(個人賠償責任保険)で塡補されます。
保険会社へ保険金請求をするためには、事故直後に事故報告をする必要があり、その際、漏水箇所や原因箇所の証拠写真が必要となります。この写真は、普通は管理会社や保険代理店が撮りますが、タイミング等によっては、漏水跡が乾いて写真に写りにくくなりますので、被害を受けた自室の被害状況については、自ら写真を撮っておくことをお勧めします。
まとめ
以上がマンションでよくある5つのトラブルと対応方法でした。普段から同じマンションの居住者の方とコミュニケーションを取っておくことが一番のトラブル解決方法かもしれません。