マンション管理組合の法人化 – 知っておきたいメリットや法的ルール

管理組合法人

マンションの管理組合は法人化することができます。株式会社と同じように法人格を持つことができるのです。

ではなぜマンション管理組合を法人化するのでしょうか?法人化にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

ここでは、マンション管理組合法人化のメリット、手続き、法人格を持たない管理組合との違い、そして最後に管理組合法人の解散方法について紹介します。

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管理組合を法人化するメリット

管理組合を法人化するメリットは以下の3つが挙げられています。

1.管理組合と個人の財産の明確化

管理組合が法人化することで誰に帰属する財産なのか明確になります。

法人格を持たない管理組合は預金口座を持つことができません。そのため一般的には、マンションの理事長名義の口座を作って保管しているのです。

しかし、法人格があれば口座を持つことできるため、管理組合法人名義で口座を持つことができます。

『マンションの理事長名義の口座』であることに問題があるわけではありませんが、財産の区分がより明確になります。

2.管理組合法人化により法律関係の明確化される

管理組合が法人となるため、管理組合の内部のおいても対外関係においても、法律関係が明確になります。

管理組合は法律上曖昧な点もあり、様々な解釈がなされるのですが、それが管理組合法人となることで解決します。

また法人格となるので、不動産の登記、電話の加入、預金などの銀行口座の面においても、管理組合法人が主体となることができます。

3.取引が円滑に行える

管理組合が法人格を持つには登記が必要です。登記されることで、対外的に管理組合法人の存在や誰が代表なのかを公示することになります。

「法人である」ということで一連の取引が行いやすくなるのです。

以前紹介した機械式駐車場の対応事例!理事会が問題解決のために行った事とは?の記事にように、不動産を購入して駐車場を新たに建設するという一連の行為が法人名義で行えるということです。

法人格を持たない管理組合であれば理事長名義で行わなければならないでしょう。

となると、この例で言えば、理事長も土地を売却する側も不安ではないでしょうか?法人であれば、そのようなことを心配する必要はありません。

なお、法人化することで生じるデメリットは法人化の手続きをしなければならないことです。

そこまで大きなメリットがないように、大きなデメリットもありません。

管理組合を法人化するための手続き

管理組合を法人化するために特別な要件はありません。そのためどの管理組合でも法人化できることなりますが、法人化には以下の手続きが必要です。

マンションの法人化には特別決議が必要

管理組合を法人化するには区分所有者の4分の3以上に賛成が必要となる特別決議が必要です。特別決議についての詳細は普通決議と特別決議-マンションの総会決議の方法を参照ください。

また法人化の決議と共に法人名称を決めなければなりません。

管理組合の法人には決まった名称がある

そしてこの名称には「管理組合法人」という文言を利用しなければならないと定められています。

一般的には「マンション名」と「管理組合法人」という組合わせです。株式会社と同じで、「◯◯マンション管理組合法人」でも「管理組合法人◯◯マンション」でも構いません。

このルールを破ると罰金が科せられます。

管理組合と管理組合法人の違い

ここまで法人化のメリットや手続きについて紹介してきましたが、管理組合を法人化しても何か大きな違いがあるわけではありません。

理事長や理事、監事の仕事が変わるわけではありません。

なぜなら管理組合でも管理組合法人でも、主たる目的はマンションの管理だからです。それは法人格を持つ前後で変わるわけではありません。

管理規約もそのまま適用されるため、そのため大きな変化があるわけでないのです。

前述した管理組合を法人化する3つのメリットを利用して何かを実現する、そうなった場合に初めて検討すべき事項なのです。

管理組合を法人化しているマンションの割合は1割

平成25年のマンション総合調査では、管理組合を法人化しているマンションが12%、法人化していないマンションが81.4%、となっています。1割強のマンションが管理組合を法人化しています。

管理組合法人の解散

管理組合法人をなんらかの理由で解散することがあるかも知れません。法律上は以下の3つを解散理由として認めています。最後にその方法をご紹介します。

マンションの建物全部の消失

マンションがなくなってしまえば、組合員がいなくなり、組合そのものを維持できません。これは解散せざる得ないケースです。

マンションの専有部分がなくなる

これも1と同じ理由ですが、マンション全ての専有部分がなくなるというケースは想像できません。

総会で解散決議された時

管理組合法人を特別決議で成立されることができるように、管理組合法人を特別決議で解散させることができます。

この場合、マンションは存在し、区分所有者、管理組合も存在するため、もとの管理組合に戻ることになります。

管理組合法人化のまとめ

管理組合を法人化するのは1つの手段です。

何かすべき目的があれば法人化するべきですが、法人化していないからと言って組合運営に支障がある、というものでもありません。

ただ、マンションは過剰共有であり、慢性的な資金不足や、最近であれば民泊も話題になっています。

「管理組合を法人化して問題を解決する」そういったマンション管理組合はこれから増えていくかもしれません。

記事監修

マンション管理士:古市 守(ふるいち まもる)

管理会社変更をはじめとするマンション管理組合のコンサルティング、管理計画認定制度支援や事前審査担当、自治体のマンション調査、マンション管理コラムの執筆・監修などで活動。

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