系列管理会社から管理会社を変更するメリットとデメリット
多くのマンションデベロッパー(マンションの売主)や施工会社は、企業グループ内にマンション管理専門の部門会社を作って、自社で販売するマンションの管理を任せています。
つまり、マンションの建設から管理までをグループ系列で行っています。
しかし、グループ系列の管理会社でないと管理ができないということはありません。その理由を先日のスタッフブログ施工会社と管理会社がグループ系列でなくてもいい理由でまとめました。
今回は系列系の管理会社に管理を任せるメリット・デメリットを考えていきます。
系列管理会社に管理を任せるメリット
マンションデベロッパーは、マンションが竣工してから、建物や設備の部位によって期間の異なる保証(アフターサービス)を提供しています。
仮に不具合があった場合、デベロッパーは、管理会社を窓口として不具合対応を実施していきます。
この時、デベロッパーと管理会社の関係が円滑でないと、補修工事等がスムーズに進められなくなることがあります。
系列管理会社であれば、デベロッパーと管理会社の位置的・人的距離の近さから、コミュニケーションも取り易く、系列管理会社の担当が迅速にデベロッパーの担当に状況を報告し、修理等のアフターサービスを実施してもらうことができ、管理組合に迷惑を掛けない対応ができるのではないでしょうか?
例えばマンションの竣工1~3年ぐらいの期間は、デベロッパーはアフターサービスで、アンケートなどにより、不具合の確認と補修工事を実施しますが、管理会社を変更すると、アフターサービスを受けるための手続き上の流れが判らず、時間が掛かってしまうことがあります。
誤解がないようにしていただきたいのは、アフターサービスを提供するのは「管理会社」ではなく、「マンションデベロッパー」です。
「アフターサービスが受けられない」のではなく、「スムーズな対応が難しい可能性がある」というだけです。
系列管理会社のデメリット
管理費が高めに設定されていることではないでしょうか。
管理費を設定するときは、近隣事例・マンション販売時の競合物件の事例を参考にします。デベロッパーは、マンションが売れないと、元も子もなくなるため、極端に高額な設定は許しません。
しかし、グループ会社全体で利益を確保していく考えは共有しているので、管理費を安く設定することもしません。管理費を高めに設定する代わりに、当初の修繕積立金を安く設定している可能性があります。
また、大手系列管理会社は、エレベーター等、各種設備の点検をそれら設備のメーカー系のメンテナンス会社に発注することが多いため、割高な分、安心料もコストに含んでいます。
さらに竣工後から入っている、住民や管理組合と最初に信頼関係を構築するデベロッパー系列の管理会社です。そして、住民が検討を重ねた末に愛着を持って購入したマンションブランドであるかもしれません。そのような場合は、最初のうちはその管理費用が安心感から普通であると認識し、費用対効果が適切かどうか気づきづらいデメリットはあります。
したがって、入居当初からお願いしているマンション管理会社や管理員さんに不満が無ければ引き続きお願いしようと考えるのが一般的な心理でしょう。
しかし、往々にして分譲時のマンションの管理費は割高に設定されていますので、見直しをされることをおすすめしています。
系列管理会社に管理を任せることについて
そこまで大きなメリットは感じないというのが実情ではないでしょうか?
「系列系管理会社に任せておけば安心だ」という心理的な気持ちも十分に理解できるのですが、実際それは実態のないもので、紐解いてみれば、管理会社を変更しても、系列会社でないことによる問題が起きるわけではありません。
これからは管理会社は自分たちで選ぶ時代です。しっかりと見極めていくことが大事なのではないでしょうか?
最後に管理会社を変更するメリットとデメリットをご紹介します。
管理会社を変更するメリット
目に見える効果として管理費を削減できることです。
マンションも竣工から10年を経過すると、ほぼ全ての保証が切れます。保証が切れると、デベロッパーは不具合に対する面倒を見なくなってきますので、デベロッパーへの窓口が、系列管理会社である必要性は低下します。
この時に、管理費の削減、適正化のために管理会社の見直しを検討してみることは、必要ではないでしょうか?
見直すべきタイミングは?
タイミングとしては竣工から10年が経過した保証が切れる時期が一つの目安ですが、その後竣工から12年以降に掛けて大規模修繕工事を検討する時期に差し掛かります。
大規模修繕工事の際、引き続きこれまでのデベロッパー系列の管理会社で行うのか、それともこの際に変更して新たな管理会社のもと実施するのかも、管理組合にとって一つの決断となります。
さらに、修繕時期が近づいてくると管理費だけではなく修繕積立金も意識しなければなりません。特に住民にとっては管理費と修繕積立金は切っても切れない関係なので、適切な管理費となっているかの見極めが更に重要であると言えるでしょう。
また、管理会社を変更すると、後任の管理会社は、前任の管理会社から業務を引き継ぎます。この時に、前任の管理会社の管理方法の手落ちや書類の不備があれば、それを発見することができ、改善につながります。
管理会社を変更するデメリット
安いだけの管理を選択してしまう可能性があります。
例えば、独立系の管理会社は、管理費を安くしてくれますが、大規模修繕工事や、比較的金額の大きな工事の自社受注を目指してきます。
その金額の妥当性について、管理組合として相見積書の取得等を管理会社任せにしないで、どう検証するかの仕組みを構築しないと、不必要な支出が発生する懸念があります。
また、担当フロントが系列管理会社に任せていた時より、マンションの現場巡回にあまり来なくなる事例もあるようです。
かえって住民や管理組合に対する管理の質の低下を招き、変更しない方が良かったという事態にもなりかねないので、注意が必要です。
安いということは何処かで何かを削っているということです。
「安かろう悪かろう」を選ばず、適正価格で適正な管理を提供する、自分たちにあった管理会社を選択すること、これが管理会社を変更する上で最も重要なことです。