修繕積立金が足りない!不足を解消するための5つの提案

修繕積立金が不足

多くのマンションでは修繕積立金が不足しており、それは国も認めている事実です。

国交省が作成している修繕積立金ガイドラインでも『修繕積立金の額が著しく低く設定されており、必要な修繕工事費が不足する事例も発生している』と記載されています。他にも長期修繕計画作成時点よりも、修繕工事費が高騰しているなどの理由もあります。

いずれにせよ、修繕積立金不足は看過できる問題ではありません。

しかし、長期修繕計画に対して必要な修繕積立金が足りない、このような状況であったとしても、すぐに値上げを検討する必要はありません。

修繕積立金が足りない場合、管理組合が値上げの前にできる対応策をご紹介します。

目次
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修繕積立金の不足を解消するために

長期修繕計画に対して修繕積立金が不足するということは、何かしらの手段を用いて今よりも多く修繕積立金を積み立てねばならいないということです。

修繕積立金を増やす方法は基本的に以下の2つです。

  1. 修繕積立金を値上げする
  2. 管理費を削減し、余剰分を修繕積立金に回す

今回は後者の方法、管理費の削減について4つの提案をご紹介します。

1.管理会社の見直し・変更

マンションの管理費の大部分は占めるのは管理会社への管理委託費です。

そのため、これを削減することができれば大きな管理費の削減(収入アップ)につながります。しかし、管理会社にただ値下げしてくれとお願いしても管理費は下がらないでしょう。

管理会社も自社の利益を守る必要があります。

しかし、削減には有効な手段があります。それは「競争の原理」を持ち込むことです。参考までに競争の原理を用いた管理費の削減事例をご紹介します。

管理費の削減事例

仮に削減額をそのまま修繕積立金会計に繰り入れるのであれば、上記の九州の組合様であれば、年間229万円、大規模修繕のサイクルといわれる12年で2748万上乗せできることになります。他の管理組合様も12年間で2000万円以上管理費を削減されています

つまり修繕積立金を2000万円分積み立てた、という事です。

競争を持ち込むことは有効な手段です。そして、交渉だけでは管理費を削減するのは難しいということです。ぜひ、管理会社の見直しも検討してみてください。

参考リンク:【保存版】マンション管理会社の変更手順とメリット・デメリット

2.電気料金の見直し

電子ブレーカーの導入

電子ブレーカーの導入とは、契約電力を基本料金を下げる仕組みの導入のことです。電力料金の削減で最もポピュラーなのは、「電子ブレーカーの導入」だと思います。

例えば、マンション全ての設備が同時に動いたことを想定した最大値の電力を契約電力して結んでいたとします。電子ブレーカーを導入することで、ブレーカーに内臓されたCPUがこれを制御し、一時的に契約電力を超えても、電気用品安全法で定められた許容範囲まで使用できるようにするものです。

電子ブレーカーの初期導入費がかかりますが、2、3年で償却でき多くの管理組合で取り入れられている仕組みです。下記の実例では2.8年で償却でき、3年後から黒字化しています。

電気料金の削減

電気機器のLED化

蛍光灯からLEDに電気を変更することで、消費電力が抑えることができ、管理費の削減につながります。こちらも同様に初期費用はかかります。またこの初期費用は、LEDに対応している照明器具か否かによってもかわります。

LEDはまだ価格が高いのがネックですが、白熱電球、蛍光灯は2020年を目処に製造禁止が決まっています。

これに合わせてまた価格も下がってくるのではないでしょうか?すぐに対応する予定はなくても将来に向けて検討は進めてもよいかと思います。

他にも蓄熱ヒーターや太陽光発電などもあります。また最近は電力の自由化も控えており、電力会社を見直すだけでも光熱費は大幅に下がるのかもしれません。

3.設備契約の見直し

マンションには様々な設備があり、それをメンテナンスする業者がいます。このメンテナンスを行う業者には、製造から保守まで行うメーカー系と製造はしていない独立系の2種類があります。

そして、メンテナンス契約内容には定期的な交換を行うFM(フルメンテナンス)契約と、傷んだ部品だけを取り替えるPOG(パーツ・オイル・グリース)契約の2種類があります。

これらの内容の見直すことで管理費は下がります。

  • 今まで何の問題もなかったメーカー系の会社に引き続きメンテナンスをお願いする
  • 将来の不足に備えコスト削減のために、独立系に切り替える

どちらを選択するかは、マンションの資金状況と組合の判断になります。

この設備契約の見直しについてはメンテナンス契約と管理費削減の関係で詳しく説明しています。

4.保険契約の見直し

保険の補償内容の見直しで保険料は削減できます。

例えば地震保険の有無だけで、保険料は大きくかわります。東洋経済第6632号の「理事長はこんなに怒っているんです」という特集でエレベーター、配管、外壁は地震保険対象外だから削りたいとの記載がありました。

保険は何か起きた際に補償してもらえることが大事なので、よく検討する必要があります。また補償は変更しなくても、保険の契約期間が1年であれば、5年契約に変更するだけでも5年の割引が適用されるので削減効果はあります。

保険についての詳細は管理組合がマンションに掛ける保険と8つの値上げ対策で紹介しています。

5.新たな収益手段の検討

新たな収益手段を検討することにより、区分所有者への費用負担を軽減することも考えられます。

具体的な策としては、マンションの敷地内にある空いている駐車場をマンション住民以外の方に貸し出すことなどです。

また、普段はあまり使用していない集会室をマンション住民だけではなく、近隣町内の自治会やカルチャーイベント、地域住民のコミュニティの場として貸し出すことも考えられます。

マンション内で完結しがちなマンション住民にとって、地域住民に対する貢献度も上がる可能性もあり、一石二鳥とも考えられます。また時代の流れでテレワークが一般化する中で、住民がテレワーク業務を行う場所として貸し出すこともあり得るでしょう。

そして、特に都心部では駐車場代や維持費がかかる事から、車を所有することに代わり必要な時に借りるということも増加傾向です。

そのようなニーズに対応するために、マンション住民向けサービスとしてカーシェアを行うという手段も考えられ、カーシェア業者に駐車場区画を貸し出すことも考えられます。

ただし、これらの管理組合としての収益向上手段は、税務申告や納税についても合わせて考えていかなければならないため、税理士費用が掛かるなど注意が必要です。

さらに、収益施策によっては規約の変更も伴うこととなります。そのため、有効である対策について、費用対効果を見定めながら実施することが必要です。

どうしても修繕積立金が足りない場合

ご紹介したコスト削減方法として、どうしても対応が難しいことや、実施しても修繕積立金が足らない場合は、政府系金融機関である住宅金融支援機構から修繕積立金自体を借り入れるという方法もあります。

ただし、こちらは費用削減の手段でなく、他からの借り入れとなるため、将来的には返済しなければなりません

しかしながら、借入申込時点で返済計画が明確になるため、返済計画が立てやすく、管理組合に対する合意形成も取りやすい点はメリットとして挙げられます。

さらに、耐震改修工事を予定していることや、積立て商品であるマンションすまい・る債と併用することにより、借入金利引き下げのメリットもあり、恩恵も少なからずあります。

修繕積立金は借入を検討しながらも、国や自治体の補助金で賄うということも考えられます。

こちらは特に高経年マンションには有効な施策です。

十分な修繕積立金がないために、大規模修繕工事を先送りにすることはかえってマンションの価値を下げることに繋がってしまいます。大規模修繕で改修すべき所をしっかり見積もりつつ、それでも足らない場合はこのような借り入れる手段も考えるべきでしょう。

修繕積立金不足の解消提案について

おそらく多くの管理会社はここでご紹介した、2から4については提案されているのではないでしょうか?もしくはもうすでに実施されているかもしれません。

けれど管理会社の見直しや変更を提案する営業マンはいないでしょう。管理会社もリプレイスされてしまっては困ります。

しかし裏を返せば、管理会社の見直しで競争の原理を持ち込むことで、マンションの管理費は大きく削減できるということです。それはご紹介した事例の通りです。

そしてもう1つのポイントは、ここで紹介している事例は低価格を売りにしている管理会社への変更ではなく、管理の質を売りにしている管理会社への変更でこれだけ管理費が下がっている事です。

マンション管理に対する意識は薄くなってしまいがちです。しかし、管理費の削減に取り組むか取り組まないで、修繕積立金には大きな違いが生まれてきます。

大規模修繕で修繕積立金が不足しないように

多額の修繕積立金が必要になるのはマンションの大規模修繕工事です。

大規模修繕にはどうしても多額のコストがかかってしまいます。そして、修繕積立金が不足してしまう場合、値上げや一時金は管理組合の揉め事の種となり、その先に良い結果はありません。

修繕積立金が不足した場合は、まずは将来の不足に備えてマンションの会計を見直すこと、不要なコストは削減する努力が必要です。

記事監修

マンション管理士:古市 守(ふるいち まもる)

管理会社変更をはじめとするマンション管理組合のコンサルティング、自治体のマンション調査、マンション管理コラムの執筆・監修などで活動。

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