投資用マンションでの管理費横領
以前、管理費の横領?!マンションの元理事長を逮捕を紹介したのですが、先日のマンション管理新聞にまた理事長による管理費の横領事件が載っていました。
今回の被害総額は448万であり、被告である理事長は控訴したものの棄却されたそうです。
今回はなぜ、投資用のマンションで管理費の横領が起きたのでしょうか?
投資用マンションでも管理組合は必要!
投資型のワンルームマンションであったとしても、管理組合は必要です。マンション知恵袋のマンションの管理組合で詳しく説明していますが、区分所有法により投資用のマンションとはいえ、管理組合の設立は必ず必要です。
今回はそれを逆手に取ったとも言える方法です。
もともとは管理会社に管理を委託していたようですが、この理事長は自主管理への移行を提案し、理事長になったようです。そして、理事長だけではなく、会計業務に関しても兼任していました。
本来であれば、通帳と印鑑は別々で管理、つまり分別管理をしなければなりません。これは不正を防ぐための手段です。
冒頭で紹介した理事長の横領もこれができていなかったために、横領事件に発展しました。
今回も同じです。分別管理がされていなったために発生した問題です。
また、居住用ではなく投資型のマンションであったのも要因の一つかもしれません。投資用としてマンションを購入する場合、利回りは気にしますが管理を意識する方は少ないのではないでしょうか。
30年後も資産価値を維持し、投資用マンションとして活躍するには、行き届いた管理や適切な修繕が必要にもかかわらず、それらについては意識が低いのが現状ではないでしょうか。
実際、このマンションで自主管理移行後に、火災報知器や貯水槽などの必要な法廷点検が正しく実施されていたかは疑問です。
マンション自主管理の3つのデメリットでも紹介していますが、このマンションが自主管理に移行し、この理事長になって以降、『管理の安定性・継続性が確保されない』『建物・設備の管理が不十分になる』『マンションの資産価値が低下』の問題はきっと起きていたでしょう。
管理費の横領を防ぐにはどうすればいいのか?
1.通帳と印鑑は別々で管理すること
前述しているように、通帳と印鑑を別々で管理することは必須です。一人で両方を持ってしまうと個人の意思だけでマンションの管理費を引き出せる状況になってしまいます。
2.理事長以外も承認させる
金銭の支出を伴うものに関しては、例えば、副理事長の承認も必要とするなどです。こうすることで抑止力を持たせることができます。
3.外部の専門監査役を付ける
規模が大きいマンションの場合は公認会計士などに監査を委託してもいいのではないでしょうか。本来は監査理事がその役割を果たすのですが、大規模マンションは有償であっても委託する価値はあるかもしれません。
ここでは3つの対応案を紹介させていただきましたが、最も重要なことはマンション管理に意識を持つことでしょう。
特に投資用のマンションの場合、買ったら終わりで20年後には元が取れ、その後は利益が発生するというような謳い文句があります。
しかし、マンションは買ったら終わりではありません。適切な管理をしなければ、資産価値は下がります。修繕工事をしなければ、見すぼらしいマンションになってしまうかも知れません。また修繕積立金が不足して一時金が必要になれば、最初の利益計算は大きく狂ってきてしまうでしょう。
反対に管理会社を見直すだけで管理依託費を大幅に下げることができます。もし管理費を削減できれば、利益計算はプラスに転じることができる可能性があります。
普段住まない投資用だからこそ、自分以外の他人が見たときに、『このマンションに暮らしたい、このマンションが欲しい』と思ってもらうことが重要なのではないでしょうか。