マンションの役員報酬の支払い実績ってどのくらい?

分譲マンションを購入すると必ず管理組合員なります。そして、管理組合を運営するために理事が選ばれます。この理事選出には立候補、推薦、輪番制がありますが、最も多いのは輪番制です。

輪番制とはいえ、順番が回ってきた場合、理事としての職を全うしなければなりません。しかし、多くの方は自分の仕事を持っている傍らで、理事の仕事も行うことになり、理事会の仕事は、日中の仕事が終わった後の夜、もしくは土日などを利用して行うことになります。

管理会社に管理業務を委託しているとはいえ、理事長は管理人の方からの報告や、書類の印鑑、住民のトラブルの対応なども行わなければならないため、その仕事は思った以上多いのが現実です。

理事の職を全うするための理事会メンバーに対して「役員報酬を支払う」という考え方があり、この考えについては標準規約でも記載されています

では、実際にどのくらいの管理組合が役員報酬を支払っているのでしょうか?

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マンションの役員報酬の実績

戸数別の役員報酬の有無

戸数合計
役員全員に
報酬を支払
っている
理事長のみ
報酬を支払
っている
報酬は支払
っていない
その他不明
20戸以下12511110625
21〜30戸265434206210
31〜50戸524787406528
51〜75戸483837373528
76〜100戸260563187212
101〜150戸254702170111
151〜200戸1012916722
201〜300戸14151187-2
301〜500戸9936160-2
500戸以上401512112
不明306- 115-8
全体2,322478291,6982097

2322組合中、478組合が役員全員に、29組合が理事長に役員報酬を支払っています。

そのため、全体としては2割のマンション管理組合で役員報酬が支払われています

マンションの規模が大きくなるに連れてその割合も増えています。やはり、戸数規模が増えるほど、審議する議案も多く、また扱う金額も増え、負担も大きいことが推測されます。

理事長のみに支払っているというケースも、調査対象の中では最も大きい501戸のマンションの割合が高くなっています。

役員報酬の支払い額で言えば、月額ベースで、5千円未満のマンションが53.1%、1万円未満のマンションが24.2%、1万円超のマンションが22.7%となっています。

より細かな情報は『国土交通相平成25年度マンション総合調査』にありますので、ぜひそちらも確認してみてください。

役員報酬を支払うメリット

では、理事メンバーに役員報酬を支払うメリットは何なのでしょうか?

まず考えられるのはモチベーションアップではないでしょうか?前述の通り、理事会の仕事は休日に行われること多いため、休日を潰してまで理事会の仕事をしたくない、と考える方は多くいらっしゃいます。

インセンティブとして役員報酬を支払うという考えですね。

また報酬が発生することで、責任がうまれ、管理の質がアップすることが考えられます。無関心ではなく、積極的にマンション管理に関わっていくことで、管理の質のアップにつながります。管理が行き届いているとされるマンションは資産価値の面からも評価が高くなります。

役員報酬自体はそれほど大きな金額ではないかもしれませんが、このようなメリットが考えらるのではないでしょうか?

役員報酬について

筆者も理事を経験したことがあるのですが、理事のメンバーはなかなかに大変です。理事会で休日が丸一日潰れしまうこともあります。大規模修繕が近ければ、頻繁に打ち合わせを重ねなければならないでしょう。

また、組合にとってメリットがある提案であればよいのですが、例えば、修繕積立金不足で値上げを提案する場合、責任はその期の理事会メンバーにあるわけでないのに、総会で組合のメンバーから槍玉に挙げられることもあります。

また理事長ともなると、日々の組合員、管理人、管理会社からの問い合わせに対応しなければなりません。

そのため、役員報酬を支払うという考え方には個人的には賛同です

一方で、払う側ともらう側の構造ができてしまうため、お金を払っているのだからもっとしっかりやってほしい、理事長は多くもらっているのだから理事長に任せておこう、となってしまう可能性もあります。

役員報酬は名称こそ「報酬」ですが、それほど大きな金額ではないため、労いという程度で考えるほうがうまくまわっていくのかも知れませんね。

記事監修

マンション管理士:古市 守(ふるいち まもる)

管理会社変更をはじめとするマンション管理組合のコンサルティング、管理計画認定制度支援や事前審査担当、自治体のマンション調査、マンション管理コラムの執筆・監修などで活動。

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