売れるマンション6つのヒント
分譲マンションをお持ちの方の中には、そこを終の住処ではなく、売りたい、貸したいと思っていらっしゃる方も多くいるはずです。売れるマンション、賃貸しやすいマンションとは、どのようなマンションなのでしょうか。
売れるマンションとは、簡単にいえば、自分が買いたくなるようなマンションです。マンションを買いたいと思う多くの人がおり、それぞれの事情は十人十色ですが、買いたくなるようなマンションの条件の中心は、大きな違いはありません。そこで今回は売れるマンション6つのヒントについてご紹介していきます。
1.マンションのロケーション(立地)がよいこと
「商品」としての建物、つまり、分譲マンションや分譲賃貸などの価値の大部分は、その建物が建っている場所(立地)すなわち、ロケーションで決まるといっても過言ではありません。
ロケーションは、基本的にはマンション購入後にどうすることもできません。それだけに立地は最も重要な条件です。では、売れるマンションのロケーションは、一般的にどのように言われているのでしょうか?
<求められる立地の条件>
- 最寄り駅から近いが、商業施設が近くにない。反対に近隣に公園があるなど、住環境がよいこと。
- 最寄り駅から、事業所(職場)の多い都市中心部へのアクセスがよいこと。
- 最寄り駅のある鉄道路線・沿線に、人気エリアがあること。またグレード感などの観点からも人気路線であること。
- 古くから地盤が堅いと言われている地区であり、水害を受けにくい高台に建っていること。
- 公共施設(病院)や教育施設(小学校・中学校)に、大学附属のものや有名校があるなど、充実していること。
- 日用品(特に、生鮮食料品)の買い物が楽にできること。(近くに大手スーパーマーケットがある等)
住みやすい地域であるが、安全であり、生活圏内にスーパーマーケットなどがあること、高い要望かも知れませんがこれが立地としての価値を高める条件になります。
2.「ブランドマンション」であること
バッグや衣服などと同様に、分譲マンションも、三菱地所、野村不動産を筆頭にした大手デベロッパーによる「ブランドマンション」に人気があり、売れるマンションとなります。
「大手不動産が販売しているから間違いのないマンションだ」とは言い切れないのは、最近明らかとなった、横浜のマンション傾き問題(三井不動産)をみても明らかです。しかし、中小のゼネコン・デベロッパーによる建設の方が安心という根拠もなく、問題に対する対応・解決(保証など)を考えると、やはり大手が安心ということになるのです。
3.築浅であること
マンションは、時と共に経年劣化し、土地(通常は敷地権でしょう)の価格が高騰しない限りその資産価値は下がっていき、最終的には建て替えということで、その一生を終えます。マンションのロケーションが再開発が見込めそうな地区で、デベロッパーから買取のお声が掛かりそうというのでもなければ、古いマンションにはニーズが乏しく、売れるマンションとはならないでしょう。
賃貸の面でも、古いマンションは、区分所有者(貸主)が多額の費用をかけてリフォームしたのでなければ、設備やデザインなど至るところに衰えと陳腐化が散見され、貸しにくいものとなります。やはり、マンションはできるだけ新しい方が売れる、貸せる、そういえます。
特に、昭和56年以前の旧耐震基準で建てられた建物のうち、耐震診断も耐震補強もなされていない建物は、安全性の面でも、購入時に融資を受ける場合でも、新しいマンションに差をつけられてしまいます。
4.住居の位置
部屋が南向きの角部屋にあり、高層階にあること。この住居の位置は一つのポイントです。
バルコニーやLDKなどの主要室が、南・南西・南東に向いている、角部屋である、上層階の部屋、この方が人気があり、売れるし貸せるし、価格も高くなります。
日が当たらない北向きの部屋などは住んでみると思っている以上に暮らし難いということがあります。また最近ではセキュリティ意識も高まっています。1階や2階よりは上階層のほうがセキュリティが高いため、それだけ売りやすく貸しやすいということになります。
5.近隣相場と比較してコストパフォーマンスが良いこと
分譲マンションを「商品」として捉えて見た場合、当然、コストパフォーマンスが高い方が売れる、また、貸せるマンションになります。竣工年、グレード、間取りなどを勘案して近隣物件の募集事例・成約事例などから売却価格・賃貸価格を設定するわけですが、この相場価格が他物件と比較して安めと感じられれば、売れる、また、貸せるマンションになります。
マンションに好条件が乏しい場合には、思い切った減額をしてコストパフォーマンスが高いマンションにして売れる、貸せるマンションにする、という言い方もできます。
その際、注意しておきたいのが、売却前・賃貸前に実施するリフォーム工事です。全く実施せず(経費をかけず)値段を安価にして集客するのか、若干でもお化粧をした方がお客様がつきやすいのか、さじ加減が大事です。自分のマンションにどのようなニーズがあり得るのかを想定して慎重に決定することが必要で、安易にフルリフォームすることのないように気をつけたいところです。
6.マンションの管理が行き届いていること
マンションのエントランスが薄汚れているマンション、このようなマンションが売れるマンション、貸せるマンションであるはずはありません。買いたい、住みたいとは思えませんから。しかし、問題は美観だけではありません。このようなマンションは、大抵、共用部清掃の経費を削減しなければ管理費会計が苦しいという状況であるはずですし、修繕積立金会計も足りないでしょう。
マンションの売却を仲介業者に依頼すると、仲介業者は必ず管理会社に「重要事項調査報告」を求め、当該マンション全体の管理費滞納の状況や修繕積立金残額、大規模修繕の履歴などを尋ね、これを顧客に伝えます。
マンションの管理が行き届いていないマンションは、マンションの会計が上手くいっておらず管理費がいつ値上げされるかわからない、適正サイクルでの修繕がなされておらず修繕積立金も底をついているから、購入後にいつ一時金の支出や修繕積立金の値上げがされるかわからない。
快適な生活の重要な要素となる美観もさることながら、思いがけない出費を強いられる懸念があるため敬遠され、売れないマンションとなります。
売れるマンションは、管理が行き届いているマンション、つまり、会計や修繕が計画的かつ適正になされているがゆえに、日々の生活の快適性・安全性が維持されているマンションです。「マンションは管理を買え」といわれる所以でもあります。
変えられること、変えられないこと
全ての条件を兼ね備えているマンションは少ないでしょう。ひょっとしたら、そんなマンションは存在しないのかも知れません。しかし、これら条件が多く揃っていればいるほど、売れるマンションであり、条件を欠けば欠くほど売れないマンションです。
そして、最後に立地であったり、築年数であったり、施工会社は変えることができません。しかし、マンションの管理は改善することができます。
もし少しでも売れるマンションにしたい、マンションの資産価値を高めたいのであれば、一度マンション管理について見直しをしてみることをおすすめします。