マンションの修繕積立金不足は管理費の削減で解消できる
「修繕積立金が足りない」「修繕積立金の値上げをしないといけない」など、修繕積立金で悩みを抱えていないでしょうか?
当社の調べでは実に「半数のマンションが修繕積立金の値上げをした」、または「値上げを行う」という状況です。
つまり、多くのマンションでは修繕積立金が不足しているのです。そしてこれはマンション管理、マンションの資産価値の観点において非常に重要な問題です。
しかし、マンションの管理費は管理会社の見直しによって大幅に削減することができます。
そこで、管理会社の見直しによるマンション管理の削減で、修繕積立金の不足がどれだけ解消されるのか、シミュレーションしました。
修繕積立金の不足解消シミュレーション
横浜市の54戸のマンションでは、管理会社の見直しによって年間280万円の管理費を削減することができました。
このマンションで削減できたら管理費を修繕積立金に上乗せした場合、どれだけ不足が解消するのかをシミュレーションしています。
なお、このシミュレーションでは、竣工から12年後に大規模修繕工事、15年後に配電盤など通信機器の工事、20年後に機械式駐車場工事、24年後は再び大規模修繕工事、30年後にはエレベータ更新があるという前提のグラフになっています。
黄色のトレンドライン
黄色のラインは管理費を削減し、その分を修繕積立金に上乗せした場合のラインを示しています。
青色のトレンドライン
青色のラインは管理費を削減せず、毎年定額で修繕積立金を積み立てた場合のラインを示しています。
緑の棒グラフ
緑の棒グラフは修繕工事費の累計額を示しています。
シミュレーションの考察
このシミュレーションでは、管理費を削減しなかった場合、20年目に修繕積立金の累計額と修繕工事費の累計額が逆転しています。
このタイミングで修繕積立金不足が発生し、24年目の大規模修繕、30年目のエレベーター更新では修繕積立金が全く足りない状況になっています。
このような状況にならないために、多くの管理組合では、修繕積立金の値上げをしたり、大規模修繕の前には一時金の徴収を行ったります。一時金の金額も100万近く必要な場合もあります。
一方、管理費削減分を修繕積立金に上乗せした場合には、24年度の大規模修繕まで修繕積立金が足りなくなるということはありません。
管理費削減の効果と修繕積立金不足の解消
あくまで『このグラフのシミュレーションにおいて』ですが、管理費を削減せず初期設定で修繕積立金を運用した場合、初期設定額を50%引きあげることで30年目の工事がなんとか賄えるようになります。
一方管理費を削減額を積立金に上乗せ場合12%の上乗せで30年目の工事も余剰が生まれます。
多くのマンションでは2回目の大規模修繕で工事費が不足するとの調査結果がありますが、このマンションの積立期計画もその通りになっています。
そのため、多くのマンションでは修繕積立金が値上げされているのです。
しかし、管理費を削減し、修繕積立金に回すことができれば、将来に予定されている修繕積立金が2倍に跳ね上がるような値上げや、何十万とする一時金を抑制することができます。
マンションに住む場合においても、不動産として売りに出す場合においても修繕積立金は重要なポイントです。大規模修繕の一時金で何十万と必要になるマンションは、購入者にとって魅力的には映らないはずです。
修繕積立金の不足を解決するには
修繕積立金が不足する原因は、マンションの販売の構造に原因があります。
分譲時に購入意欲を削がないように、修繕積立金を低く設定しランニングコストがかからないように見せています。それだけであればよいのですが、反対に管理会社の収入源となる管理費は割高になっています。
マンション管理においては、支払いである管理費はできるだけ抑え、貯金である修繕積立金をしっかり積立ていく必要がありますが、これが逆転しているために、修繕積立金が不足する、結果、値上げや一時金が必要になるという問題が起きています。
しかし、前述の通り管理費は割高であるがゆえに削減することができます。そして、管理費の削減によって修繕積立金の不足は解決できます。
もし修繕積立金の不足で値上げを検討されているのであれば、管理費の削減について一度理事会や総会で検討してみてください。