リゾートマンションの内情!皆が知らない滞納、派閥、しがらみ

リゾートマンション管理の内情

格安な価格で、テレビや新聞にも取り上げられるリゾートマンション。

それはバブル期に過剰供給され、価格が暴落したという内容は周知の内容ですが、それはリゾートマンションを外側から見た話ではないでしょうか?

今回はリゾートマンションの外側ではなく内情の話をご紹介したいと思います。

目次
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1.リゾートマンションには長期多額の管理費滞納が非常に多い

リゾートマンションも年数が経ち、ちょっと古いなというようになると、物件価格は、極めて低廉になります。

しかし、物件価格が安くなるに従って管理費も安くなるということはありません。

歳をとって収入がなくなると、管理費が重荷になりますが、売却してもいくらにもならない。また売れない。だから、売る気が起きず、ズルズルと所有し続け、気がついたら長期多額の滞納者。任意売買のアドバイスをしてくれる人もいない。

こうなったら、もう、自分ではどうしてよいかわからず、雲隠れ。

こんな滞納者が数人いると、管理組合の未収額は、あっという間に1000万円を超えてしまいます。

滞納額が多額になるまで放っておいた管理会社の責任も大きいと言えます。賃借人なら滞納すれば契約解除で出て行けとなりますが、相手が所有者だから、このような状況になりがちです。

「自分が理事長の間に何とか決着をつけたい。これまで滞納に手をこまねいて見ていただけの管理会社にはやめてもらおう」

リゾートマンションでは管理会社のリプレイス(変更)が非常に盛んです。

そのキッカケは長期多額の滞納をなんとか欲しいということが少なくありません。

もちろん、それ以外にも要因はあります。

例えば、リゾートマンションの管理は、デベ系大手、独立系大手と、大手が入っていることが多いのですが、大手のフロントマンは東京にいて日常の管理は現地管理員に任せきり。

担当物件数も多いから、オーナーの要望が伝わらない、動かない。こういうこともリプレイスの要因の一つでしょう。

なお、リゾートマンションは、リプレイスだけでなく、規約・細則改正にも積極的と感じます。

2.リゾートマンションは意見がまとまらない

リゾートマンションといっても、全てがリゾート使用ではなく、元の地権者を含む地元に生活の基盤がある常住者もおり、その割合が増えています。

その理由は、上にも述べたように、物件価格が格安だからです。

極端な話、新築当時は都会のセレブの別荘だったのが、古くなれば誰でも買えるようになり、地元の方の自宅ということになるのです。

もちろん、セレブが都会を引き上げて常住ということもありますが、リゾートマンションでは、リゾート使用者と常住者とのバランスを取ることが重要です。

例えば、常住者は宅配ボックスが欲しいが、リゾート使用者には不要。常住者は良い集合インターホンが欲しいが、リゾート使用者には不要。年始の門松・しめ飾りをどうする?など。

こんな具合に、管理費・修繕積立金の支出の仕方など、色々な局面で見解の相違があります。

考え方、背景がまったく人達がオーナーなので、意見がまとまりません。

では、理事会の構成をリゾート使用者、常駐者でバランスよく人選すればいいのでは?となりますが、それは必ずしも簡単ではありません。

3.問題が横行するマンション管理

古いリゾートマンションでは、元の地権者がやりたい放題、ということがよくあります。

事実かはわかりませんが、等価交換で数室もらい、身内で理事になり、自分らは管理費払わないばかりか、身内を管理員にして管理費から年収1500万円とかいうこともあるようです。

前述のは極端な例ですが、正義感の強い人達が理事になった時、リプレイスをした上で、元地権者や元理事達との闘いが始まる。そんなことがよくあるようです。

なお、リゾートマンションでの横領で理事長による管理費・修繕積立金の横領事件を紹介していますが、リゾートマンションは大規模なものが多く、扱う金額も大きいため、お金に絡む問題がつきまとうのかも知れません。

4.修繕工事には社会の「しがらみ」がつきまとう

リゾートマンションは、言うまでもなく、地方にあります。基本的には田舎にあり、日常の修繕工事をするにしても、業者選定の範囲は限られています。

さらに、社会の“しがらみ”があります。

地元で飲食店を経営している常住の方が理事長になった。日頃、自分の店を利用してくれている工事会社を使いたい。そこは人情であり、社会の付き合いがあります。しかし、管理会社の担当がが意気揚々と安価な相見積とって大炎上なんてもこともあります。

こんな世界である上に、様々な背景の人達の集まりですから、オーナー間、特に、常住の現理事長派対前理事長派といった争いが、ここかしこにあります。

こんな中で大規模改修をまとめようとしたら、なかなかうまく進まないのが現実です。

その打開策の一つとしても、リプレイスが用いられています。

5.リゾートマンションの理事会は長い

リゾートマンションの理事会は、東京でやることもあれば現地でやることもあり、それはマンションによります。

例えば熱海であれば交通の便も良く東京から近いので、ほぼ現地でしょうか。そして、理事会は長いです。

「理事のなり手がなくてやむなく輪番制」、ではなく「管理組合活動に参画したい人が沢山いる」のがリゾートマンションです。

3~4時間は当たり前で、それだけ議論すべきことが多いのと「自分達の財産、資産価値は自分達で守ろう」という視点を持っているのがリゾートマンションに見られる特徴です。

6.設備の維持に多額のお金が必要

例えば、「温泉大浴場付き」のリゾートマンションが多いです。しかし、温泉の運営を上手くやるのは、とても大変なことで、これは管理会社の力量が問われるところです。

源泉から購入する温泉量(契約で決まっているのが普通です)の管理、湯温の管理や衛生管理(特にレジオネラ菌対策)が必須で、簡単ではないです。

そのため設備維持に多額のお金が必要です。

コストを削減するために源泉を所有しながら温泉をやめ、ただの沸かし湯大浴場にするか、大浴場営業を年末年始の期間限定にするなどに変更しているマンションもあります。

7.これからのリゾートマンション

今後のリゾートマンションの課題としては、何があるでしょうか。

やはり、一つは高齢者対策でしょう。それは都会のマンションと同様です。

少し趣を異にするのは、「リゾートなんだから、バリアフリー化等、高齢者対策に特別の金をかけるのは許されない」とはっきり言う人がいることです。

しかし、高齢常住者が大半を占めたら、あるいは、オーナーの大半が高齢者になったのなら、そんなこと言ってられないでしょう。

何の対策もせずに事故が起きたら、管理責任を問われる危険があります。

次に「民泊」でしょうか。

一般には民泊には拒否反応がありますが、管理費滞納者の部屋を組合で競落、運用し、未収金を回収といった発想もできるのではないでしょうか?

リゾートマンションの内情のまとめ

今回はリゾートマンション購入後の内情について、マンション管理の視点を含めながら紹介しました。

リゾートマンションは金額も安く、多くの物件が売りに出ているため買うのは簡単ですが、購入後にはなかなかの苦労が待っていそうです。

記事監修

マンション管理士:古市 守(ふるいち まもる)

管理会社変更をはじめとするマンション管理組合のコンサルティング、管理計画認定制度支援や事前審査担当、自治体のマンション調査、マンション管理コラムの執筆・監修などで活動。

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