マンション自主管理3つのデメリット

最近では少なくなっている『マンションの自主管理』ですが、自主管理を選択した場合、どのような問題やデメリットがあるのでしょうか?

自主管理とは何か、現在の自主管理の状況、自主管理のデメリット、そして自主管理からの変更についてご紹介していきます。

目次
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マンションの自主管理とは?

自主管理とは、分譲マンションの敷地及び共用部分の管理について、管理組合が管理業務を管理会社に委託せず、全て自らの手で行う管理方法のことをいいます。

分譲マンションは「区分所有建物」として「建物の区分所有等に関する法律」(いわゆる、区分所有法)の適用を受けます。区分所有法は、2名以上の区分所有者が存在すれば管理組合が法律上当然に成立し、この管理組合が敷地・共用部分の管理責任を負うと定めています。

この点は、全ての分譲マンションで変わりありません。

管理組合の責任(管理業務)には、共用部分の保守・修繕はもちろん管理費や修繕積立金の会計業務、長期修繕計画の作成・変更など、17項目にも及ぶ多様な業務が法定されています。

これら業務を行い管理責任を果たしていくにあたり、管理会社の力を借りず管理組合(区分所有者の集まり)が主体的に行っていく、これが「自主管理」です。

管理業務を自ら行うため、管理コストが抑えられ、毎月支払う管理費は安くなるという特徴があります。

現在の自主管理の状況

国土交通省が実施した平成25年度「マンション総合調査」によれば、管理事務の全てをマンション管理業者に委託しているマンションの割合は、全体の72.9%。

これに対して、管理組合が全ての管理事務を行っている「自主管理」マンションの割合は6.3%。「自主管理」マンションの約8割が昭和時代に建てられた建物、約半数は昭和49年以前に建てられており、近年建築されたマンションで「自主管理」の方法をとる管理組合は極めて稀、というデータが出ています。

マンションの自主管理の割合

自主管理・・・146組合
委託している業務がある・・・2196組合

自主管理の3つのデメリット

1.管理の安定性・継続性が確保されない

「自主管理」の最大の問題点は、管理の安定性・継続性が確保されないという点にあります。

「自主管理」が上手く機能するためには、区分所有者の中に、建築や設備保守など管理に関連する専門知識を持った人がいたり、あるいは、合意形成の術を持ち区分所有者をまとめていく気概を持った人がいたりと、管理組合のリーダーたり得る存在がどうしても必要です。

しかし、こうしたリーダーが今はいても、将来にわたって存在する保証は全くありません。特に、区分所有者の高齢化が進行している現状の下でこのようなリーダーシップを期待することは、必ずしも現実的ではないでしょう。管理組合には17項目にも及ぶ多様な業務があるのです。

管理組合の活動をリードしていく人がいなくなった時、これまで通りの管理を続けていけなくなる心配が非常に大きい、と言えます。

2.建物・設備の管理が不十分になる

管理組合の活動をリードしていく人がいなくなるとこれまで当たり前に行われてきた法定点検・清掃、例えば、貯水槽の清掃・水質検査や消防設備・電気設備点検がいつの頃から実施されていない、外壁タイルに浮きがあり崩落の危険があるのに何ら改善措置がとられていない等、営繕の企画が行われず後手後手に回ってしまうと、入居者の生命・身体は危険にさらされることになります。

貯水槽清掃や防虫網の補修がなされていないため、水槽にネズミや害虫が浮いているということが、実際に起きているのです。

3.資産価値が低下

マンションが経年劣化するのことは避けられません。しかし、適切な維持管理・大規模修繕、場合によっては陳腐化した設備のリニュアル・グレードアップをすることによって、可能な限り資産価値を保つことは不可能ではありません。しかし、管理が上手くいっていないマンションの場合には、資産価値を保持するための適切な処置が講ぜられず、それを講じた場合と比較して大きく資産価値が低下してしまう懸念があります。

自主管理のマンションは資産価値が低く見積もられます。

この資産価値の低下が、管理会社に委託する金額を上回るとすると、少なくとも経済的見地からは「自主管理」を採用する意味はないのです。最初から管理会社に委託をした方がメリットはあります。

自主管理から管理会社への委託方式への変更について

居住者の方も高齢になり、「自主管理には限界を感じるので管理会社への委託方式に切り替えたい」という声があるのではないでしょうか?

実際ここ数年で「自主管理に限界を感じる」という相談は増えてきています。

自主管理から管理会社への切り替えでネックになるのは管理委託費でしょう。しかし、それに関してもコストを抑えるため様々な方法はあります。

当社では、自主管理から管理会社への委託方式の変更相談も承っています。

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記事監修

マンション管理士:古市 守(ふるいち まもる)

管理会社変更をはじめとするマンション管理組合のコンサルティング、管理計画認定制度支援や事前審査担当、自治体のマンション調査、マンション管理コラムの執筆・監修などで活動。

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