中古マンション契約前に確認しておきたいこと
不動産(マンション・戸建・土地等)の契約は難解です。契約書の中身も、いろいろな法律が錯綜して訳の分からない言葉が羅列され、
「じゃあ、ここに住所と名前を書いて頂いてご印鑑をお願い致します。」
書類をろくに読まないままに、「重要事項説明」をしっかりと確認することなく流れで契約する。現在の不動産の契約ではこのようなことが日常茶飯事だと思います。時には説明する側の不動産会社の営業担当でさえわかっていないケースもあるでしょう。
そこで、今回は特に中古マンション(区分所有)の契約前に確認しておきたいことを紹介します。
中古マンションは立体的に考える
戸建購入時には、「お隣さんはどんな人だろう?」とか、「前の道路って交通量が結構多いけど、騒音問題はどうなんだろう?」と平面での問題を考えます。
しかし、マンションの場合1階と最上階の場合を除いてそこに上下のことも考えなければなりません。
マンションは立体的に考えることも必要なのです。
上下の観点から、マンションには一戸建てにはない規制が導入されていることがあります。
例えば、床のリフォームですが、足音等の問題があり音を吸収する床素材のランク付けがされていたり、工事そのものの承諾書等の入手が条件になっているマンションもあります。
マンションを契約する時には、重要事項説明書という書類の説明を必ず受けます。これは法律で義務付けれています。
その説明の中で床材に関する規制の説明もされています。それ自体が買う買わないの決め手にはならないかもしれませんが、
「フローリングがいいなぁ~!この部屋を買ったらリフォームで床をフローリングにしたいなぁ!」
と考えておられる場合、この規制はその計画に影響を及ぼすこともあるかもしれません。なぜならマンション購入にそのリフォームができないかも知れないからです。
そんな時にこのマンションを購入した不動産会社(もしくは仲介業者)に異議を申し立てても、時すでに遅し・・・となってしまうかもしれません。計画に対して規制がない契約時にはしっかりとチェックが必要です。
「共用部分」について認識する
「あ~、知ってる知ってる!廊下とか階段、エレベーターとかでしょ?」
と思われた方にもぜひ聞いて頂きたいですが、実は部屋の中にも「共用部分」はあります。
例えば、電気・水道(上下水道)・ガス等のライフラインです。これは各部屋には必ず引込みされています。
そのパイプ(配管類)が通っている場所のことをPS(パイプスペース)と言い、マンションの間取り図等にも記載されていることが多いです。
このPSはマンションの共用部分になります。他には窓やバルコニーも共有部にあたります。
共用部分は個人の所有ではなく管理組合が所有するものであり、管理組合が管理対象箇所となっています。そのため、結露でサッシが傷んだので取り替えたい、そう思っても個人で変えることはできません。
マンション購入前には窓の傷み具合をチェックしたほうがいいかも知れません。
毎月のマンションの固定費を考える
契約時に説明を受ける「管理費・修繕積立金」は必ずチェックする必要があります。また重要事項説明でも必ず説明を受けます。
これらは月々かかってくる費用ですから、当然住宅ローンと併せて支払額を計算する必要があります。
これ以外にも固定資産税・都市計画税や駐車場の費用、細かいところでしたら駐輪場の費用までと、収入と支払いのバランスを考えた計算をしなければなりません。
では、それ以外の費用は掛からないでしょうか?
マンションによれば冬季暖房費として月々固定額で強制徴収しているマンションもありますし、管理費以外に意味が分からない特別管理費と称して費用を徴収しているマンションもあります。
気を付けるべきは、どれがいい悪いではなくてこういったことを、契約時にすべて説明を受けて理解しているかどうかなのです。
円満に中古マンションを購入したが、思わぬ支出で家計が苦しいというのは大変なことですから。
修繕積立金と大規模修繕を確認する
前述の修繕積立金の方はこの費用文字通りマンション自体の修繕に利用するための積立金です。
マンションの修繕方法には小規模なものと大規模なものとがあります。
その中でも、マンション全体の外壁塗り替えや、屋上の防水工事やエレベーターの改修工事等々が行われる大規模修繕には数千万円、大きなマンションでは億を超える費用がかかることもあります。
もし修繕積立金が工事に必要な額に到達していない場合、そのときはどうなるでしょうか?
1修繕時期をずらして積立金が貯まるのを待つ
2大規模修繕そのものを中止してしまう
3積立金を値上げする、もしくは一時金を徴収する
上記すべて様々な問題を含んだ結果にはなりますが、マンションは住民(所有者)の多数決で決定します。決まったことには従わなければなりません。
もし、購入半年後に大規模修繕を控えており、
「各住戸から一時金60万を徴収して修繕積立金の不足を補います」
そう決定されてしまうと、一時金60万支払わなければなりません。
その決定がなされたときにマンションを所有していれば支払いの対象になります。マンションの所有期間には関係ないのです。
こういった事を避けるためにも、現在の積立金額と修繕履歴ぜひ確認してください。
半年や1年前に大規模修繕をしたばかりでしたら、しばらくは大規模修繕の予定はないはずですから。
中古マンション契約前に確認しておきたいこと
重要事項の中には注意する点は他にも多々あります。やはりご自身でチェックをして事前にこういったことを知る努力をしましょう。
またわからない点は担当の営業マンに確認をしてみてください。
一生の内にそんなに頻繁にはないと思われるマンションの購入です。失敗せずに契約したいものですね。