施工会社と管理会社がグループ系列でなくてもいい理由
分譲マンションの開発(施工・販売)が施工会社を親会社に持つグループ企業でなされた場合、そのマンションの管理は、施工会社とグループ系列にある管理会社(デベロッパー系管理会社)が受託するのが一般的です。
例えば野村不動産のプラウドシリーズであれば、管理会社は野村不動産パートナーズ株式会社、大成建設のオーベルであれば、大成有楽不動産などがその例です。
しかし、『施工会社と管理会社がグループ系列であることがどうしても必要』という事はなく、竣工時の管理会社から、もっと良い、別の管理会社に変更(リプレイス)することも珍しくありません。
管理会社は自分たちで選ぶ時代です。
なぜ管理会社を変えても問題ないのか?
デベロッパー系管理会社であれば、親会社が持っている設計・建築の情報が豊富。だからマンションの修繕、特に、大規模改修工事のことを考えると、現在の管理会社を替えるのは不安、という声をよく耳にします。
しかし、管理組合には、建物の構造計算書や平面図・立面図、給排水衛生・電気・空調などの設備関係図面など、工事を実施するに当たって必要な情報は全て揃っています。
また、マンションで行う外装補修工事や設備関連工事等は、いくつか選択肢があるものの、その工法は概ね確立していますから、マンションを建築した会社でないと上手くできない工事というのは全く存在しないのです。
『系列外の会社が管理している』ということよりも、工事などの情報が管理組合に開示されないことの方がよほど不安なことではないでしょうか?
例えば、熊谷組が横浜で施工した住友不動産のマンションに杭の長さ不足の施工ミスが見つかり、建物が傾いているという報道は記憶に新しいところです。
マンション管理の目的
マンション管理の目的は、快適な住生活の保持と資産価値の維持向上という点にありますが、その目的実現のため実際にどのような管理をしていくかは、マンションによって、また管理組合のニーズによって様々です。
そのニーズに応えることができる会社が『良い管理会社』と言えるのではないでしょうか?これは管理会社の変更体験記でも、
”マンション一棟一棟に、恐らく最適な管理会社があるのだろうと感じました”
と語られています。
デベロッパー系管理会社が管理組合のニーズに応えていないと判断されるなら、親会社が建てたマンションだからといって、管理を委託し続ける理由はないのです。
マンションの管理会社にはデベロッパー系管理会社の他、親会社に建設会社を持たない独立系管理会社もあり、それぞれに、長所・短所があるといわれています。
デベロッパー系は、独立系と比べるとフロントマンの担当組合数が少ないため迅速な対応が可能だが、管理料が高い。
独立系は管理料が安いがこれを支えるためにフロントマンの担当組合数が多いため迅速な対応ができず管理の質が落ちる、等。
いずれも一般論であり、常にそうであるわけではなく、どちらがよいか一概には決められません。
したがって、今、現在管理をしているデベロッパー系管理会社がダメだから独立系管理会社に替えようということにはなりません。
どうして管理会社を替えたいのか、マンション・管理組合のニーズを十分に検討・確認して、そのニーズにあった良い管理会社に変更する。
その管理会社は独立系の場合もありますし、他の建設会社のデベロッパー系管理会社でもあり得ます。デベロッパー系管理会社もさらに系列の子会社等によりリプレイス事業に参入しています。
(例えば、長谷工が建てたマンションを長谷工コミュニティーでなく、東急コミュニティーの系列会社・コミュニティーワンが管理するなど)
いずれにしても、施工会社と管理会社はグループ系列でなくてもよいのです。
その理由は、系列外の管理会社にリプレイスする方がより良いマンション管理ができる場合があり、その成功例が決して少なくないのが、現在のマンション管理の実情だからです。
系列管理会社から管理会社を変更するメリットとデメリットについてもまとめていますので、こちらもぜひ参考にしてください。