マンション管理組合で確認したい外部管理者方式を分かりやすく解説
マンション管理における最近の話題として、理事会を廃止したり、理事長(管理者)機能を外部に委託する外部管理者方式(または、第三者管理者方式)というものがあります。
外部管理者方式は、管理組合にとって負担が減少するなどのメリットがある反面、注意すべき事項もある方式といえます。
今回はこの外部管理者方式について、管理組合としてどのように考えていけばよいのか具体的に解説します。
管理組合における外部管理者方式とは
まずはじめに、管理組合にとって外部管理者方式とはどのような考え方なのか、紹介します。
令和6年6月の国土交通省から公表された「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」に合わせて記載します。
外部管理者方式とは
外部管理者方式とは、内部の区分所有者ではなく、外部の管理会社やマンション管理士等、マンション管理に詳しい方がマンションの管理に関わる方式です。
おもに理事長の代わりとして、外部の専門家が管理者に就任する形が一般的です。
これまで第三者管理者方式と言われることもありましたが、こちらのガイドラインでは外部管理者方式として記載されています。
とりわけ、管理会社がこの第三者管理者として就く場合、管理業者管理者方式と言われることもあります。
この考え方は、区分所有者自らが普段の役員業務や理事会運営に従事する、いわゆる理事会方式に対する考え方といえます。
外部管理者方式のイメージ図
これまでのガイドラインは、平成29年6月に公表された「外部専門家の活用ガイドライン」として、3類型が提示されていました。
具体的には、理事会が機能する形で一部の役員に外部専門家が入るパターンや、その専門家が管理者=理事長として機能する類型です。
今回のガイドラインでは、管理組合として理事会が存在せず、その機能を外部管理者に任せる類型について詳しく紹介されています。
外部管理者方式のイメージ図は以下の通りです。
引用:国土交通省 マンションにおける外部管理者方式に関するガイドラインの概要より
左の理事会方式と見比べて頂ければ分かりますが、右の外部管理者方式には理事会という機能はなく、総会のみ実施する方式です。
今回のコラムでもこの理事会が存在しない類型を前提として紹介します。
外部管理者方式のメリットは?
これだけ外部管理者方式が話題になっているということは、管理組合にとっても一定のメリットが存在するためです。
どのようなメリットが考えられるのか、具体的に解説していきます。
理事会や区分所有者の役員としての負担が減少する
前章の図表でも触れましたが、外部管理者方式の手法は理事会がない形です。
役員も基本的には監事のみであり、こちらも外部の専門家に任せることができます。
管理組合総会は存在し、区分所有者はそこには出席したり議決権行使を行う必要があります
これによって、忙しい現役層や役員就任に負担が掛かる高齢者層にも配慮可能な手法と言えるでしょう。
マンション管理の専門家による対応が可能となる
外部管理者には、マンション管理士や管理会社等のマンション管理の専門家が就任することが多くなります。
それにより、管理組合としてよりマンション管理において専門的な対応が可能となります。
具体的には、管理組合の運営方法の適正化や大規模修繕工事のあるべき姿などの検討も可能となるでしょう。
管理会社に依頼する場合は管理業務と理事会業務の連携がしやすい
もし、現在管理委託している管理会社に対して外部管理者を委託する場合は、これまでの管理組合からの管理委託業務と、管理者業務の連携がしやすくなる点も挙げられます。
管理組合に関する業務全般に対して、担当者間で細かな意思疎通もしやすいと言えるでしょう。
ただし、次の章で紹介する外部管理者方式の注意点で記載する点も考えられるので、管理組合としては対応が必要となる場合があります。
一方の外部管理者方式の注意点は?
管理組合にとって区分所有者における負担が減少するなどの大きなメリットがある反面、注意しておかなければならない事項も存在します。
どのような点に気を付けておかなければならないのか、具体的に紹介します。
手間がかからない分コストが掛かる可能性がある
これまでの管理会社に対する管理委託に加え、外部管理者も管理組合以外から立てることとなると、その分の費用は追加で発生することとなります。
また、外部管理者にはマンション管理のことをよく知る専門家が就任することが多いため、一定の支出はやむを得ないといえるかもしれません。
区分所有者における負担の減少とともに、外部管理者に支払う費用を比較して、費用対効果として優れているか、管理組合内で十分検討することが求められます。
マンション管理に関する区分所有者間の交流が減少する可能性がある
外部管理者方式では、一般的に理事会が開催されないこととなります。
そのため、管理組合役員が集まることが少なく、マンション管理に関して区分所有者間で討議することが減る可能性があります。
完全に外部管理者に任せる場合は、他の手段として定期的に区分所有者が外部管理者に対する意見をする場を設けたり、マンション内の自治会などで一部機能をカバーすることも必要になるでしょう。
管理組合内で外部管理者に対するチェック機能をより強化する必要性がある
とりわけ外部管理者を管理会社に任せる場合は、管理委託業務と理事会等の業務が同一会社になることも考えられます。
具体的には、外部管理者の業務が合理的な判断に基づいて行われているか、チェック機能をより強化する可能性があります。
その場合は、区分所有者における管理組合総会でのチェックや、監事の監査機能が重要になってくるでしょう。
これらの不正発生の防止や利益相反行為に対するチェック体制の仕組み作りも管理組合内で構築していく必要があります。
理事会方式に戻すことが困難となる可能性がある
区分所有者にとって一度取った負担の少ない管理者方式から従来の理事会方式に戻すには一定のハードルが伴うと考えられます。
規約の定め方においても、外部管理者方式を前提とした方法に改定されていると考えられます。
したがって、管理組合として外部管理者方式を採用する意思決定の際には、十分に検討したうえでの判断が求められます。
管理会社が実施する外部管理者方式(管理業者管理者方式)の特徴は?
国土交通省による「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」には、半分近くのページを割いてマンション管理業者による外部管理者方式について記載しています。
その中でこの形態を管理業者管理者方式として定義していますが、どのような特徴があるのか、確認しておきます。
管理組合の業務を1社にワンストップで依頼できる
現在管理委託している管理会社に対して、新たに外部管理者を委託することも想定されます。
ガイドラインではこの点が多いことを想定して紹介されています。
ただし、ワンストップといえども、次に紹介記載する通り管理会社の中では担当が違うため、別々の担当者に連絡することが想定されます。
管理委託業務と外部管理者業務は一般的に分離している
管理会社=管理者(≒理事長)であれば、管理会社にとって有利に業務が進行する可能性があります。
管理組合にとって不利になる一方で、管理会社に有利になるいわゆる利益相反行為も容易にできる可能性も生まれてしまうためです。
そのため、管理委託業務と外部管理者業務は別個のものとして考える必要があります。
また、それぞれの業務の契約についても、管理委託契約と外部管理者業務委託契約として別々に締結する必要があるでしょう。
理事長の代わりに管理会社による管理者が就任する
これまでは区分所有者が理事長(≒管理者)に就任することが通例であった管理組合も、外部管理者方式を採用する場合は、外部の管理者がこの位置に付くこととなります。
管理会社のフロント担当だけでなく、理事長も外部の方が就任するという、管理組合においては当初は違和感を感じるかもしれませんが、今後は外部の理事長に進言や業務のチェック等していくこととなるでしょう。
メリットや注意点を踏まえて検討すべき外部管理者方式
これまで紹介したとおり、外部管理者方式は業務多忙な現役世代や高齢者にとっても役員就任の負担が軽減される手段として、将来的には管理組合での採用が多くなることも想定されます。
一方で、理事会がないことや、外部管理者へのチェック機能を強化する必要があるなど、注意すべき点もあります。
管理会社の変更を検討する際に、具体的に採用するかどうかは別として、管理組合における将来的な一つの手段として合わせて検討したい手法といえるでしょう。