普通決議と特別決議-マンションの総会決議の方法
総会にて上程された議案を承認するには区分所有者による承認が必要です。この承認を得る行為を「決議」といい、管理組合における決議方法は「普通決議」と「特別決議」があります。
普通決議
普通決議は「総会(集会)の会議は議決権の半数以上の出席で,出席者の過半数で決する。」と定められています。
例えば総戸数50戸のマンションの場合、総会には半数以上の出席、つまり25戸以上の出席が必要になります。総会に30戸の区分所有者が総会に参加した場合、16戸以上の賛成で決議が承認されます。なおこの出席には委任状、議決権行使も含むことができます。
普通決議事項は主に以下のものがあり、特別決議でないものは全て普通決議で承認されます。
- 収支決算報告と事業報告の承認
- 理事・監事の選任または解任
- 管理委託契約の変更・更新・解約
- 管理会社の変更決議
特別決議
特別決議はより重要な案件を決議するためのものであり、成立要件は普通決議よりも厳しく、成立要件は区分所有者の4分3以上の出席が必要であり、さらに決議が承認されるためには同じく、「議決権の4分の3」以上の賛成が必要になります。
建替えの決議はさらに厳しく、5分の4以上の賛成が必要になります。
特別決議事項は以下です。
- 管理規約の設定・変更・廃止(同法第31条)
- 管理組合法人の成立(同法第47条)
- 共用部分等の変更(同法第17条・第21条)
- 大規模滅失における建物の復旧(同法第61条第5項)
- 建物の建替え(同法第62条)
- 専有部分の使用禁止の請求(同法第58条)
- 区分所有権の競売の請求(同法第59条)
- 占有者に対する引渡し請求(同法第60条)
上程された議案を普通決議で決するか、特別決議で決するかは、理事会によって決められるのでなく、区分所有法に従い議案の内容によって決まります。
マンションの総会決議
総会決議の議決権付与数の考え方
議決権は1戸に対して1議決権が付与されるの一般的です。そのためマンション内で3戸の部屋を所有しているのであれば、3議決権、5戸所有していれば5議決権が付与されます。
区分所有法の第14条で専有部分の床面積で議決権を定めるとされていますが、これもとに議決権数を計算をすると極めて計算が煩雑になるため、多くのマンションでは管理規約上で1戸に対して1議決権が付与するとしています。
総会決議の影響範囲
各区分所有者はこの議決権でもって、総会での議案に対して賛否を示すことになります。そして総会で決定した議案に対しては反対であっても、それに従わねばなりません。
防犯カメラは私は不要だと思うから、その費用は払わない、定期清掃は年2回でいいからうちの前は掃除しなくてもいいなどいうことはできません。これは総会に出席していなくても同じです。
同じように、新たにマンションを購入される方や占有者(マンションを賃貸している人)にもその効力は同じです。
占有者に対しては管理費の値上げなどは関係はありませんが、ペット禁止と総会で決議されれば、ペットを飼うことはできない、ということになります。
効力の実効性という観点から、影響範囲はこのように定義されています。
マンションの決議と総会に関するケーススタディ
ここからはマンション管理で実際にありそうな質問をケーススタディで見ていきましょう。
Q:総会に夫婦で参加した場合、二人とも議決権を行使できますか?
A:これはできません。議決権の数は1戸に対して1つです。そのため、夫婦だから議決数は2、一人で参加したから1ということはありません。
Q:マンションを賃貸して借りています。議決権はありますか?
A:マンションを賃貸している占有者に議決件はありません。しかし、総会で決議された内容には従わなければなりません。
なお、総会での決定事項に従わなければならないという側面をもっているため、総会に参加して意見を伝えることはできます。
Q:50戸中10戸の部屋を所有しているオーナーの方がいます。この方の議決数はいくつですか?
A:このオーナーの方は10の議決数になります。
他にも様々なシチュエーションがあると思いますが、原則は『議決権は1戸に対して1議決権が付与』です。また普通決議か特別決議かで悩んだ場合、特別決議は前述した8つしかありません。
普通決議や特別決議、総会決議や議決権、いろいろと紛らわしいのですが、忘れてしまったらまたこのページを参考にしていただけたら幸いです。