管理会社変更を考えるきっかけとその後の管理組合の対応方法は?
「今の管理会社に引き続きマンション管理をお願いしていいのか?」
このような問題意識をもって、管理会社変更を理事会等で討議されている管理組合も多いようです。
管理会社変更は管理組合の今後のマンション管理を左右する重要事項であるものの、意思決定には慎重になっていく必要があります。
今回は管理会社変更を考えるきっかけとしてどのような事が考えられるのかを挙げ、それに対する管理組合としてのおもな対応方法を紹介します。
管理会社変更を考えるきっかけは?
管理組合が、管理会社を変更したいと考えるきっかけには、どのようなものが考えられるのでしょうか?
管理組合が期待していたサービスを受けることができなかったり、管理会社との相性が悪かったり、さらには管理会社が管理組合に対応できないとして終了を伝えられるなど、様々なケースがあります。
今回は特に管理組合として支払うコストと、管理会社が提供する管理サービスの観点に注目して確認してみます。
コストはリーズナブルだが管理サービス内容が見合わない
まず初めに考えられるのが、コストは管理組合として容認できるものの、提供されるマンション管理サービス(以下、管理サービス)が十分ではないというものです。
具体的には、管理組合に対する管理会社フロント担当の理事会等への対応、管理員さんの業務の方法や住民への対応などが考えられるでしょう。
逆に、マンション管理の中に含まれていないために、契約外として管理会社が対応をして貰えず、管理組合自身で実施しなけばならない点も、管理組合としてあるかもしれません。
管理サービス内容は良いがコストが高い
次に、マンション管理におけるサービス内容としては申し分なく水準も高いものの、コストが高い場合も考えられるでしょう。
各戸に対する管理費が改めて見てみると高く、管理組合から理事会や総会時に要請があったりする場合も想定されます。
もともと竣工当初から委託しているデベロッパー系列の大手管理会社や、サービスの内容が良い管理会社に変更した管理組合が、改めて直面する課題として挙げられます。
コストに対して管理サービス内容が見合わない
これはコストも高い、もしくはそこそこ掛かっているのに、管理サービスの内容が充分でない点が考えられます。
管理組合や区分所有者からは、
「これだけ支払っているのに、なぜ対応してくれないのか」
といった声も聞こえてきます。
当社に寄せられる依頼において、管理会社変更を検討する理由の中でも、実際に一番多いケースです。
コストと管理サービスの内容が見合う考え方や対応方法は?
管理組合としては、管理会社に支払うコストと管理サービスの内容が見合っていることが望まれます。
これによって、管理組合側も安心してサービスを受けることができます。
前項で紹介したそれぞれの考え方に対応した形で、順番に確認していきましょう。
管理サービス内容が悪いので改善を要請する
管理組合と管理会社との話し合いの中で、できれば管理サービス内容を改善して、契約関係を継続することがお互いにとって最善の方法といえます。
管理会社側からしても、要請に対して対応出来ることや、出来ないこともあります。
出来ない場合は改めて管理組合として出来ないままでも良いのか、また現在委託している管理会社に継続するのが望ましいのか、検討する必要もあるでしょう。
実際に管理組合として、十分なサービス管理品質を満たさない状態になると、組合員から更なるクレームが発生して、理事会への負担も増加することが考えられます。
コストが高いので管理サービスの内容を見直す
管理サービスの内容はよいもののコストが高い場合、コストを下げてくださいと言うことを、果たして現在の管理会社に対して交渉できるのかという問題があります。
最近では慢性的ななり手不足である管理員さんの時給の高騰や、フロント担当者をはじめとする管理会社の人件費の上昇、さらには働き方改革による稼働時間の減少等、コスト高の要因が多くなってきています。
そのような中で、コストを下げて貰うのは難しい可能性もあります。
その場合には、コスト削減策として管理委託内容の見直しや、清掃、点検等定期的に行うものの回数の見直し等は可能かもしれません。
管理組合と管理会社の円満な関係を保ちながら、お互いに新たなアプローチを考える事も一つです。
コストと管理サービスのバランスが取れた管理会社を検討する
当社サービス「管理会社マッチ」の利用を希望される主な理由としては、
「管理会社を変更する」、もしくはその前段で「情報収集をする」
という管理組合がほとんどです。
すなわち、コストと管理サービスのバランスを検討したいということになります。
管理会社変更を新たに検討することは、管理組合として、現在の管理会社に対して「我慢の限界」に来ている状況にあります。
逆に、管理会社側から「我慢の限界」と言われるケースもあるでしょう。
管理会社を変更することは、管理組合にとっても負担になることから、必ずしも最善な方法ではありません。
できれば、現在の管理会社と円満な関係を継続しながら、管理サービスの内容について、改善策を探っていくことをしたいものです。
それでも、変更に踏み切るということは、「我慢の限界」としてコストや管理サービスに問題があるか、管理会社から契約終了を言われたケースが想定されます。
同一の管理サービス内容でコストの削減は難しいのか?
管理組合として、同一の管理サービス内容を保ちながら、コストを削減していくことは難しいのでしょうか?
今回のコラムの最後の章でその可能性について確認してみます。
サービス内容とコストは比例するのか
まず、この課題について触れてみます。
現在管理委託している管理会社に対して、同一の管理サービス内容のままコストの削減は困難を伴います。
前述のとおり、全般的な物価の高騰や、管理員さんをはじめとしたなり手不足による人件費の高騰などがあるからです。
管理組合にとって非常にシビアな状況にありますが、コストとサービス内容は比例、すなわち、サービス内容を充実させたいならコストは上がってしまうと考えておく必要があります。
ただしこちらは、現在の管理会社に対して言えることかもしれません。
コストを下げても管理サービス内容を維持したいなら管理会社変更を検討する
続いて、そもそもこのような検討は可能なのかという点ですが、管理組合として相見積もりや比較検討等を重ねれば可能性はあるかもしれません。
コストは管理組合員全員に跳ね返ってくる大きな問題であるため、コストを下げることはどこの管理組合にとっても喫緊の課題となっています。
特に年金暮らしの高齢者が多い世帯を中心とした高経年マンションにとっては、必要となる修繕積立金も増加傾向にあるため、管理費を工夫したいと考えている所も多いでしょう。
当社の事例では、実際にご紹介する管理会社への変更を通じて、管理サービス内容はそのままで、コスト削減に繋がった事例も複数あります。
管理組合としても、管理サービスとコストのバランスを満たす管理会社との、新たな管理契約に繋がっています。
管理組合として管理会社変更のために主体的に取り組んでいく必要はありますが、取り組み次第ではコスト削減という結果として現れることもあるでしょう。
まとめ
今回は、管理会社から受ける管理サービスに対して、管理組合が支払うコストの観点から、サービス向上や管理会社変更の可能性について確認しました。
繰り返しになりますが、管理会社変更は管理組合にとっても負担になることから、できれば実施しない方がよいかもしれません。
しかしながら、管理組合の頑張り次第では、これまでと同一水準もしくはこれまで以上に、より良い管理サービスを受けながらコストも低減できる可能性もあるため、管理会社変更を検討するのも一つです。
管理組合におけるコストや管理サービスの内容を確認しつつ、管理会社変更の参考になれば幸いです。