管理会社から値上げ要請を受けた時に管理組合が取るべき対策とは

近年、多くのマンション管理組合が、大手を中心とした管理会社からの管理委託費の値上げ要請に直面しています。物価や人件費の高騰を背景としたこの動きは避けられない側面があり、対応に苦慮する管理組合があとを絶ちません。最悪の場合、管理会社からの契約解除を突きつけられる事例も増加しており、管理組合は新たな対応を迫られています。

本記事では、管理会社から値上げ要請を受けた管理組合向けに、取るべき対策を紹介します。

目次
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なぜ今、管理費は急騰し、管理会社からの値上げ要請が相次ぐのか?

マンション管理費が上昇している背景には、複数の要因が重なり合っています。

国土交通省が発表している令和5年度マンション総合調査によると、管理組合が徴収する月額戸当たりの管理費は、平均で17,103円となっています。

5年に一度実施している総合調査ですが、前回の平成30年度マンション総合調査では15,956円であったことから、令和5年度は1,147円(前回比7.2%増)となりました。

管理組合にとって、5年の間で管理費の使途が大きく増加していることが伺えます。

管理費急騰の要因は?

この急騰の主な要因として、一般的には以下の3つが挙げられます。

  1. 共用部分の高級化や充実化
  2. 管理員等の人件費の高騰
  3. 物価の高騰

管理費の支出全体のうち、管理会社への支払いが70%から80%を占めると言われています。そのため、管理会社からの値上げ要請は管理費の値上げに直結しやすいのです。管理会社が値上げを要請する背景には、さらに具体的な理由があります。

管理会社が値上げを要請する背景

管理会社が管理組合に対する管理委託費の値上げを要請する背景として、以下のようなものが考えられます。

管理員の確保が難しい 

近年、定年延長や再雇用制度により管理員のなり手が減少し、採用が難しくなっています。人材確保のためには給与水準を上げる必要があり、募集広告費用なども膨らんでいます。昨今の最低賃金の引き上げも人件費上昇の一因と考えられます。

再委託先からの値上げ要求 

管理業務のほとんどは清掃や設備点検など人の手で行われるため、人手不足の影響を受けやすい仕事です。管理会社は管理員業務以外のほとんどを外部業者に再委託しており、再委託先企業が人手不足解消や採用コスト増をカバーするために発注金額を値上げしている状況です。

過去の管理委託費が安すぎた 

過去に顧客獲得のために相場よりもかなり安価な価格設定で契約した管理会社が、適正価格に戻すために値上げを行うケースがあります。

管理会社の人手不足 

管理会社自体の人手不足も深刻化しており、一人当たりの担当マンション数が増加しています。業務を回しきれない状況になると、利益率の低いマンションの契約解除や更新拒否という選択肢を取らざるを得なくなります。

このように、管理会社を取り巻く環境の変化が、管理費の値上げや契約の見直しという形で管理組合に影響を与えています。

管理組合が直面する課題

管理組合側から見ると、管理費の値上げは区分所有者の家計に直接的な負担を強いるものです。特に年金収入に頼る高齢の居住者が多いマンションでは、値上げを受け入れにくい傾向があります。

また、管理費がマンション竣工当初に設定されたままであったり、長らく見直しがなされていない場合、現在の物価や人件費に対応できていない場合が多く、支出に対して不足する事態に直面します。

さらに、管理会社からの値上げ要請に応じられない場合に、契約更新を拒否される事例も出てきており、管理会社が不在になる期間を避けるために、短期間で新たな管理会社を見つける必要が生じます。

管理組合として取るべき対策

このような状況下で、管理組合は主体的に対応策を検討する必要があります。とりわけ管理費の改定は、管理組合の総会決議で決定される事項であり、区分所有者間の合意形成が不可欠です。

現状把握とコミュニケーション

管理会社との対話 

まずは、管理会社からの値上げ提案について、具体的な理由や内訳をしっかりと説明してもらい、理解を深めることが重要です。日頃から管理会社の担当者と密にコミュニケーションを取り、信頼関係を築いておくことも円滑な協議につながります。

収支状況の把握 

管理費会計の収支状況を正確に把握し、無駄な支出がないかを確認します。合わせて、修繕積立金会計の収支状況も正確に把握する必要があるでしょう。

管理業務とコストの見直し

管理業務仕様の見直し 

管理員の勤務時間や清掃頻度など、管理業務の仕様を見直すことでコスト削減が可能か検討します。ただし、法律で定められた点検頻度などは変更できません。

再委託先の発注の見直し 

清掃業務や点検業務など、管理会社が外部に再委託している業務について、管理組合が直接専門業者に発注することで、管理会社の利益分を削減できる可能性があります。現在直接契約している場合でも、定期的にチェックすることで、業者や価格を見直すことをお勧めします。

電力会社の変更 

電力自由化以降、電力会社を切り替えることで電気料金を削減できる場合があります。一度も見直しをしていない場合は検討する価値があります。

収入増加策の検討

空きスペースの活用として、使用されていない駐車場や駐輪場を外部に貸し出したり、携帯電話基地局や自動販売機、シェアサイクルスタンドなどを設置したりすることで、管理組合の収入を増やすことが可能です。ただし、収益事業とみなされると課税対象となる点に注意が必要です。

管理体制の変更の検討

管理会社の変更 

管理会社ごとに管理委託費による利益率は大きく異なります。他の管理会社と比較検討し、より安価で質の高いサービスを提供するところに変更することも有効な手段です。候補先各社からの比較見積もりを取るのが適切な方法です。

令和5年度マンション総合調査でも、分譲時の管理業者から変更したとする管理組合が約4分の1の24.5%を占めています。そのため、リプレイスは多くのマンションで行われていることから、管理組合として過度に気負う必要はありません。

管理会社によってはコストに対して管理の質が高い所も

大手管理会社を中心に管理組合に対する管理委託費が見られる一方で、コストを抑えながら管理の質を落とさない、さらには上げていく努力をしている管理会社も、当社が業務提携している中でも一定数存在します。

管理会社の変更を考える際に、そのような会社に対してアプローチしていく事も考えられます。

一部自主管理への移行 

管理会社にすべてを委託するのではなく、一部の業務を住民で行う自主管理に切り替えることでコスト削減が期待できます。ただし、役員の負担が増えるデメリットがある点に注意が必要です。また、自主管理への急な移行は容易ではないため、理事会内にリーダーシップのある人材がいるか、マンション管理士などの専門家の活用も視野に入れる必要があります。

長期的な視点での計画

長期修繕計画と修繕積立金の見直し 

管理費が直近必要な短期的な費用に使われる一方で、修繕積立金は将来の大規模修繕工事や突発的な工事など、長期的な視点に立った費用に使われます。出所は双方とも組合員であることから、管理費が高騰した結果、修繕積立金に影響を与えないようにする必要があります。

そのため、将来の修繕費用を精査するために長期修繕計画を5年程度毎に定期的に見直し、現在の物価や工事費に合わせて修繕積立金の額が適切か確認することが極めて重要です。国土交通省は、区分所有者に負担を強いる一時金徴収や段階増額方式よりも、長期を見越した均等積立方式が望ましいとしていますので、合わせていく事が重要です。

区分所有者の合意形成 

値上げや管理会社変更などの重要な決定は、総会決議が必要です。突然議案を提示するのではなく、早い段階から必要性を周知し、説明会やアンケートなどを通じて区分所有者の理解と合意を得る努力が必要です。

そのタイミングで役員となっている区分所有者が主体的に進めることになりますが、それ以外の組合員も積極的に関与し、管理組合全体で課題認識しながら進めて行くことが重要です。

まとめ:主体的な取り組みと外部サポートの活用

人件費高騰や物価高による管理費の値上げは、今後も続く可能性が高いと予測されています。向こう5年でさらに3割から5割上がるという考え方もおかしくありません。

管理会社からの値上げ要請や契約解除は厳しい現実ですが、管理組合がこの問題に対し「役員の方々が当事者意識を持って進めていく」 ことが何よりも重要です。コスト削減への取り組みや長期的な資金計画の見直しには時間を要するため、余裕のあるうちから早めに着手することをお勧めします。

管理組合だけでこれらの複雑な問題に対処するのが難しい場合、マンション管理士のような専門家や、管理会社変更をサポートする当社の管理会社マッチ等の第三者サービスの活用を検討するのも有効な手段です。現状の管理費が適切かどうかの確認だけでも、一歩を踏み出す価値は大きいでしょう。

手遅れになる前に、将来のマンションのための修繕工事費用確保のためにも、一日でも早く管理会社を含めた管理体制の見直しを検討することが望まれます。

記事監修

マンション管理士:古市 守(ふるいち まもる)

管理会社変更をはじめとするマンション管理組合のコンサルティング、管理計画認定制度支援や事前審査担当、自治体のマンション調査、マンション管理コラムの執筆・監修などで活動。

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