マンションの長期修繕計画とは?その重要性と修繕積立金との関係

長期修繕計画

マンションは竣工してから永遠にその場所に存在し続けることはできず、私たち人間の寿命が限られているのと同じように、マンションにも寿命というものが存在します。

一般にマンションを始めとしたコンクリート建築物の寿命は50年程度と言われます。逆に言うと、竣工から50年程度はそこに住み続けることができるわけです。そのため、マンションのメンテナンスを丁寧に行い、大切に管理していくことが長持ちの秘訣と言えます。

これマンションというものを、私たち人間の身体に置き換えて考えてみれば、すんなりと理解できるのではないかと思います。

健康診断を毎年実施し、何か身体に違和感を覚えた場合は、ほったらかしにせず、お医者さんにかかり、また、薬で治療するなどして、時には外科手術を受けるなどして、身体を大切に労わっていかなければなりません。

また、資金も忘れてはならない重要なポイントです。何かあったときには、お医者さんにかかるだけのお金が必要ですし、手術を受けるとしたら、治療費にもたくさんのお金が必要になります。

今は元気だったからと言って、貯金をせず、散財していたら、借金をして手術を受けなければならないかもしれません。

前置きが少し長くなってしまいましたが、マンションの寿命というものを考えたとき、人間の身体や人生設計は、そっくりそのままマンションの長期修繕計画に置き換えることができます。

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マンションの資産価値は管理の質が大きく影響します

マンションの寿命は50年程度とお話しました。しかし、これは一般的な話に過ぎません。

マンションも、清掃や日々のメンテナンスによって、経年劣化の程度も大きく変化します。

建築構造の品質や地域特性の状況などが同一のマンションを比べた場合、当然、日頃からきちんとメンテナンスされているマンションは、経年劣化の度合いも小さなものになるでしょう。

これに対して、適切なメンテナンスが行われなかったマンションの場合はどうでしょうか?手当てが必要であるにも関わらず、必要なメンテナンスがなされていないマンションは、傷口もいっそう広がっていくことになります。

どちらの状態を選択するのも、そのマンションを管理する管理組合の選択にかかってきます。

管理組合が組合の運営に不熱心であったり、あるいは管理会社任せで、その管理会社が適当な管理サービスしか行っていないような場合、そして、そんな状態が10年、20年続いたら‥マンションはどのような状態になっているか、大体想像がつくというものです。

『マンションは管理を買え』と言われる時代です。マンションの資産価値は立地だけでなく、管理の質も大きく影響するのです。

長期修繕計画=マンションの資金計画

長く幸せな人生を営むためには人生設計が必要ですが、これのマンション版というべきものが、マンションの長期修繕計画になります。

向こう30年といった長期間にわたって、マンションの品質を維持していくためにどのような修繕工事をいつ行うべきか、そして、その工事を行うためには、どれくらいのお金が必要なのか、これを一つ一つピックアップしていって、集計していきます。

長期修繕計画では、通常の場合、横軸にはマンションの経年が、縦軸には修繕項目がずらりと並びます。

例えば、マンションのエレベーターリニューアル工事を竣工後25年目に実施するとします。この場合、縦軸の昇降機設備という項目と横軸の経年25年という点を結ぶ項目に1,000万円(仮)という数字が入るわけです。

表だけは、必要な工事費の総額がイメージしにくいので、これを棒グラフなどに落とし込んで見やすくするのが一般的です。

これに対して、現在設定されている修繕積立金をそのまま蓄えていったとして、必要な工事費をまかなうことができるのか、それを折れ線グラフに表わすなどして、棒グラフと比較する方法が一般的に採用されます。

折れ線グラフで表される修繕積立金の累計額が必要な工事費の総額を上回っているならば安心なのは分かりますよね。

しかし、これが逆であった場合、もっと言うと、何倍もの開きがあった場合はどうでしょう‥いずれマンション管理組合の会計がひっ迫して立ち行かなくなってしまうのは、誰の目にも明らかですよね。

このようなことにならないよう、修繕積立金の設定金額を適切な水準に見直しておく作業というものが大変重要になってきます。

長期修繕計画はマンション管理に欠かせないものであり、マンションの資金計画そのものなのです。

長期修繕計画の重要性

長期修繕計画というものは、マンションの資金計画そのものです。マンションの維持・修繕において、この資金計画をきちんと整えておくことは、マンション管理組合の運営の最重要課題といって差し支えないでしょう。

深刻な社会問題に発展しつつある「マンションの資金不足」という問題

マンションの長期修繕計画の問題は、最近でこそ、色々な角度から検証され、社会的に認知されるようになってきましたが、この問題が、マンション管理業界を含めて、真剣に検討されるようになってきたのは、ここ10年程度前からと言えます。

それ以前も『長期修繕計画』は存在してはいました。またこの問題を真剣に検討してきた管理組合(および管理会社)もあったとは思います。

しかし、マンションのストック数はうなぎ登りで増大の一途を辿っていった時代にあって、この問題を真剣に検討していた管理組合の数はごく少数であったと思われます。

マンションというと、「売買」や「賃貸」というのが主流であり、「管理」にまで目が届きにくい時代でもあったでしょうから、これはある程度やむをえないことであったと言えなくもないのかもしれません。

また、長期修繕計画で設定する周期も、現在、国土交通省は、既存マンションでは25年以上、新築マンションでは30年以上の周期で、長期修繕計画を作成することが望ましいと明確な指針を出しています。しかし、昔は様式も含めて各管理組合(各社)バラバラで、短いものでは10年程度(長期というより中期あるいは短期ですね)のいい加減な内容の代物も少なくありませんでした。

こういった事情であっては、長期修繕計画や資金計画の状況など、推して知るべしというもので、案の定、必要なときに必要なお金が、管理組合に蓄えられてはおらず、高経年マンションを中心として、資金不足が深刻化しているマンション管理組合が日本全国あちらこちらで発生し、大きな社会問題になってきています。

マンションの管理費不足、修繕費不足が及ぼす影響

高経年マンションというのは、そこに住まう住民の方々も高齢になっているケースが多いです。

現役を引退され、年金暮らしの方も多いですし、伴侶の方を亡くし、お一人暮らしの方もおられることでしょう。

このような家庭環境にあって、マンションの修繕費(正確には修繕積立金)が不足するという問題が発生したらどうでしょう。

工事が必要であるにも関わらず、そこにお金がない場合、どこからかお金をかき集めなければなりません。

このような場合、よくあるケースとしては、各戸50万円あるいは100万円というように一時金を徴収するという方法があります。

また、修繕積立金を一挙に2倍あるいは3倍に値上げするといった方法や管理組合として金融機関から借入れを行うというケースも結構あるものです。

これらは、いずれもマンション資金計画の立案や計画の妥当性の検証が不十分だったことの責任と言えるでしょう。

もしも修繕工事に必要な資金を準備できない場合、最悪のケースとして、マンションを手放さざるを得ない方も中には出てくることでしょう。

社会資源としてのマンションという視点

修繕工事に必要な資金が足りず、管理が行き届かないマンションがそこに存在するということの影響は、マンション管理といった内部の問題にとどまりません。

例えば、修繕が行えず、マンションの外壁タイルが落ちるか落ちないかの状態だった場合、そのマンションは周囲の通行人にとっても危険な存在となります。

また、マンションは販売価格や家賃こそ安いかもしれませんが、それはすなわちマンションの住民の「質」そのものと裏腹の関係にあります。

空き住戸ばかりで、管理の行き届いていないマンションは不正や犯罪の場として利用されかねず、周辺の環境や治安にまで悪い影響を及ぼしかねないことも容易に想像することができます。

国土交通省が、にわかに、マンションの管理問題に積極的に関与するようになってきた背景には、社会資源としてのマンションが周辺環境や治安に及ぼす影響を考えるようになってきたという一面は多分にあるだろうと思われます。

マンションの長期修繕計画(資金計画)は大変重要なものです。

ご自身がお住まいのマンションの長期修繕計画・資金計画についても、これが果たして妥当なものなのか、丁寧に検証してみることが必要です。

記事監修

マンション管理士:古市 守(ふるいち まもる)

管理会社変更をはじめとするマンション管理組合のコンサルティング、自治体のマンション調査、マンション管理コラムの執筆・監修などで活動。

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