マンションの高経年化と高齢化!マンションの建て替えについて

都市圏の湾岸沿いや主要ターミナル駅中心に、新築マンションが増え続けています。

国土交通省の調査 によると、令和2年度の新規マンション供給戸数は10.0万戸となっており、9年連続で10万戸超の供給となっています。

一方で、建設から5〜60年近くになる、いわゆる「高経年マンション」も数多く存在します。

今回は時の流れとともに増え続ける高経年マンションの課題とその対策を、国や自治体の施策等の傾向も踏まえながら考えていきたいと思います。

目次
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マンションが直面する2つの老い

マンションは一般的に、2つの老いに直面していると言われています。

マンション自体の「高経年化」、そこに住む住民の「高齢化」の問題です。

近年では双方とも回避できない課題として取り上げられており、今後の対策が喫緊の課題となっています。

なぜこの2つの老いが発生しているのか?

この2つの老いが発生する理由については、マンションの歴史からみていきましょう。高経年化するマンションですが、どのような歴史をたどってきているのでしょうか。

マンションは

  • マンション草創期(1950年代〜1960年代前半)
  • マンション大衆化期(1960年代後半〜1970年代)
  • マンション質向上期(1980年代〜1990年代前半)
  • 多様ストック形成期(1990年代後半〜)

4期に分けられているとのことです。(参考:https://www.stepon.co.jp/premier/mansion_history/

草創期のマンションは建替え等により順次見直されていますが、大衆化期の時期のマンションがまさに「高経年化」と「高齢化」の老いに差し掛かっています。

なお、1981年6月1日以降に建てられた、いわゆる「新耐震基準」のマンションと、それ以前のマンションでは地震に対する評価がずいぶん変わってきています。

新耐震基準では、震度6〜7程度の大地震であっても倒壊しない設計です。

旧耐震のマンションで耐震工事を行なっていない場合は、大きな課題を抱えていることなります。

では、本題の老いについてみていきましょう。

マンションの高経年化

新耐震基準以前に建てられた、旧耐震基準マンションは一定の耐震処置が必要となっています。

また、新耐震基準であっても、大規模修繕が適切に実施されていなかったり、長期修繕計画に則って大規模修繕が実施されていなかったりすると、マンションの躯体部分をはじめとした劣化が激しくなります。

高経年化したマンションは、新耐震基準であっても40年以上経過しているものもあるため、一定の再生措置が必要になってきています。

住民の高齢化

更に追い打ちを掛けるのが、マンション住民の高齢化です。先述のマンション大衆期に働き盛りでマンションを購入した世代も、今や高齢者です。

高齢者世帯が増えると、管理組合活動にそれなりの負荷が発生する理事や監事のなり手が減少し始めます。

さらに、年金暮らしの高齢者世帯が中心となれば、収入が限られる場合には管理費、修繕積立金の滞納も発生し、マンション管理にほころびが生じ始めます。

マンション維持保全の重要性が高まっている

避けられない高経年化、高齢化の流れですが、そのような中でもマンションを維持、保全していかなければなりません。

マンション自体が高経年化しても、自分たちのためだけではなく、子や孫の世代に住まいを引き継いで行かなければならないためです。

そのような問題に対して、どのように対処していく必要があるのでしょうか。

修繕次第でマンションは長年持たせられる

そもそもマンションはメンテナンス次第では、長年持たせることが出来ます。

マンションの法定耐用年数という考え方がありますが、こちらは47年が基本となっております。

数字的には47年でマンションの価値が無くなるという年数ですが、あくまでも税務上の話であり、寿命ではありません。

実態は更に持たせることができ、コンクリート躯体や壁面、給排水管等に対する修繕や更新工事次第では、80年や100年住み続けられることも十分視野に入ってきます。

耐震性や断熱性の確保する

ハード面では、旧耐震基準で建築されたマンションは耐震性に課題がありますが、耐震補強等の修繕工事により、課題がクリア出来ます。

国としては、古いマンションを保全する動きとして補助金を充実させています。

これを使って耐震性やバリアフリー化を充実させることで、居住環境を整備することも可能になっています。

加えて、カーボンニュートラル(脱炭素)な社会に向かっていることから、二酸化炭素排出量を減らすべく、断熱性能を高めた住宅にも力を入れています。

長期修繕計画の作成と見直す

80年や100年という期間で長期的にマンションを維持して行くためには、長期的な計画性が必要です。

国土交通省のガイドラインによると、将来30年以上の長期修繕計画が必要となっており、その中で2回以上の大規模修繕計画が織り込まれているものであることが望まれています。

さらにこれは材料の価格変化や、社会ニーズへの対応等により、5年毎程度のサイクルで見直していくことも望まれています。

外部役員の起用を考える

避けられないマンションの高齢化対策として、若い区分所有者にもマンション管理に関心を持って貰えればいいのですが、平日は働いていたり、週末は家族サービスが有ったりと忙しい方々です。

さらに、負担が増加することから、輪番制といえども中々なり手もない状況にあります。

ましてや、建ってから時間が経過している高経年マンションは、40代以下の比較的若い世帯の割合も少なめです。

そのような中でも、管理組合や理事会、総会を機能させて行かなければならないため、外部役員の起用も検討しなければなりません。

また最近はマンション管理そのものを管理会社に任せる、管理者管理方式という考えも出てきています。

マンションを建替えられるか

最終的には、マンション大衆期に建てられた高経年マンションに対する建替えも視野に入って来るかと思います。

ただし建替えはかなり高いハードルが待ち構えているのも事実です。

マンション建替えのメリットや課題

各自治体の条例にもよりますが、建替えることによる容積率の緩和メリットもあるため、既存マンションよりも高層マンションを建てることが可能となります。

建替え前に比べ戸数を増やし新たに分譲することで、既存区分所有者の負担を軽減するというスキームです。

建て替わることで、躯体部分の劣化や耐震性の課題がクリアされ、更に長年住むことができるでしょう。

また、新たに若い世帯の入居も見込まれ、管理費や修繕積立金の円滑な徴収も可能になります。

しかし、既存マンションの立地や新築時の総戸数さらには分譲価格に対しての建替え総工費によっては、既存の区分所有者が費用を負担しなければならないケースがほとんどです。

端的に言えば、建て替えのためにもう一度住宅ローンを組む、ということです。

そのような場合には、思惑通りに建替え議論に進まないでしょう。

マンションの建替えはどのくらいの実績 があるのか

国土交通省の建替え実績データによると、災害により被災したマンションの建替えを除いたマンションの建替え実績は、令和3年4月1日現在で累計263件となっています。

令和2年末現在の築40年超のマンション総戸数が103.3万戸 あり、仮に1棟当たり50戸とした場合でも、2万棟程度は存在することになります。

建替実績が如何に少ないかがお分かり頂けるかと思います。

マンションの建替えの難しさ

前述の数字を見ても、高経年マンションとはいえ、建替えが非常に難しいという現実があります。

国としては、マンションがスラム化する前に建替えをしたいという思惑も、各諸制度から垣間見れます。

しかしながら、管理不全でスラム化したり、耐震性能において不備があるなど、「建替えせざるを得ない」状況に追い込まれないと、建替えすることが難しいのが現状でしょう。

また、そこに至っていないマンションでさえも建替えが進まない理由としては、「建替えする場合の支出負担が大きく、区分所有者間の合意形成が得られない」ことが大きいのではないかと考えられます。

従って、前項の「マンション維持保全」が非常に重要になってくるのです。

まとめ

マンションの高経年化とともに、マンション住民の高齢化とその対策について現状を踏まえながら記載しました。

現在、特に高経年マンションの管理組合で、今後どのような対応をしていかなければならないかを考えていく大事なフェーズに差し掛かっています。

新築から20年、更に30年程度のマンションもいずれ同様の課題が出てくるので、早い段階から着目し、自治体や専門家に相談しながら対策を練られるのがいいかと考えています。

参考サイト:https://www.mlit.go.jp/statistics/details/t-jutaku-2_tk_000002.html

記事監修

マンション管理士:古市 守(ふるいち まもる)

管理会社変更をはじめとするマンション管理組合のコンサルティング、自治体のマンション調査、マンション管理コラムの執筆・監修などで活動。

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