マンションの管理会社について知っておくべき基礎知識

マンション管理会社とは

マンションを快適に過ごすためには適切なマンション管理は欠かせません。

そのマンションの管理を行うのが管理会社です。マンションの清掃や設備の点検から、管理組合の運営サポートまで幅広くサポートするが管理会社の仕事です。

今回はそのマンション管理会社について知っておくべきポイントを

  1. 管理会社への委託業務
  2. 管理委託の方式
  3. 管理会社の種類と特徴
  4. 管理会社の見分け方

の4つ観点でご紹介します。

目次
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1.マンション管理会社への委託業務

管理会社の使命は「快適なマンションを提供すること」であり、管理会社の仕事は大きく分けると以下の4つになります。

業務内容
事務管理業務(1)管理組合の会計の収入及 び支出の調定
(2) 出納
(3) 本マンションの維持又は修繕に関する企画又は実施の調整
(4)理事会支援業務
(5)総会支援業務
管理員業務(1)受付等の業務
(2)点検業務
(3)立会業務
(4)報告連絡事務
清掃業務(1)日常清掃
(2)特別清掃
建物・設備管理業務(1)建物点検、検査
(2)エレベーター設備
(3)給水設備
(4)浄化槽、排水設備
(5)電気設備

事務管理業務

事務管理業務は基幹事務とそれ以外とに分類されます。

基幹事務は、主に会計報告になります。マンションの管理・維持には実に様々な費用がかかります。管理会社への業務委託費の支払いだけでなく、各居住者からの管理費、修繕積立金の回収、また滞納や未払いがないかなどをチェックする業務があります。

これらを会計報告として作成、提出する業務になります。

基幹事務以外とされるのは主に理事会や総会の開催や運営支援になります。

マンションの問題が定期され解決を図っていく場が理事会です。総会は理事会での審議を承認する場になります。他には、フロントマンがマンションを訪問したり組合名簿の作成などがあります。

管理人業務

管理人業務はまさに管理人の事です。

普段暮らしていると気づくにくいのですが、マンションには実に様々な方が訪問します。その訪問者の方の受付や対応を行います。また新規に駐車場を借りる、駐輪場を解約するといった場合、管理人の方に理事長と管理会社との間を仲介してもらい手続きを進めます。

他にも備品の管理や、マンションの巡回、業者の立会いなどの業務を行います。

清掃業務

清掃業務は日常清掃と定期清掃に分けられます。

ゴミ出しやマンション共有部の廊下や階段などの掃除を行うのは日常清掃の役割です。定期清掃では簡単には落ちない汚れなど専用の機械を使って清掃します。共有部の廊下を清掃するポリッシャー清掃などはよく見かける光景ではないでしょうか?

建物・設備管理業務

建物設備管理業務はマンションの設備状況を確認し、メンテナンスや補修、必要であれば取り替えや回収を行うものです。イメージしやすいものであれば、エレベーターなどがそれにあたります。

なお法律で点検が定められているものを法定点検項目といいます。前述のエレベーターや給水設備や排水設備などは法律によって点検期間と回数が定められています。

2.マンション管理会社へ業務委託の方式

では、この委託にはどのような方式があるかご存知でしょうか?

管理会社への2つの委託方式を説明します。また管理会社への委託ではありませんが、自分達で行うマンションの自主管理も含め、メリット・デメリットについてご紹介します

1 全部委託方式

マンション管理に関わる業務を一括して管理会社に任せる方式です。

最大の長所としては、「管理の質」が維持できることです。輪番制の管理組合の場合、どうしても意識が薄れるため、管理組合で管理をしていく一部委託や自主管理の場合の管理の質が低下してしまうことが多いです。

全部委託であればマンションの管理業務をすべて管理会社に任せることができ、管理組合の役割としては、意思決定と管理会社の業務のチェックが主たる業務となります。もっとも一般的な方式で、役員の負担がもっとも少ない方法です。しかし、管理の主体は管理組合であることは忘れてはいけません。

<メリット>

  • 管理組合の役員負担が少ない
  • 持ち回りの役員であってもマンション管理の維持が問題なく行われる

<デメリット>

  • 管理会社に任せきりになる
  • マンション管理に関する意識が薄れる可能性がある

2 一部委託方式

管理会社もすべての業務を自社で対応しているわけでなく、設備点検や清掃などは専門業者に発注しています。

この管理会社が専門会社に発注している業務について、管理組合が自ら発注する方式です。全部委託方式に比べれば手数料をカットできる可能性がありますが、業務の実施状況のチェックや契約管理など、管理組合の負担が大きいのが特長です。

<メリット>

  • 管理組合で契約先を選べる
  • 直接契約により管理費を削減できる可能性がある

<デメリット>

  • 管理組合の役員に負担がかかる
  • 直接発注となるため会社との折衝・交渉が難しい

3 管理会社に委託しない自主管理

管理会社に業務を委託せず、マンション管理組合独自で管理を行うことを自主管理という方法もあります。

自主管理は管理費を自分たちで設定できるため、管理費を安く抑えられるというメリットがありますが、それ以上にデメリットも多いのが事実です。

管理組合の負担が多く、マンション管理に長けた理事がいない場合、管理は有名無実化し、「無管理」状態となってしましまうことがあります。

こうなるとマンションの資産価値や修繕計画など長期的な視点での対応がとれなくなってしまいます。また特定の個人に依存するような形になり、管理費や修繕積立の取り扱いが不透明になる可能性もあります。組合による横領が発生するは自主管理である場合がほとんどです。

自主管理を行うかは慎重に検討頂く必要があります。

<メリット>

  • 管理委託費を安く抑えられる
  • 直接契約により管理費を削減できる可能性がある

<デメリット>

  • 管理組合の役員に負担が非常に大きい
  • 専門知識がない役員ではマンション管理の運営ができない

どの委託方式が望ましいのか?

前述しているように、一般に「一部委託方式のほうが全部委託方式よりもマンションの管理費を抑えられる」と言われます。

しかし実際は必ずしもそうとは限らず、スケールメリットを生かした提案ができる管理会社に委託する場合は、直接契約よりも安く提案できているケースも多く存在します。管理会社を見直す際は、契約形態にこだわらずに見積を取得するとよいでしょう。

「餅は餅屋」ではありませんが、管理会社はマンションプロです。安心して管理を任せれる管理会社であれば、全部委託方式がもっともマンション管理を行っていく上ではよいのではないでしょうか。

なお、マンション管理によほど長けている方がいない限り自主管理は運営は難しいと思います。

3.マンション管理会社の種類-デベロッパー系と独立系

次に管理会社の種類について紹介します。このマンション管理を提供する管理会社ですが、大小含めて、5000以上の管理会社があると言われています。その5000のマンション管理会社は大きく分けると以下の2分類に大別されます。

それがデベロッパー系管理会社独立系管理会社です。

管理会社のタイプによって強みが異なっています。

デベロッパー系管理会社とは

デベロッパー系管理会社とはグループ(主に親)企業に建設会社を持つ企業を指します。親会社が施工・販売したマンションの管理をグループとして受け、マンション管理を行う会社のことを指します。

基本的に親会社から分譲マンションを譲りうけマンションを管理します。そのためグループ系列で川上から上下まで管理されるのが特長です。

<管理委託費>

独立系管理会社と比べると割高と言われます。

<品質>

親会社との連携やフロントマンの担当組合数が独立系と比べと少ないケースが多いため、迅速な対応が可能です。マンションを建てている管理会社を親に持つため、設計や建設といった情報を多く持っているもの一つの特長です。

<デベロッパー系の会社>

管理会社ランキングのトップは多くはデベロッパー系です。有名企業でさえすべて記載できませんが、以下が主な会社です。

  • 大京アステージ(大京グループ)
  • 東急コミュニティ(東急グループ)
  • 長谷工コミュニティ(長谷工グループ)
  • 三菱地所コミュニティ(三菱地所グループ)
  • 大和ライフネクスト(大和グループ)

独立系管理会社とは

独立系の管理会社とは、系列グループを持たない管理会社を指します。

系列系管理会社を持たない施工会社から受注したり、管理会社のリプレイスで事業を拡大してきた会社になります。管理委託費が安いことが独立系管理会社の特徴です。しかし安さには裏があり、管理の質が伴わなかったりすることも多いと言われます。

<管理委託費>

この独立系の第一の特長は、管理費が安いということです。この「管理費が安い」という面の面にはもちろん裏側があります。

<品質>

管理費の安さを支えるために、デベロッパー系の管理会社と比べ、フロントマンの担当組合数が多いという点があります。マンション管理の質が問題にあげられたり、また修繕において過剰仕様な工事や割高な工事を提案すると言われています。

<独立系の管理会社>

以下の2社が独立系のトップ企業です。

  • 日本ハウズイング
  • 合人社計画研究所

管理会社はデベロッパー系と独立系、どちらがいいのか?

  • デベロッパー系は資本の関係上、親会社に左右されやすい
  • 独立系マンションは価格を優先するあまり、サービス品質がおちる、大規模修繕の工事が狙い、

ということが一般論として言われています。

ただし、ここで紹介しているあくまで総論であり、この条件に当てはまる会社もあればそうでない会社もあります。どのような管理会社に委託するとしても、管理の主体は管理組合です。

なお、削減額を成功報酬とするマンション管理コンサルタントはほぼ間違いなく独立系の管理会社を紹介します。コンサルタントの力量にもよるのかもしれませんが、それ以前に独立系管理会社のほうが安い料金体系でマンション管理を提案しているからです。

任せるだけではなく、自分たちのマンションに合う管理会社を選び、その管理会社と良い関係を築いていくこがこれからのマンション管理において重要です。

管理会社のランキング

これが現在公表されている2022年度の最新のマンション管理会社の上位20社のランキングをデベロッパー系と独立系に分けたものです。

順位管理会社変動
1東急コミュニティーデベロッパー系
2日本ハウズイング独立系
3大京アステージデベロッパー系
4長谷工コミュニティデベロッパー系
5三菱地所コミュニティデベロッパー系
6大和ライフネクストデベロッパー系
7合人社計画研究所独立系
8三井不動産レジデンシャルサービスデベロッパー系
9住友不動産建物サービスデベロッパー系
10野村不動産パートナーズデベロッパー系
11日本総合住生活デベロッパー系
12あなぶきハウジングサービスデベロッパー系1
13穴吹コミュニティデベロッパー系
14伊藤忠アーバンコミュニティデベロッパー系
15グローバルコミュニティ(大阪)デベロッパー系
16東京建物アメニティサポートデベロッパー系
17近鉄住宅管理デベロッパー系
18ナイスコミュニティーデベロッパー系
19レーベンコミュニティデベロッパー系
20浪速管理独立系

誤解を招かないように解説を1つ付け加えておくと、このランキングは管理しているマンションの戸数のランキングです。

管理費の価格や満足度とは因果関係はありませんので、ご注意ください。なお、上位50社までのランキングは下記のご案内しているのでよければ参照ください。

4.良いマンション管理会社の見分け方

上手な不動産業者の選び方

では良い管理会社、悪い管理会社はどうやって見分けたらよいでしょうか?

これは一概にはなんとも言えません。なぜなら管理組合によって求めるニーズが違うためです。

管理会社に求めるものは何か?またそれを他者と比較できる基準を持つことが管理会社を見極めるために必要なものになります。例えば以下のような基準です。

  • 管理委託費は他の管理会社と比べて安いか
  • フロントマンは理事会に必ず出席するのか
  • フロントマンはどのくらいの管理組合を担当しているか
  • 有資格者は何人いるのか
  • 長期修繕のための点検は一級建築士によって行われるか

これらの基準に対して、各管理会社によって回答は異なります。

例えばフロントマンの対応に不満があるのであれば、フロントマンの担当管理組合数は少ないほうがいいでしょう。長期修繕や修繕に疑問や不満があるのであれば、どのような方法で長期修繕計画を進めるのか、一級建築士によって対応は行われるのか?などを検討すべきです。

管理会社がどのようなサービスと価値を提供するのか、そのサービスがニーズに合う管理会社がよい管理会社であるといえます。

マンション管理会社の使命と目的

駐車場や駐輪場、エレベータホールや廊下などが清潔であったり、廊下の電球がいつも切れずについているのは管理会社の管理によるものです。

マンションの住居のリフォームを行う際、一戸建て住居とは違い、いつ、どのような業者がどのような工事を行うのかの手続きが必要です。また業者の受付などの対応業務も行わなればなりません。管理人が対応します。

マンションは広義な意味で消耗品と言えます。そのため、設備のメンテナンス、必要な場合においては点検だけでなく取り替えや作り変えが必要でしょう。必要な設備の点検を行うのは建築士の仕事です。

快適な日々の暮らしから将来のマンションの維持管理・サポートを行うのが管理会社の使命です。

マンション管理とIT化

いち居住者として少しでもマンションを良くする

管理会社が実施しているサービスの中で、管理費や修繕積立金の領収書の発送や、紙による配布を廃止、連絡事項はWEB上の掲示板を設けること等、オンライン化に切り替えて対応している会社もあります。

管理組合専用のWEBサイトを設け、その中で住民ごとの管理費や修繕積立金の領収状況が確認でき、管理組合の情報や会報の発行、管理員の出勤状況や連絡事項、総会や理事会の議事録や管理規約、細則、長期修繕計画等を閲覧することも可能になります。

これらにより、タイムリーにマンションの管理状況を漏れなく閲覧できることにより、住民自らマンションの管理状況に対する意識が高まります。

それによってより住民のマンション管理の意識向上と、ひいてはマンション価値の向上にも繋がっていきます。結果的に、住民にとって便利な環境を準備することにより、管理会社への満足度も高まっていきます。

また、オンラインサービスに強みがある管理会社は、理事会や総会の開催を、WEB会議システムを使って実施していくことも考えられます。

特に若い住民が多い比較的新しいマンションにとっては、このような施策には抵抗が少ないため、受け入れられやすい事もあります。時代の流れもあり旧来の運営方法とは違った、ITツールを使いこなして新たな運営方法を取り入れている管理会社も、今後選択の基準となっていくことでしょう。

昨今の管理業界の現状とこれから

昨今の管理業界は人手不足に悩まされています。

不足するフロントマン、高齢化する管理人など、これはどの業界でも同じかもしれませんが、人手不足はマンション管理業界では大きな課題になっています。

そして、この人手不足によって引き起こされる問題が、「管理会社からの管理委託契約の終了」です。

管理会社側からすると、フロントマンの担当組合数の負荷が増え、管理組合を手放さざるを得ない、という状況になっています。

実際の当社に頂く問い合わせでも、管理会社から契約終了を告げられた、という相談は非常に多いです。ポジティブに考えれば、契約を解除したがっている管理会社に管理は期待できないとも言えます。

これからは自分たちのマンションと向き合ってくれる管理会社を探すことが重要な時代になってきています。

記事監修

マンション管理士:古市 守(ふるいち まもる)

管理会社変更をはじめとするマンション管理組合のコンサルティング、自治体のマンション調査、マンション管理コラムの執筆・監修などで活動。

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