修繕積立金の値上げと決議の方法
多くの管理組合で修繕積立金の値上げは必要とされており、その決議方法について相談を受けることがあります。
結論としては修繕積立金の値上げは「普通決議」が必要です。普通決議と特別決議 – マンションの議案決議方法で普通決議について詳しく述べていますが、組合員の過半数以上の賛成で修繕積立金は値上げすることができます。
ただし、管理規約に直接、管理費や修繕積立金の金額が明記されていたり、修繕積立金に関する決議事項が明記されている場合は、それにそって変更を行う必要があります。
また修繕積立金の徴収方法として、段階増額積立方式があります。
これは5年ごと、10年ごとに修繕積立金を値上げしていく方式であり、マンション購入時にはこの方式の説明を受け、修繕積立金の値上げに関する了解をとっているはずですが、その場合でも、総会で修繕積立金の値上げが決議されなければなりません。
最近では均等積立方式を国土交通相も推奨してはいますが、まだこの段階方式が多いのではないでしょうか?
また最も避けたいのが一時金徴収の方式です。この方式で全世帯から遅延・未払いなく集めることはほぼ不可能に近いです。
一時金とは、月々の修繕積立金を下げる代わりに大規模修繕積でまとめて集める方法です。場合によって100万円単位で徴収されることもあります!
もしこの方式で集める予定があるマンションは、大変な作業であると思いますが、均等方式、もしくは段階方式への切り替えを強く推奨します。
なお、これらの変更についても、金額の変更にあたるので、「普通決議」になります。ただし、前述の通り、規約に定めがある場合はそれに準ずる必要があります。
修繕積立金の値上げ対策
修繕積立金の相場については修繕積立金の相場と適正額でまとめています。
ここの計算式に当てはめれば、国土交通相が発表している相場との比較ができます。なお、ざっくりと言ってしまうと、修繕積立金よりも管理費が高いマンションは一度マンションの会計について確認をすべきです。
管理費が高すぎるか、修繕積立金が安すぎて後で負担をする方式になっているか、もしくは両方のどれかです。
管理費会計に余剰金があり修繕積立金に回しているケースを除いて、すぐに見直しをすべきです。マンションが抱える問題でも記載していますが、修繕積立金が少ないマンションは資産価値が低く見積もられます。そして何よりそのようなマンションでは安心して暮らせません。
マンションの管理費は多くのケースにおいて削減することができます。特に当社では管理会社の変更(リプレイス)を通じた管理費の削減をお手伝いしていますが、リプレイスにより管理費を3割削減できたというケースも珍しくありません。
裏を返すと、管理会社を変更しなければ3割増の管理費を払い続けていた、ということです。
修繕積立金の決議は普通決議なので、総会承認は通ると思いますが、値上げに前にコストの削減について検討いただくのがよいと思います。
もしまだ管理会社のリプレイスをしたことがないのであれば、当社までお電話ください。私たちにお手伝いできることがきっとあります。